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中国の光通信製品市場を探る~第18回CIOEプレビュー~(5)

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横河メータ&インスツルメンツ

 同社や代理店のブースでは、中国市場で売れ行きの良い製品群として光スペクトラムアナライザ、光波長計、OTDRが展示される。各測定器は中国語への対応や、中国市場からニーズのある測定機能を各種備えている。

3種類のOTDRモジュールを新たに追加

 OTDR「AQ7280」はマルチタッチ対応の8.4型の大型LCDや、豊富なユニット・モジュール、そして15時間バッテリ駆動という特長を備えた製品。中国市場では、前モデルである「AQ7275」からこの「AQ7280」への移行が進んでおり、数多くの販売実績が有る。
 「AQ7280」ではスマートフォンと同様のマルチタッチにより、直感的な操作性とショートカットを利用した効率的な操作性を実現している。画面にキーボードが表示されるので、文字の入力も容易だ。
 「AQ7280」には、脱着可能なOTDRユニットやOPM/VLSモジュールを多数ラインナップしている。今回の注目は、今年6月に発売された3種類のモジュール「AQ7283J」「AQ7283E」「AQ7282G」で、海外市場のニーズに応えた製品だ。また、MMF用OTDR「AQ7282M」に光源機能オプション(波長850/1300m、安定度±0.15dB)が新たに追加された。

Water-Peak波長の1383 nmを加えた4波長1ポートモデル

 「AQ7283J」は4波長(1310/1383/1550/1625 nm)を1ポートに搭載しているため、光コネクタを切り替えることなく4波長の測定が行える。多波長測定機能により、1ボタン操作で全ての波長の測定とデータ取得が可能だ。USBやEthernet経由で遠隔操作による測定もできる。
 1383nmの測定はOH基による光吸収の確認に有効な機能。近年の光ファイバは、CWDMも考慮した低OH型SMFが主流になっており、製造およびケーブル化工程において専用システムもしくは「AQ7283J」のような1383nmに対応したOTDRによる検査・試験のニーズが増えている。
 また、従来の光ファイバにはOH基が含まれるため、1383 nm付近の光が吸収され光損失が非常に大きくなる。そのため、CWDMネットワークを導入する際に既設の光ファイバが1383nmの光を吸収するかをフィールドで確認する用途でも「AQ7283J」が役立つ。
 横河メータ&インスツルメンツ マーケティング部 商品企画Gr. マネージャの森田晋行氏は「ケーブルメーカーを中心にお引き合いを頂いているモデルだ。1383nmを測定できる製品としてリーズナブルな価格でご提案していく」と話している。

「AQ7283J」の測定画面

「AQ7283J」の測定画面

現用光カットフィルタ内蔵の波長1625 nm 回線保守モデル

 「AQ7283E」は1310/1550+1625nmフィルタ付 2ポートOTDR。現用光カットフィルタにより、通信が行われている光ファイバ線路(現用回線)のOTDR測定が可能だ。また、波長1650nmフィルタ付モデル「AQ7283F」も用意している。森田氏は「国内では1650nm、海外では1625nmが保守や監視用途で使われていることから、現用光をカットするフィルタを内蔵し、そのまま接続して測ることができるOTDRを製品化した」と話す。
 中心波長1625 nm±10 nmを保証しており、使用波長範囲が限られる10GE-PONの保守にも対応する。森田氏は「10GE-PON では1580nm帯が使われるので、測定時にこの波長への影響が無いよう波長確度を高くしている」と説明している。

現用回線のOTDR波形例

現用回線のOTDR波形例

 また、マクロベンディング測定も可能だ。光ファイバの曲げ損失は、短波長に比べ長波長で大きくなる。各波長で測定したOTDR波形を比較することにより、曲げ(マクロベンディング)の検出を行うことができる。

