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シスコの2020年度事業戦略【2:カントリーデジタイゼーション】

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シスコグローバルが展開する戦略的な投資プログラム

シスコシステムズ
代表執行役員会長
鈴木和洋氏

 シスコシステムズ 代表執行役員会長の鈴木和洋氏からは、シスコ グローバルが展開する戦略的な投資プログラムである「カントリーデジタイゼーション アクセラレーション(CDA)」が紹介された。CDAは、シスコが事業展開をする主要国に対して中長期のシスコのコミットメントに基づいて、戦略的な、人、モノ、金の投資を行うというプログラム。これは資金提供や出資活動もすべて含まれている。鈴木氏は「CDAのテーマは、その国の抱える課題解決、あるいは経済成長のための成長戦略に関与・貢献しながら新しい市場をそこで創り出し、国と共にシスコも成長するというプログラムだ」と説明する。
 CDAはグローバルで10ヵ国以上の実績がある。例えば、スマートシティではフランス、中国、インダストリー4.0ではドイツ、サイバーセキュリティでは英国、オーストラリアで実績が有る。鈴木氏は「このCDAを日本でも展開することが決定した。日本政府が掲げるソサイエティ5.0、データ駆動型社会の変革というビジョンに呼応するような形で展開したいと考えている。既に内閣府が2018年に発表している未来投資戦略2018の中にある、6つのフラグシッププロジェクトとなるが、我々はそれに呼応する形で4つの注力分野を設定している」と話す。

シスコのカントリーデジタイゼーション アクセラレーション

日本のカントリー デジタイゼーション

 シスコはSociety5.0に向けて、日本の持続的な経済成長と安心・安全な社会実現を支援するという。鈴木氏の示す注力分野の一つ目はTT&Tだ。特に観光産業に関しては、日本政府が掲げる2020年に4,000万人のインバウンドツーリストと8兆円のマーケットを作るという目標、そして2030年に6,000万人のインバウンドツーリストと15兆円のマーケットを作るという目標に呼応していくという。鈴木氏は「ここ数年間でいくつかの実績を作っている。京都府様とはインタラクティブ・デジタルサイネージを使った周遊観光の促進や、街頭のネットワーク化がある。三井不動産様とは、ビデオカメラやAIを駆使した、卒倒者、転倒者向けの緊急対応システムの実証実験を日本橋コレドで進めている。JR東日本様のモビリティ変革コンソーシアムにおいては、駅とスタジアムを繋いだ新しい人の流れを創り出すプロジェクトに参画している。これらを、CDAのプログラムを使って更に加速して行く」と説明している。
 インダストリー4.0に関してシスコは、世界的に有名な産業機器メーカー達と協業しながら、幾つかのソリューションを構築、展開している。鈴木氏は「FANUC様とは、ロボットのゼロダウンタイムや、工場の自動化に向けたフィールドシステム。Mazac様、THK様とは機械のデータ収集、効率的なデータ収集の仕組み、ダッシュボード化、予防保守といったサービスを既に展開している。その他の産業機械メーカーに対しても、様々な形でソリューション作りのお手伝いをしており、実績は広がっている」と説明している。
 デジタルワークプレイスでは、中小企業の支援をキーワードの一つとして挙げている。鈴木氏は「働き方革命と言われている中で、既に大企業においては何らかのアクションをとられているとされるが、労働人口の70%は中堅・中小の企業で働いているので、その働き方改革が実現しない限りは、真の働き方改革が実現されないことになる」と指摘する。例えば、リコーとの協業では複合機の協業ソリューションを展開。また、ソニーの高精度なカメラをテレプレゼンスと組み合わせた協業ソリューションを、学校や公共機関に提案している。
 パブリックセキュリティでは、内閣サイバーセキュリティセンターと連携、協力しており、サイバーセキュリティ インテリジェンス&リサーチ グループであるCisco Talosとの情報共有の仕組みを作るといった試みや、サイバーセキュリティ人材を養成するためのカリキュラムをシスコで拡充するなどのサポートをする予定だという。

シスコが描く日本のカントリー デジタイゼーション

 鈴木氏は「シスコは既存のマーケットの中でBest of Leadのソリューションをお客様にご提供するとともに、日本の政府の掲げる課題解決や成長戦略を支援することによって、そこで新しい市場、新しいマーケットをクリエーションし、我々のビジネスも成長させるといったことも考えている。これがシスコジャパンの中長期の成長戦略だ」と話している。

レポート目次

1:直近一年の総括と2020年度の事業方針

2:カントリーデジタイゼーション

3:サービスプロバイダ事業の戦略

4:中小企業市場に向けた事業戦略