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NTT東日本とシスコがめざす、中堅・中小企業のDX推進戦略【1:パートナーシップ強化の背景】

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 NTT東日本は、これまで「ひかりクラウド電話」の接続先としていたシスコシステムズ(以下、シスコ)のクラウド電話サービス「Webex Calling」について、両サービスをワンストップで提供する「Webex Callingライセンス」および「Webex Calling対応端末」を10月31日から提供を開始する。
 これは、NTT東日本による一元販売とサポートの提供、およびシスコとの迅速なサポート連携により、従来以上にユーザが導入しやすいサービス提供形態となる。

 本レポートでは記者発表会の内容を基に、両社のパートナーシップ強化の背景や戦略、サービスの詳細について纏めた。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

中堅・中小企業のユーザのハイブリッドワークに必要なサービスの導入や運用、問い合わせに一貫して対応

NTT東日本
ビジネス開発本部 副本部長
長谷部 周彦氏

 世の中の働き方が変化し、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークが進展している中、NTT東日本は、「ひかりクラウド電話」を昨年より提供を開始し、今年6月からは「Webex Calling」との接続も開始している。
 NTT東日本のビジネス開発本部 副本部長である長谷部 周彦氏は「お客様の対応をさせていただく中で、この接続サービスとシスコ様で持たれているWebexのライセンス、あるいは対応端末といったものを一元的に提供して欲しいという声を頂いている。そこで、10月31日から端末、ライセンス、接続のサービスを含めて一元的にNTT東日本から提供することになった」と話している。

 NTT東日本とシスコは、NTT東日本の「ギガらくWi-Fi」「ギガらくVPN」といったネットワーク周りのサービスに関して一緒に開発をして世の中に出してきた経緯がある。今回、コミュニケーションの環境をWebexのコミュニケーションツールとして、端末、ライセンスまでサポート含めて一気通貫でのサービス提供を始めることで、ユーザのDXにこれまで以上に貢献できる体制が整った。
 長谷部氏は「わたくしどもは、地域のソーシャルイノベーション企業ということで、一番地域の経済の中心にいらっしゃる中堅・中小企業のお客様の対応をさせていただいている。そうした中で、中堅・中小企業のお客様のビジネスは、やはり電話、音声でのコミュニケーションがベースにあると思っている。今回のパートナーシップにより、そのベースにある音声コミュニケーションの分野において、中堅・中小企業の皆様の課題解決、DXの推進に貢献していきたい」としており、「シスコ様のWebexはグローバルで展開をされていて、まさに磨かれてきたサービスであり、非常に品質が高いサービスだと思っている。また、グローバル展開において、お客様へのご提案のノウハウやサポートのノウハウといったものも、非常に参考になる部分がある。このパートナーシップを、最大限活用させていただいて、我々が長く培ってきた電話サービスのノウハウと融合させることによって、地域社会のDXに貢献をしていきたい」と説明している。

NTT東日本とシスコによるネットワーク周りのサービス。

ハイブリットワークの推進で、インクルーシブな社会を実現

シスコシステムズ
代表執行役員社長
中川 いち朗氏

 シスコは「すべての人に インクルーシブな未来を実現する」というパーパスを掲げている。今回発表されたパートナーシップ強化は、企業顧客の働き方改革としてのハイブリットワークを推進するものであり、パーパスであるインクルーシブな社会、すなわち、誰もが分け隔てなく、受け入れられて認められていることを実感できる社会を、デジタルで実現することに繋がる。
 シスコシステムズの代表執行役員社長である中川 いち朗氏は「新型コロナ感染拡大で我々の価値観や社会の在り方が大きく変化をしている。そして、世界的に急速なデジタルシフトが起こっている。それは日本でも例外ではなく、働き方、教育医療などで様々な領域でデジタル化が加速している。シスコジャパンは、日本でこういった形でDXの必要性が叫ばれる中で、今こそパーパスを実現する時、デジタルの恩恵を受ける人々、受けづらい人々の格差を解消して、誰一人取り残されない日本社会を作る大きなチャンスだと考えている」と話す。

 シスコはこのパーパス実現をめざして、DX時代のITのプラットフォームを提供していくという。シスコの現在のポートフォリオであるネットワーク、セキュリティ、コラボレーション、データセンタ、5Gなどこれらのテクノロジーは、現在のいわゆる部分最適な企業や社会のIT基盤を、全体最適で変化に柔軟なDXレディなプラットフォームへと移行するためのテクノロジーだ。中川氏は「シスコは、このプラットフォームをエンド・ツー・エンドでご提供できる数少ない企業の一つであると自負している」と話す。
 シスコはこのプラットフォームを実現するために、今後は次の4つのエリアを戦略的に注力していくという。

  • インフラからアプリケーションまでのオブザービリティ、すなわち可視化の実現。
  • 今日のテーマである、働き方改革としてのハイブリットワークの推進。
  • 企業全体のセキュリティの担保。
  • ネットワークインフラの変革。

 中川氏は「中でもハイブリッドワークについては、世界の主要各国の中でも日本が最も遅れている分野であり、特に日本の企業を見ると、99%以上は中堅・中小企業だということで、この中堅・中小企業における働き方改革こそが、デジタル化が急務であると考えている」と強調した。

レポート目次

1:パートナーシップ強化の背景

2:光クラウド電話のサービス概要と、Webexとの連携強化のポイント

3:Webexのサービス概要、両社のパートナーシップにおける今後の展望