マクロベンディングのOTDR波形例

マクロベンディングのOTDR波形例

FTTH用途に特化した1310/1490/1550nmモデル

 「AQ7282G」は1310/1490/1550nm 1ポートOTDR。FTTHで使われる3波長に絞ることで、より低価格化を実現している。

高性能でコストパフォーマンスに優れた光波長計

 光波長計「AQ6150シリーズ」は、光通信に応用される1270~1650nm帯域の光デバイスやシステムの光波長を正確に測定する測定器。最小5GHzの分離分解能で、1入力あたり最大1024波長まで同時に高速かつ正確に測定することが可能だ。
 マイケルソン干渉計とハイスピードな高速フーリエ変換(FFT)の採用により、単一波長のレーザ信号だけでなく、DWDMシステムやファブリペローレーザの複数波長のレーザ信号も測定することができる。
 森田氏は「お客様のご要望を元に新たに追加した機能が2つある。まず、ITU-Tのグリッドに対するズレを表示する機能。そして簡易的なOSNR測定機能だ。OSNR測定機能は光スペクトラムアナライザほどの高OSNR測定をすることはできないが、問題の有無を確認することはできる」と話している。

厳しい確度が要求される用途にも対応

 「AQ6150シリーズ」には、2つのモデルがある。高確度モデル「AQ6151」は±0.3pmの確度を提供しており、LDチップの検査、波長可変LDやWDM伝送装置の調整・検査など、厳しい確度が要求される用途にも使うことができる。森田氏は「AQ6151は連続測定における瞬断後の復帰が早いとご評価を頂いている。例えば、複数レーザを自動測定する場合、レーザを光スイッチで切り替える際に光入力が瞬断する。瞬断発生後、迅速に復帰することで測定時間が短縮できるよう設計した」と説明している。
 標準確度モデル「AQ6150」は、「AQ6151」の高確度を必要としないアプリケーションに±1pmの確度をよりリーズナブルな価格で提供している。

運用コストの低減

 内蔵された波長基準光源(He-Neレーザ)の安定した光波長を基準とするリアルタイム補正により、「AQ6150シリーズ」は長期にわたる高い波長測定性能を実現している。同社では本体の価格を抑えることに加え、この波長基準光源の交換周期の延長や低価格な交換サービスの提供により、ユーザの中長期的な運用コストの低減も実現している。

置き換えが容易なリモートコントロール

 「AQ6150 シリーズ」では、GP-IBやEthernet のリモートコントロール用インタフェースを使用して、容易に自動測定システムを構築できる。リモートコントロールに使用する制御コマンドは、測定器に一般的に使用されているSCPIに準拠しているので、同社製「AQ6140 シリーズ」光波長計や他のSCPI 準拠の光波長計から置き換える場合は、測定プログラムを変更する手間が無く、測定システムのアップグレードが簡単に行える。

最新の光スペクトラムアナライザを4機種展示

 光スペクトラムアナライザでは、通信波長帯域に最適化された「AQ6370D」、家電製品、バイオメディカル、材料加工などに応用される可視光の測定に最適な短波長モデル「AQ6373B」、センシングや医療などに応用される近赤外域モデル「AQ6375B」と業界初の中赤外域モデル「AQ6376」の4機種が展示される。

迷光抑圧比向上で高ダイナミックレンジを実現

 「AQ6370D」は通信分野に代表される波長帯域(600~1700nm)に最適化したベンチトップ型の光スペクトラムアナライザ。世界最高クラスの光学性能と高速測定により研究開発から製造シーンまで幅広く利用できる。波長分解能は0.02nm。ダイナミックレンジは78dB 。迷光抑圧比は80dB.。データロギング機能や拡張マーカ機能なども搭載している。
 データロギング機能では、測定値の記録だけではなく、カーソルを設定することで特定の時間内の変化量を表示できる。また、カーソル点の光スペクトルも表示できるため、そこで何が起こっているかを確認できる。WDM 解析、DFB-LD 解析に最適だ。
 拡張マーカ機能は、マーカ点のパワー密度や積分値を算出する機能。通常、光信号に変調がかかると波形が広がるので、ピーク=トータルパワーではなくなる。この機能を使うと、変調がかかっていても信号光のパワーを正確に測定することができる。この機能には、もう1つの利点があり、信号光のトータルパワーとノイズのパワー密度との差を見ることでOSNR の値を波形から直接知ることが可能だ。
 「AQ6370D」は中国ユーザのために中国語表示にも対応している。

3μm帯レーザの高精度測定を実現

 「AQ6376」は3μm帯に対応した業界初の分散分光方式のベンチトップ型光スペクトラムアナライザ。 測定ダイナミックレンジ80dBと近傍ダイナミックレンジ55dBの性能により、困難だった3μm帯の半導体レーザのサイドモードやASE成分の測定を容易にした。

掲載出展社(50音順)

NTTアドバンステクノロジ
住友電気工業
日新化成

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