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ノキア ローカル5Gラボ・オープニングセレモニー【4】

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オープニングセレモニーには多くのエコシステムパートナーが参加し、ローカル5G活用のプレゼンを行った。ここではその一部を紹介する。

道路事業者向けや、屋内設備点検での活用【日立国際電気】

 様々な社会インフラを支えるシステムサービスを通信と映像技術を使って提供してきた日立国際電気は、ローカル5GとAIを組み合わせた取り組みについて紹介した。

道路事業者向けの取り組み

 道路事業者向けの取り組みとしては、道路メンテナンス作業の効率化と、安全確保に寄与するものの二点が紹介された。
 「遠隔作業支援」は、スマートグラスの映像を遠隔の管理事務所から共有して熟練者が支持を行うことにより作業ミスを無くし効率を改善する。
 「安全確保」では、工事現場に居眠り運転の車が突っ込む事故が後を絶たないため、AIで早期に発見してアラート通知するシステムが提案されている。

道路事業者向けの取り組みのイメージ。

「安全確保」のフィールド実証におけるシステム構成。4Kカメラから5Gルータ・基地局を経由して、PCで画像を解析してサーバに映像を届ける。そして、危険を検知したら警告灯やスマートフォン通知を実施する。

工事現場の映像をAIで処理する処理。トンネル内の作業員や車の状況を常に把握し、事故を未然に防ぐ。

ローカル5Gを活用した小型ドローンによる屋内設備点検

 屋内の設備点検を小型ドローンで実施する取り組みも紹介された。人では行きづらい場所や、設備の陰なども、ドローンが巡回計画に従って撮影する。AI検知により、事故、もしくは不審人物を発見した時には警備室に自動発報することもできるという。

屋内設備点検の実証の様子。

AIエッジコントローラ

 カメラ監視の課題の一つとして、製造現場、生産ラインで危険なことが起きた場合、その情報をクラウドに上げて処理をしていると、途中のインターネット回線などがボトルネックになり事故への対応が遅れてしまうリスクが指摘されている。そこで同社は、現場に近いエッジでAIの処理を実施して即時判断、即時制御を実施する「AIエッジコントローラ」を提案している。同社は「既設のカメラの隣にアドオンするモデルと、カメラと一体型になっているモデルを、今年度に発売する予定だ」と話している。

AIエッジコントローラの利用イメージ。

分散型アンテナシステム(DAS)をローカル5Gで活用【東芝インフラシステムズ】

 東芝インフラシステムズは、キャリア5Gで導入されている分散型アンテナシステム(DAS:Distributed Antenna System)の、ローカル5Gでの活用を説明した。DASは、モバイルの電波が届きづらいエリアに無線信号を中継して不感地帯を解消するシステム。同社は「LTEよりも高い周波数である5Gは直進性が高いので、遠くまで届きづらいという課題がある。それを解決するDASが活躍する機会が増えている状況だ。既にキャリア様に多数ご採用いただいており、子機ベースで19万台以上が稼働している」と話す。

DAS の利用イメージ。このシステムは、基地局が送受信する電波を光信号に変換して伝送・分配することで、通信エリアを拡張する。同社は「ビルや地下など電波の届きにくい屋内環境、駅やスタジアムなどの屋外環境等、全国で導入が進んでいる」と話す。

 同社はローカル5GにおけるDASの活用メリットとして、次の二つを示した。

  • ローカル5Gは制度上、自己の土地以外に電波を漏洩させてはいけない。それから隣接する他社事業者の干渉を抑えるといった課題がある。工場、プラントといった遮蔽物の多い金属の構造物が多い電波対策にDASの方が有効に機能する。
  • 高速道路や鉄道といった線上の細長いエリアを効率的に5Gエリア化するためのエリアシミュレーションや無線設計で、非常に負荷が高まっている。DASは基地局と同期するので、干渉を抑制でき、基地局と組み合わせて効率的に設備配置することでシステムトータルのコストを削減できる。また、エンジニアのコストも抑えることができる。

ローカル5G DASの外観

 高速道路の取り組みでは、日本初の都市内高速道路上のローカル5G無線通信エリア構築の研究が、東芝インフラシステムズ、ノキア、首都高速道路の三社共同で3月より実施されている。共同研究の目標は、「都市内高速道路における線状の無線通信エリア構築方法の確立」「シミュレーションと実測の差異分析による効果的なエリア設計手法の確立」だという。
 この共同研究では、DASをカーブに活用する事で、歪曲したエリアにおいても効率的且つ柔軟なエリアカバーを実現できることの検証を行う。また、ノキアのローカル5G無線基地局として、ミリ波帯のビームフォーミングアンテナと、sub6帯の無線機と指向性アンテナの組合せによる直線エリア構築の技術検証も行う。
 無線のエリア設計は、詳細な現場環境に基づいたシミュレーションを行い、システム構築と現地での電波測定を通じて取得した実測データとシミュレーション結果を比較し、実測に近いシミュレーションを行う方法を検討しているという。

共同研究のイメージ。

オープニングセレモニーでは、エコシステムパートナーと共にテープカットが実施された。

レポート目次

■登壇者のスピーチ
駐フィンランド大使 藤村和広氏、 フィンランド共和国・開発協力・外国貿易大臣 ヴィッレ・スキンナリ氏

ノキア CEO ペッカ・ルンドマルク氏、 ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 エンタープライズビジネス統轄 ドニー・ヤンセンス氏

■ラボ内部の様子と、ローカル5Gソリューション
ローカル5Gラボの内部、 リモートひび割れ検知【日本システムウエア・TeamViewer Japan】

・道路事業者向けや、屋内設備点検での活用【日立国際電気】、 分散型アンテナシステム(DAS)をローカル5Gで活用【東芝インフラシステムズ】