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中川新社長が率いるシスコジャパンの重点戦略【2:コロナ前には戻らないユーザのビジネス環境を支える、シスコのデジタル変革】

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2021年度下半期の重点戦略

 シスコは“すべての人に開かれた未来を創る”を自身のパーパスとして掲げている。コロナ禍で様々な変化が加速的に進み、飲食・サービス業への打撃、企業の大型投資の抑制といったネガティブな様相を呈している一方で、企業のクラウドへシフトやDXへの進展、デジタル庁の発足などポジティブな流れも錯綜した混沌とした世界となっている。その中で中川氏は「まさに時代が変わろうとするこのタイミングは、脅威ではなく新しい世界、ニューノーマルに向けた新たなる世界を作るチャンスだと考えている。我々はこれを機に、デジタルで日本のすべての人に開かれた未来を提供するため、人材と企業文化を基盤としながら、四つの戦略を推進していく」と語った。
 中川氏が掲げる四つの戦略の概要は次の通り。

  • これまで遅々として進まなかった働き方改革を含めた、企業のDX実現の支援
  • 日本の医療や教育、公共サービスなど、日本社会全体のデジタイゼーションへの貢献
  • シスコ自身の変革として、製品提供やシステム構築などのインフラ構築に特化したビジネスモデルから、ユーザのライフサイクル全般を支援するビジネスモデルへの変革
  • 上記の新たなビジネスモデルをパートナーとの協業に拡大し、ユーザへの価値を最大化する新たなパートナーモデルの推進

 ここからは、各戦略の詳細を見ていきたい。

戦略1:日本企業のデジタル変革を支援

コロナ前には戻らないビジネス環境を支える、シスコのデジタル変革。

 中川氏は「企業のデジタル変革において重要な観点は、今のコロナ禍の環境というものは一過性のものではないということ。元には戻らないという事実だ」と指摘しており、「お客様のニューノーマルへの対応として、今、企業のネットワークの在り方は変わろうとしている。それがシスコの提唱する“Cisco Secure Work from Anywhere”だ。ニューノーマルにおける働き方は、間違いなくハイブリッド型ワークスタイルになってくる。これまでのVPNを前提とした社内ネットワークから、マルチアクセス、マルチクラウドを前提とした、インターネットを中心としたネットワーク環境になってくる。そのような複雑な環境下では、インフラの可視化、分析、自動化、そして全体最適することが重要だ」と説明している。
 そこでシスコは、“Cisco Digital Network Architecture(DNA)”というフレームワークを通して、新しい企業ネットワークのアーキテクチャを実現していくという。そのポイントは次の四点となる。

マルチアクセス:オフィスのみならず、屋外、工場、店舗、どこからでもシームレスに社内やクラウドにアクセスできるアーキテクチャを構築する。サービスの要求、適正に合わせて、4G、オフィスWi-Fi、公衆Wi-Fi、5Gなど、マルチアクセスをシームレスにかつダイナミックに連携し、活用できる環境を提供する。人だけではなく、IoTなどの各種デバイスなどのネットワークを含む。

マルチクラウド下でのアプリケーション最適化:シスコでは、アプリケーション、そしてサービスをデータセンタに集約し、アプリケーションが求める最適なネットワークをダイナミックに利用できるアプリケーション セントリックを提案している。これによりユーザは、どこからでもクラウドアプリケーションをストレスなく利用できるようになる。
シスコはSD-WANを用いてアプリケーションごとに最適なWAN回線をセキュアかつダイナミックに使い分けるとともに、アプリケーションのレベルでパフォーマンスを可視化し、ボトルネックを回避し、常に最適なWAN回線を利用できる環境を提供する。

インテントベースによるインフラ統合管理:企業内ネットワーク、WAN、データセンタなど、異なるネットワーク環境をまたがって、ビジネスの要件、すなわちユーザのインテントに応じたネットワークのポリシーをネットワークのエンド・ツー・エンドで統合的に運用、変更ができる。ユーザの意図、すなわちインテントを表現すれば、これまでのように細かなコンフィグなどを実施せずに、自動的にネットワークの設定ができる。そうすることによって、運用の負荷の軽減、あるいは障害対策の迅速化、サービス要求への迅速な対応ができる。将来的にはAIを用いて完全自動化運用も視野に入れているという。

Zero-Trustセキュリティ:セキュリティの脅威がより一層増す中で、インターネットを中心とした環境ではZero-Trustの考え方が非常に重要となる。オフィス、リモート環境、店舗、工場、データセンタ、クラウド、コンテナ環境など、非常に広範囲にわたるインフラのセキュリティを担保するためには、多要素認証を中心としたZero-Trust化が効果的だ。
 シスコでは企業ネットワークのZero-Trust化を最も効果的に支援するソリューションとして、強力な多要素認証(MFA)と優れたエンドポイントの可視性でワークフォースを保護できる“Secure Access by Duo”や、クラウドセキュリティの“Cisco Umbrella ”、セキュリティの視点でのネットワークを可視化する“Cisco Secure Network Analytics(旧 Stealthwatch)”などを展開している。

レポート目次

1:コロナ禍における堅調なビジネス成長
2:コロナ前には戻らないユーザのビジネス環境を支える、シスコのデジタル変革
3:シスコ自身のビジネスモデルの変革