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CSコネクタに関するコンソーシアムが発足

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 LC2心コネクタに対して約2倍の高密度化を実現したCSコネクタは、QSFP-DDやOSFPの2x100Gや2×200Gアプリケーションにおいて両MSAでの採用が決定しており、次世代光コネクタのデファクトスタンダードとして認知され始めている。今年9月には「CS Consortium」も発足しており、普及の加速が期待できるだろう。今回は同コンソーシアムのファウンディングメンバーである扇港産業から話を聞いた。

小型化を実現したCSコネクタであれば、LC12心と同じスペースで24心にすることができるので、DC、テレコム、そしてエンタープライズまで、様々なシーンでの省スペース化に役立つ。

 「CS Consortium」のファウンディングメンバーは、扇港産業の光通信事業を担う米国現地法人Senko Advanced Componentsの他、Eoptolink、Legrand、Molex、Panduit、Go!Fotonが名を連ねている。コンソーシアムという枠組みとした理由は、ライセンスを持っている企業だけではなく、CSのコネクタやアダプタを使った製品を提供する企業も含めた幅広いメンバーを想定しているからだという。Senko Advanced Componentsでコンソーシアム設立に携わった二ノ宮卓也氏は、設立の狙いについて「CSコネクタは我が社が新しく世に送り出したものなので、一部を除いてエンドユーザ層やティア1層にはまだ馴染みが無いというのが実情だ。そこで、CSコネクタに関わる企業に集まって頂き、多様な製品群やソリューションをお見せしながら、CSコネクタの認知を広めていきたい。アプリケーションに対して高密度化できる点や、参加している各社が提供できるCSコネクタ関連製品群のベネフィットをお見せすることで、採用に繋がればと考えている」と話す。
 コンソーシアムメンバーであるMolex社 Product ManagerのAdam J. Houston氏は「通信データ量の増加や、キャビネット内やキャビネット間のスペースの効率化へプレッシャーに応えるために客先と話を進める中で、セラミックフェルールの性能や信頼性を保つだけではなく、CSコネクタシステムにこうした要件に対応できる価値がある」とコメントしている。
 CSコネクタの市場動向を見ると、特に注目を集めているのは北米のDCやテレコム向け光トランシーバのアプリケーションだ。QSFP-DDやOSFPといった次世代のフォームファクタだけでなく、従来のフォームファクタでもCSコネクタの採用を検討するケースもあるという。CSコネクタを採用した最初のトランシーバはCWDM 4/FR4やLR4などの2kmや10km伝送規格の製品だ。この伝送距離であればテレコムのアクセスでも使われるので、北米ではそこでもCSコネクタの案件が出始めている。また、テレコムのセントラルオフィスや携帯電話基地局のベースステーションもDC化しているため、その方面での需要も期待できそうだ。

CSトランシーバのアプリケーション例。

 

 「CS Consortium」のオフィシャルサイト(http://www.csconnector.net/)も立ち上がっており、今後はCSコネクタの使用事例を記したアプリケーションノートや、LCコネクタとの比較といった情報が更新される見込み。二ノ宮氏は「テスト機器や製造関連機器のCSコネクタ用付属品情報といった、ユーザや組み立て工場が必要とする情報も順次ご提供していく」と話している。

CSコネクタのプロダクツ。二ノ宮氏は「今後は展示会等で、CS Consortiumの各メンバーが持ち寄った様々なCS製品をエコシステムとしてお見せしていく」と話す。

非接触型多心光フェルール技術「AirMT」

 また、今年9月の住友電工のプレスリリースにおいて、Senko Advanced Componentsは住友電工から非接触型多心光フェルール技術「AirMT」のライセンス供与を受けることが発表されている。
 光コネクタ接続の際、ファイバ端面間に隙間を設けることでコア部分のダスト固着を防ぐことができる非接触型多心光コネクタ。非接触型は接続時の嵌合力も低減されるので、光コネクタの耐久性や接続の容易さが改善される効果もあり、心数が増えるほど嵌合に必要なバネ力を強くしなくてはならない多心光コネクタでは特に大きなメリットとなる。汚れに強く、コネクタ接続も容易な非接触型多心光コネクタは、DCにおけるバックパネルをはじめ、清掃や接続作業のしづらいシーンで需要が高い。しかしながら、市場からは通常の多心光コネクタと同等の価格や挿入損失が要求されるという課題があり、非接触型多心光コネクタのキー技術である、レンズでビーム径を拡大する技術をどのように改善するかが、各ベンダの開発部門で議論されている状況だ。
 その課題を画期的なアプローチで解決したのが、住友電工の「AirMT」。この技術はMTフェルールの接続面に特殊なスペーサ構造を設け、ファイバ端面間にわずかな隙間を設けることで、非接触型多心光コネクタを実現する。従来の非接触型のようにレンズでビーム径を拡大する構造を必要としないので、通常の多心光コネクタと同等の価格や挿入損失を実現できる。シングルモードのスタンダードグレードでは0.5dB以下を保証しているという。
 このスペーサ構造により嵌合に必要なバネ力も抑えられるので、コネクタハウジング設計を単純化でき、省サイズ化も実現できる。こうした特長は、機器側へのバネ力の負荷が好ましくないバックプレーン用途での高密度なコネクティビティにも適しているだろう。
 今回、住友電工の独自技術である「AirMT」のサプライヤにSenko Advanced Componentsが加わったことで、ユーザは購入を検討しやすくなった。この日本発の技術が、国内外のDCをはじめとする様々な市場で活躍することを期待したい。