ノキア ローカル5Gラボ・オープニングセレモニー【2】
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ノキア CEO ペッカ・ルンドマルク氏のスピーチ
イノベーションと産業化 プライベートネットワーキングのストーリー
5Gは消費者にとって素晴らしいものであり、日本のお客様も最も熱心な加入者だと思う。まさに最先性を楽しんでいただいていると思う。そして今、コンシューマだけでなく、産業界でモバイルネットワークがだんだんと伸びてきている。
沢山のデータセンタスイッチングからIPルーティングまでやることは沢山あるが、最も重要な開発というのは産業ユースケースの開発となる。それは、エネルギー、製造といったところでプライベートワイヤレスネットワーキングを使っていただくということだ。既にノキアの顧客の450社にプライベートネットワーキングを使っていただいている。そしてその内の1/5はアジア太平洋地域のお客様だ。90社ほどのお客様が、プライベートネットワーキングでの一部、もしくはフルで5Gをお持ちだ。
このプライベート5Gネットワーキングというのは、そんなに難しいことではない。とてもシンプルだ。皆様が工場とか港とか産業のキャンパスを持っているとする。もし、すべての機械やロボット、車両や装置が繋がったら、高生産性や効率、そして作業員の安全も改善することは分かっている。マシンとデバイスが繋がったということだ。
プライベートネットワークなら安全で信頼性が有り、パフォーマンスが良く拡張性も有る。そのため、今後10年で世界中の何百万という産業用キャンパスがこれを採用するだろう。その数は、我々の調査によると1500万に上る。しかし、現時点で導入されているのはそのうちの0.0002%だけだ。これはつまり、ローカル5G市場には、まだまだポテンシャルがあるということだ。
我々の観点から言うと、ローカル5G市場は従来のオペレータ主導のマーケットとは全く違うと言える。そして、もう一つ言えることは、皆様はそうしたアーリーアダプターの一人であるということだ。他社と比べて驚くような生産性の向上を実現できる千載一遇のチャンスを、今まさに皆様は手にしている。
アーリーアダプターの例
このアーリーアダプターの例をいくつかご紹介したい。ルフトハンザドイツ航空グループの修理や保守をおこなうドイツのハンブルグの拠点で、ノキア5Gプライベートワイヤレスを展開した。2年間のトライアル中、エンジニアが5Gによる高解像度のビデオストリームでエンジン部品を検査できることが判った。コロナの流行によって、顧客はハンブルグまで来て、直接エンジンパーツを検査することができなかった。そこで5Gのプライベートネットワーキングが、最高の高解像度の検査、更にはARによる機能強化も実現した。その結果、わずか0.3ミリの傷も、地球の反対側にいるエンジニアが見落としなく識別できるようになった。
製造分野では、アルチェリッキ(Arçelik)がトルコ初となる5Gレディなプライベートワイヤレスネットワークを製造施設で導入するにあたり、ノキアとCSPパートナーがネットワークを構築した。このパートナーシップの最初の段階では、4.9G技術をベースにAGV(無人搬送車)のパフォーマンス向上をめざした。これをフル5Gに移行すれば、高精度の室内測位でリアルタイムにアセットの追跡ができる。また拠点の安心・安全の為の画像分析ベースのアプリケーションが実現する。そして将来のための計画には、IoTアプリケーションで叶えたいものがリストアップされている。それは、AR、VR、デジタルツイン、在庫管理、安全と拠点の管理、品質管理、遠隔検査のための高解像度ビデオ、そして拠点をカバーする音声と画像入力通信だ。実際にアルチェリッキのチーフ戦略デジタルオフィサーは「5Gレディのプライベートネットワークは、30以上のユースケースで生産性効率性、そして安全性を向上させるだろう」と言っている。
日本のお客様も、この5Gインダストリーを率先して採用されている。日本製鉄での我々のキャンパスネットワークは、ここ数年製造設備での安全性を向上させ、保守によるダウンタイムを最小限にしてきた。5Gのキャンパスネットワーキングは、日本全国の幾つかの自動車工場にインストールされている。また、今年に入り、オムロンは滋賀県にあるオートメーションセンターの製造業務系のプライベートワイヤレスネットワークのトライアルで、ノキアと日本製鉄を選んだ。そして数日前、東芝が首都高速のプライベートネットワーキングでノキアを選んでくれた。
デジタル無しでグリーンは無い
