つくばフォーラム2024Preview【NEC】
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IOWNの社会実装や、光ファイバセンシングの取り組み事例
IOWN社会実装に向けたNECの取り組み
NECは、APNを中心としたIOWN構想の主要技術分野の技術開発に取り組み、IOWN-GFの活動や、APNの社会実装の研究開発、PoCを実施している。今回は、こうしたベンダとしての立場だけでなく、IOWNとNECのアセットを組み合わせて社会価値を創造するイネーブラーであることや、その価値創造のためにIOWNの理解を深めるスーパーユーザーとしても取り組んでいることが、各社との共創事例を交えて紹介される。
NECは、IOWNユースケースの検証のためにNEC CONNECT Labを我孫子事業所と玉川事業場に開設し、パートナー企業との共創を加速している。
NTT東日本IOWN LabとNEC CONECT Labを接続した事例では、APNを経由した遠隔からのリアルタイム顔認証の実証を実施。NECは「映像内に登場する多数の顔データを同時にリアルタイムで行う場合、高速処理が求められるため、通常は解析用の認証サーバを撮影場所付近に設置する必要がある。この実証では、撮影した映像データをAPN経由で遠隔の認証サーバに伝送し、その顔認証の結果をAPN経由で戻したところ、リアルタイムに反映できることが確認できた。これにより、ローカルの環境にサーバを設置する必要が無くなるので、導入コストを削減できる」と説明している。
IOWNを活用したNECのAPNと、分散クラウド環境下でのデータ管理を高速・低遅延で実現するオラクルのOracle Cloud Infrastructure(OCI)を組合せた事例では、インタラクティブなリモートライブ参加を想定した自由視点鑑賞デモ環境をNEC CONNECT Labに構築した。NECは「具体的には、ライブ現場のカメラをリモートで鑑賞者が操作するというものだ。ステージ上で動いている対象をカメラで追う場合、従来のインターネットではタイムラグが生じて上手く捉えることが難しいが、IOWNならば240kmの距離でもリアルタイム制御が可能であり、自由視点鑑賞の要件を満たすことが確認できた」と説明している。
上記ラボ以外の事例では、NTTや複数の大学と共同で、データセンタエクスチェンジ(DCX)の実現に向けAPNを活用した光波長パス設定技術を実証している。これまで熟練作業者が2~3時間以上かけて行っていた光波長パスの設計・設定を、自動化により数分で実施することが可能となったという。
NECはIOWN関連で確定遅延コンピューティング基盤技術にも共同参加しており、ブースではその詳細も解説される。
NECは「NTT関連やIOWN-GFの方々を中心にNEC CONNECT Labの利用や見学が増えている状況だ。今回、様々なユースケースをご紹介することで、共創の動きを加速させたい」と話している。
光ファイバセンシング技術を活用したNECの取り組み
NECは、光ファイバセンシング技術に自社AI技術を組み合わせた振動検知ソリューションの実績を増やしている。その取り組みの方向性は「IOWN APNを支える基盤である光ファイバ網の運用・保守信頼性への貢献」と「IOWNネットワーク(超高速/低遅延伝送)を活用し広域モニタリングによる安心安全社会への貢献」であり、今回はそのユースケースが紹介される。
通信用光ファイバケーブルの保守、運用の効率化では、地図上に正確なケーブルルートを作成して、光ファイバケーブルの効率的な保守と損傷した光ファイバの復旧への迅速な対応を実現する「ケーブル位置確認」、埋設された光ファイバケーブル周辺環境の振動を計測し、予期せぬ工事などの異常振動を検知する「ファイバケーブル切断防止」、特定の光ファイバケーブルに振動を与え、光ファイバ毎に振動の有無を検知することで、光ファイバケーブル束の中から対象ケーブルを特定する「ケーブル特定」が紹介される。
次に、社会環境の広域モニタリングの共創事例を見ていきたい。
NTT東日本、鹿島建設との工事振動の検知では、既に電柱に共架している通信用光ファイバを振動センサとして活用する実証に成功している。NECは「建設工事に伴って周辺の地域で発生する振動状況を広範囲かつリアルタイムに把握できるので、新たにセンサを設置することなく、周辺環境に配慮した施工が可能だ」と説明している。
NTT、NTT東日本との共創事例では、既に地下に敷設してある通信用光ファイバに伝わる振動特性から路面状態を推定する機械学習モデルを構築し、豪雪地帯における道路除雪判断を行う実証実験に世界で初めて成功した。NECは「路面状況が積雪により変化すると、振動センサで収集する車速や振動周波数の特性も変化する。これを機械学習することによって除雪要否判定モデルを構築した。この判定モデルにより、調査員の経験則を必要とすることなく、適切な除雪判断をリモートで実現できる」と説明している。
こうした振動検知ソリューションは海外からの引き合いも増えていることから、ソリューション名を『NEC Fiber Optic Smart Sensing System』に変更し、積極的に展開しているという。
特集目次
■NTT AS研 海老根所長インタビュー
■パネルディスカッションや技術講演
■出展社Preview
・NEC