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「Nokia Connected Future 2023」Review【5:Cloud RAN時代に向けたノキアの強み】

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Cloud RANを追加したハイブリッドな無線ネットワークに向けたソフトウェア「anyRAN」

 ノキアは、モバイルネットワーク事業者や企業のCloud RAN導入をサポートする取り組みを進めており、MWC2023ではその一環である「anyRAN」ソフトウェアを発表して世界の注目を集めた。
 「anyRAN」は、Cloud RANと、従来から使われているPurpose BuiltなRANの両方をサポートしており、Nokia AirScale基地局やNokia AirFrameサーバに加えて、あらゆるパートナーのクラウドおよびサーバ インフラ上で動作させることが可能だ。これにより、クラウド インフラ層とデータセンタ(サーバ)ハードウェア層で深いマルチレベルの分解が可能になるため、導入の複雑さが解消される。
 チョー氏は今後のRANの進化について「テレコム向けに設計された既設のPurpose Built RANを、すぐにCloud RANへ100%移行することは難しいので、部分的にCloud RANへと進化させていく形になる。今後の無線ネットワークは、既設のRANと新たなCloud RANによる、ハイブリッドなネットワークになるだろう」と話しており、その要点を下記のように示している。

  • Cloud RANの導入は、最初は特定の地域やRANレイヤに絞られ、適切な時期と場所に段階的に実施される。
  • 一貫したネットワークパフォーマンスを実現するために、Cloud RANには、導入当初から現存ネットワークと同等の機能・パフォーマンス・TCO(コストと消費電力の面で)が求められる。
  • クラウドネイティブSWは、既存RANと新しいCloud RANの間で共通して使用できる必要がある。
  • エコシステム全体の機能の恩恵を受けるためには、Cloud RANがサードパーティの主要エレメントとの互換を保つ必要がある。

Cloud RAN In-line L1アクセラレーション

 「anyRAN」の特長の一つとして、In-line L1アクセラレーション パフォーマンスの保証がある。
 In-lineアーキテクチャは、インターフェイスカードで全てのL1処理を行い、CPUリソースはL2とL3の処理に使用するというもの。CPUの負荷軽減を図るIn-lineアーキテクチャは、5G以降の信号処理で求められる、リアルタイムかつ負荷の高い演算に対応する手法として注目が高まっている。
 Nokia In-lineアーキテクチャ オプションであるNokia SmartNICは、Purpose Built RAN環境とCloud RAN環境の間で同等のパフォーマンスを提供し、要求の厳しいL1処理に最適な容量/電力比を備えたエネルギー効率の高いソリューションとなっている。

 また、チョー氏はIn-lineアーキテクチャのメリットとして「ベンダロックインを最小限に抑制できる」点も強調している。In-lineアーキテクチャの場合、ロックイン箇所はPCIeのみとなるので、他のサーバ箇所はロックイン無しの100%汎用サーバになりえる。このアーキテクチャの柔軟性により、より優れたコンピューティングを選択できる。チョー氏は「Cloud RANにとってベストなコンピュータ・ハードウェアを考えた時、今後のコンピューティングの進化に対応する柔軟性が必要となる。In-lineアーキテクチャであれば、サーバはx86系だけでなく、ARM系も利用できる。業界トレンドは、In-lineアーキテクチャの利点を認識している」と話す。

Cloud RANにおいて、汎用CPUが苦手とする並列度の高い演算をGPU、FPGA等のアクセラレータへオフロードするアーキテクチャとして、無線L1の演算すべてをオフロードするIn-line型と、無線L1の演算の一部、特に暗号化・復号化といった処理負荷が高い部分をオフロードするlook-aside型の2つが挙げられる。
チョー氏はこの2つの比較について「ノキアは、Look-asideの開発を長年にわたり取り組んでいる。そこから多くのことを学び、Look-asideには電力の消費量、TCOをはじめ様々な制約があると判断した。In-lineであれば、商用Cloud RAN展開においてこれらの点を上回る」との見解を述べている。

Nokia Smart NICの外観。

 ノキアは、モバイルネットワーク事業者および企業がCloud RANを実行するためのハードウェア、クラウドインフラ、データセンタ ソリューションを柔軟に選択できるよう、RANのオープン性をサポートする取り組みとして、世界の主要なクラウドインフラおよびサーバ プロバイダと契約を締結している。
 チョー氏は「ノキアはOpen RANにおいて、NTTドコモ様とも一緒に進めており、協業しながらエコシステムの拡大などにも取り組んでいる。私たちの戦略としては非常にシンプルで、Open RANを導入する際に妥協を許さないパフォーマンス、そしてTCOを担保しないといけないと考えている。NTTドコモ様のエコシステムはそれが可能となっており、サプライヤの皆様と共同でシングルプロダクトのような形で統合する取り組みを通じて、妥協なく実装できる」と話している。

ノキアは世界の主要な企業と提携することでRANのオープン性をサポートし、RANの柔軟性、優れた性能と将来性を保証する。

Report目次

1:低消費電力等でSociety 5.0に向けたデジタル化を推進

2:ネットワークを取り巻く環境の課題

3:ノキアにおけるメタバースの機会に関するビジョン

4:ノキアのモバイルネットワーク製品戦略

5:Cloud RAN時代に向けたノキアの強み

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