もう一つお話ししたい点がある。持続可能性についてだ。デジタル化によって、よりグリーンなビジネスができると言われているが、これは正しくない。実際には、デジタル無しでグリーンは無い。エネルギーや資源の効率化という意味でのデジタル化に当てはまる、物理的なプロセスやマトリクスやプロジェクト計画があるわけではない。テレコム分野で造られる製品とサービスは、自動運転車や予測可能な暖房や照明といったデザインにより、グリーンな技術を解き放つだけでなく、業界のデータを集めてかみ砕いて利用することも提供できる。そこで今回、ローカル5Gラボを開設した。皆様がこのラボで様々なトライアルをし、デバイスやソリューションやユースケースをテストしていただくことによって、気候変動に影響が及ぶようなことも確認することができる。
ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 エンタープライズビジネス統轄 ドニー・ヤンセンス氏のスピーチ
インダストリー4.0 のデジタル化によるビジネス価値の創造
早くから豊富な5Gの周波数がエンタープライズ向けに存在している日本は、イノベーションの温床としてIoT、AR、VRなどのエキサイティングなユースケースを生んでいる。ノキアのローカル5Gのパートナーのエコシステムは、そのイノベーションの最前線で様々な産業のデジタル化を支えている。今回、ラボを構築し、パートナーの皆様とより速いペースでよりイノベーションを推進できることを嬉しく思っている。
インダストリー4.0には、次の3つ命題がある。「デジタル化」は、物理資産を見える化して制御しやすくすることにより、高い成果を上げる。そしてより重要なことは、安全性と効率性も高めていくという点だ。「レジリエンス」は、コロナ禍によって流動的な状況でも事業を継続することの重要性が浮き彫りになった。「サステナビリティ」は、事業目標だけでなく環境目標の達成も重要になっていることを表している。ノキアは独自の設計構築によりミッション、ビジネス、社会にクリティカルなネットワークを支えている。本日はデジタル化のイネーブラーについて、プライベートワイヤレスネットワークの観点からお話しする。
IoTのエコシステムやデバイスマネージメント、産業用端末などに対応することは非常に重要なことで、それにはパートナーが必要になる。ノキアはパートナーと共同しながら、様々なイネーブラーをアプリケーションに追加している。このプラットフォームによって、非常にオープンなコラボレーションが生まれる。日本のパートナーと共同することでユースケースを検証、ラボでテストすることができる。新しいアプリケーションを作成するプラットフォーム上にオンボードしていくことができる。オンボードすることができれば、ユースケースをお客様に展開することが効率的に、そして信頼性高く展開することができるようになる。
ノキアは日本でもローカル5Gのエコシステムパートナーと共に、ローカルのユースケースの開発やテスト、展開に取り組んできた。多くのウェビナーを開催してきた。ローカル5Gの動向やメリット、そしてユースケースに対する啓蒙活動を実施してきた。ノキアのプライベートワイヤレス製品の強みと、日本固有の専門性やソリューションを組み合わせることが、成功のカギとなる。グローバルな企業であるノキアには、ローカルな専門性を持つパートナーが必要になるということだ。パートナーシップの結果として、先ほどご紹介した首都高速道路など、様々なセグメントで案件を獲得している。今回のラボ開設によって、より密な協力が実現して、より早いイノベーションが生まれることを楽しみにしている。
パートナーはノキアにとって非常に重要だ。様々なミッションクリティカルネットワーク構築の知見をお持ちだ。弊社のGo To Marketパートナーシップも拡大しており、強力な企業の皆様が日本において弊社のソリューションを販売してくださっている。ノキアのグローバルな知見と先進的なプライベートワイヤレス製品、そしてパートナー様のローカルな専門性を組み合わせることで、あらゆるものに対応できるようになる。
レポート目次
■登壇者のスピーチ
・駐フィンランド大使 藤村和広氏、 フィンランド共和国・開発協力・外国貿易大臣 ヴィッレ・スキンナリ氏
・ノキア CEO ペッカ・ルンドマルク氏、 ノキアソリューションズ&ネットワークス 執行役員 エンタープライズビジネス統轄 ドニー・ヤンセンス氏
■ラボ内部の様子と、ローカル5Gソリューション
・ローカル5Gラボの内部、 リモートひび割れ検知【日本システムウエア・TeamViewer Japan】
・道路事業者向けや、屋内設備点検での活用【日立国際電気】、 分散型アンテナシステム(DAS)をローカル5Gで活用【東芝インフラシステムズ】