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新機軸のLCユニブーツコネクタ「Intelli-Cross PRO」により、更なる高密度実装を実現【精工技研】

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 精工技研はコアテクノロジーである精密加工技術を軸に、「小型」「精密」「光学」にこだわった製品開発を続けている。
 中核事業の1つである光製品関連事業では光コネクタも提案しており、フェルール、コネクタのような部品からパッチコード、ピッグテール、ファンアウトといった光ファイバアセンブリ品まで提供し、テレコムやデータセンタの通信インフラを長年にわたり支えてきた。これら光コネクタ製品の品質に直結する同社のフェルールは、穴曲がりや穴偏心に優れていることからユーザの歩留まり向上に繋がると定評がある。また、同社では光コネクタ研磨機をはじめ、光ファイバコネクタ製造・検査用の設備機器も提供しており、製品から製造設備まで精通した提案力はユーザの新しいチャレンジに貢献している。

 同社が10月1日に販売を開始したLCユニブーツコネクタ「Intelli-Cross PRO」は、小型かつフラットな形状により、従来以上の高密度実装を実現した製品。同社の特許技術による容易な極性変換や、2心一括のAPC(斜めPC)研磨、高密度実装時の挿抜の容易さなど、運用面でも様々な工夫がされている。精工技研 光学製品事業部 営業課 課長の佐藤英明氏は「装置間のケーブル配線における省スペース化の要求に応えるため、お客様のご意見を反映させながら開発した製品だ。既に欧米のテレコムやデータセンタを中心にご注文を頂き始めている。さらに、これまでもビジネスで実績のある中国のデータセンタ系の顧客にもご紹介しており、ケーブルアセンブリによるビジネス成約が期待されている」と話している。
 精工技研は、販売直後から好調な「Intelli-Cross PRO」を、10月28日から30日に幕張メッセにて開催される「データセンター&ストレージ EXPO」で展示するという。
 今回の記事では、「Intelli-Cross PRO」の概要や特長について話を聞いた。

フラットなコネクタ形状による高密度実装

 「Intelli-Cross PRO」のコネクタ形状は、上下左右の全てがフラットになっており、図1のような縦方向の高密度、また横方向での高密度実装が可能だ。

画像1:「Intelli-Cross PRO」を高密度に実装した様子。突起を省いたデザインにより、整然とした美しい外観となる。突起にホコリが溜まることが無いので運用中の清潔さにも寄与し、挿抜時の端面汚れの原因を減らすことにも繋がる。

コネクタ挿抜には3way方式を採用

 ここまでの高密度を実現してしまうと指を入れる隙間が無くなってしまうので、実装した光コネクタをどう抜くかという問題が生じる。そこで精工技研では、次の3通りの挿抜方式を取り入れたという。

  • 横方向の高密度実装時には、コネクタ上部のラッチを押し下げて外す。
  • 縦方向の高密度実装時には、側面グリップのサイドバックで外す。
  • 上下左右が塞がっている場合は、オプションとしてPush-Pull Tool(画像2)による挿抜。

 挿抜のポイントはコネクタ上部のラッチであり、側面グリップもPush-Pull Toolもこのラッチに連動させたことで、3通り全てに対応したコネクタを実現できたという。

画像2:「Intelli-Cross PRO」の外観。製品写真左と中央はPush-Pull Toolを取り付けた状態だ。佐藤氏は「Push-Pull Toolが数多く並んでいると配線の邪魔になるというご意見がある一方で、こうしたツールは長い方が良いというご意見もある。そこで我々は、このツールを中央で折っていただくことで、長さを調整できるように設計した」と説明している。画像右のようにツールの中央を折ることで、製品写真中央のようにブーツと同等の長さに短尺化できる。同製品のブーツ自体も一般的なLCコネクタよりも短く設計されており、装置開閉扉の邪魔にならないという特長を備えている。また、このPush-Pull Toolは、コネクタ本体への取り付け・取り外しが可能な機構となっている点も、幅広い顧客要求に応えている。

同社特許技術による、容易な極性変換や、2心一括のAPC研磨

 「Intelli-Cross PRO」は、同社の特許技術により、2つのコネクタプラグが同時かつ同方向に回転する機構となっており、容易な極性変換や、2心一括のAPC研磨を実現している。
 ストレート配線・クロス配線を変換する際に必要となるLCユニブーツコネクタの極性変換は各ベンダで創意工夫がされているが、「Intelli-Cross PRO」は一線を画すシステムだ。同製品は、コネクタ内部のMicro Gearによる回転シンクロ メカニズムにより、1つのプラグを回転させると、もう片方のプラグも“まったく同じ回転”をする。この構造により、コネクタを分解することなく、極めて短時間に簡単に変換できる(画像3)。

