米国のスタートアップとして注目されているAEyeは、ソフトウェア定義のLiDARという独自のアプローチを提案している。
　AEyeはLiDARを、先進的な運転支援や車両自律運転、スマートインフラ、 ロジスティック、オフハイウェイなどの様々なアプリケーションを支援するために提案している。同社はLiDARの有効性について「どんな環境でも安全に移動するためには、周囲にあるものをはっきりと捉える必要がある。視覚情報が必要なとき、一般的に使用されるのがレーダやカメラだが、これらのツールは天候や暗さなどの環境条件によって、充分な性能が発揮できない場合がある。LiDARはこれらの環境要因による制約を克服し、対象物までの正確な距離をより高い解像度で測定して、様々なセンサ アプリケーションの信頼性と安全性を向上させる」と説明している。
　AEyeの技術力は高く評価されており、例えば航空宇宙・防衛産業という先端分野におけるソフトウェア定義型LiDAR開発に向け、Booz Allen Hamiltonとパートナーシップを締結している。

　AEye は、日本の企業との会談も進めており、2022年12月にはCEO、CTOら４名のトップマネジメントがトップセールスを展開すべく来日。その際の記者説明会では、同社のLiDAR技術の概要、オートモーティブ・ソリューションの概要、産業用ソリューションの概要が解説された。
　OPTCOMではこれまで、コアネットワークで培われたコヒーレント光技術を用いたLiDARなど光学的な視点からLiDARを扱ってきたが、今回は通信市場でも馴染み深いソフトウェア定義という視点からLiDARアプリケーションの有効性を纏めた。

(OPTCOM編集部　柿沼毅郎)

　AEye のCEOであるブレア・ラコルテ氏は冒頭、説明会のサマリーを「当社には、多くの高成長市場のニーズに対応するユニークで高性能なインテリジェントLiDARプラットフォームがある。また、当社には独自のビジネスモデルと市場開拓戦略があり、お客様は、製品の性能、品質、信頼性、サポートを保証できるティア1サプライヤや OEMなどの信頼できるチャネルパートナーを通じて 当社のソリューションにアクセスできる」とまとめ、具体的な説明に入った。

　AEyeは、LiDARセンサベースのオペレーティング システムである「4Sightインテリジェント センシング プラットフォーム」を提案している。これは、ソフトウェア定義による高い適応性を備えており、前述の運転支援や自律性、スマートインフラ、ロジスティック、オフハイウェイをはじめとする様々な用途・状況に柔軟に適応できる。
　ラコルテ氏は「例えば自動車の用途では、センシングは自動運転の基本であり、カメラとレーダは自動化を可能にする。だが、より高いレベルの自律性には、決定論的(世界がどういう状態にあるのかを、自分よりもより高い能力を持って判定する)なセンサであるLiDARが必要だ」と話す。

　ラコルテ氏は「戦闘機は、非常にハイスピードで飛びながら標的を判断する。判断のためのコンセプトでは、人間が持っている視覚の感覚、つまり対象が何なのか、脅威なのかを判断する能力が重要であり、これをセンシングに盛り込むことで、非常にインテリジェントな決定を実現できるようになる。AEyeのセンシング プラットフォーム技術ならば、人間が視覚で感じ取って判断する能力を再現できる」と説明している

レポート目次

1：人間の視覚の判断能力を再現

2：ソフトウェア定義による様々なメリット

3：オートモーティブ・ソリューションでの強み

4：産業用ソリューションでの強み