画像3:極性変換の流れ。工具を使う必要もなく、非常に簡単だ。回転は180°で止まる仕組みなので、回しすぎて内部を傷つける心配はない。

プラグのまま2心一括のAPC研磨

 この回転シンクロ メカニズムを90°にすることで、プラグのまま2心一括のAPC研磨が可能となっている(画像4)。この点も「Intelli-Cross PRO」独自の大きなメリットであり、佐藤氏は「低反射を実現するAPC研磨は、以前であれば映像伝送が主な需要だったが、今ではデータセンタでもシングルモードのAPC低反射・低損失というご要求を頂いている」と話す。

Made in Japan コネクタ

画像5:「Intelli-Cross PRO」のパフォーマンス。

 「Intelli-Cross PRO」の販売は、光コネクタ単品と、パッチコードの両方に対応。片端がMPOコネクタで片端が複数の「Intelli-Cross PRO」といったファンアウトアセンブリにも対応するという。佐藤氏は「プラスチックの成形部品は全て日本国内成形だ。本社のある千葉県松戸市の工場でコネクタ組み立て、検査、梱包、出荷まで行う。我々はMade in Japanだから高くても良いとは考えておらず、価格競争力にもこだわっている。コネクタの生産キャパシティは、現状は月産30万個だ。目標の年間の販売数量としては、ワールドワイドで300万から500万個。世界で使われているLCコネクタの数に比べれば控えめな数字だが、まずはこの目標で始める。ユーザが扱いやすいよう、分かりやすい動画とマニュアルも用意した」と説明している。

「データセンター&ストレージ EXPO」での展示

 会場のブースでは「Intelli-Cross PRO」のサンプルを置き、製品の詳細は動画を交えて解説するという。製品の小ささだけでなく、極性変換やツールの短尺化がどれほど簡単なのかを体験する良い機会となりそうだ。また、「Intelli-Cross PRO」を実装したパネルと、通常のLCの二連タイプを実装したパネルを並べて展示するとのことなので、整線や高密度実装の状況が一目で分かるだろう。
 精工技研 光学製品事業部 営業課の馬場裕介氏は「LCユニブーツコネクタ自体は以前からある2心一括コネクタだが、国内での営業活動に取り組んでいる中で、その存在自体をご存じないお客様も少なくないと感じた。2本のファイバが1つのブーツの中に収まっているユニブーツ型には省スペース化やケーブル管理のメリットが有るので、それをお伝えするとすぐに、サンプル、評価という流れになる。今回の展示会は良い機会なので、Intelli-Cross PROだけでなくLCユニブーツコネクタ自体の良さも広くお伝えしたい」と話している。

画像6:小型化を実現した「Intelli-Cross PRO」。カラーバリエーションは、ブルー、グリーン、ベージュ、アクア、ヘザーバイオレット、ライムグリーンの6色をラインアップしている。

製造・検査用の設備機器も提供

画像7:光コネクタ研磨機「SFP-560A」。

 光パッチコードコネクタ製造・検査用の設備機器も提供している精工技研。写真は光コネクタ研磨機「SFP-560A」。自動加圧機能を備えた製品で、ターンテーブル上にスペースを設けることによる作業性の向上、量産に適した耐久性、従来製品で高評だった4点固定方式の採用といった特長を有している。加圧の研磨圧は2Nから200Nのレンジで調整ができる。ターンテーブルとスラストリングに特殊コーティングを施すことでは耐久性が向上しており、メンテナンスコストの低減に繋がっている。研磨条件は最大で60プログラムを入力でき、USBメモリで機器間のデータ移行も可能だ。日本語、英語、中国語、スペイン語に対応している。
 また、精工技研は光コネクタの端面形状測定器も提供しており、高精度のオートキャリブレーション、オートフォーカスによる使い勝手の良さと再現性の高さが好評な製品で、数年前より世界トップのシェアを維持している。「DAISI V3」は、傷・汚れ検査機能を追加したモデルで、これを三次元の形状測定と同時に実行できる製品だ。