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ミライト・ワンの「2023年3月期 第2四半期 決算」および「今後の経営戦略」・2

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MIRAIT ONE Group Vision 2030 の進捗状況

 グループビジョンについて中山氏は「通信建設の事業が中長期的に漸減していく中で、構造転換をしているところだ。チェンジ、変化をすることをキーワードに、新成長戦略は5つの事業変革ということで、『5Changes』をベースに社員役員一丸となって構造変革を進めている」と話す。

ミライト・ワンが掲げる「5Changes」。

Change1:人間中心経営

 ミライト・ワンは、リスキリングを促す「みらいカレッジ」を2022年7月にスタートしている。中山氏は「いわゆる企業内大学だ。私どもの事業は人で成り立っている。人が変わることで事業が変わる。事業が変わるためには、人が変わらなくてはならない。つまりリスキリングによる事業構造改革の原動力として、このカレッジを新会社発足と同時にスタートした。11月現在、グループの会社が約50社、そしてパートナー企業と一緒に育っていくというのが基本ポリシーなので、パートナー企業にも約20社に参画していただいてスタートした」と説明している。

「みらいカレッジ」の学生は1万3千名でスタート。リアルキャンパスだけでなく、eラーニングによるデジタルキャンパスも設けている。このデジタルキャンパスは160講座でスタートし、学生同士の横の繋がりを促進するためにコミュニティ機能も活用している。

 中山氏は「特に、技術の資格を取得する口座の人気が非常に高いので、社員の自主的に学ぶ姿勢といった手ごたえを感じている。一方で、これから人事の仕組みや、個人の育成計画とも合わせて、よりシステマティックにリスキリングが流れとして定着することで、次のステップに進んでいきたい」と話している。

Change2:事業成長加速

ミライト・ワンの注力分野である「みらいドメイン」の概要。

 ミライト・ワンは、成長分野を「みらいドメイン」として再定義し、4つの分野への資源の集中を進めている。

 「街づくり・里づくり/企業DX・GX」分野では、札幌の水族館の案件を元受け受注して進めている。中山氏は「札幌の大通りの中心部にある水族館の建設となる。その他にも、様々な街づくりの案件に関わり始めている」と説明している。

 「グリーン発電事業」分野では、ミライト・ワン自身が再生エネルギーの発電所を建設し、発電所そのものを提供、もしくはグリーンエネルギ―を提供する事業に取り組んでいる。中山氏は「現在、四ヵ所で用地買収、建設を進めており、他の用地の検討もしているところだ」と説明している。

 「ソフトウェア事業」では、グループのリソースを結集して、ソフト開発の戦略子会社を設立している。中山氏は「順調に事業をのばしている」と話す。

 「グルーバル事業」では、アジアにおけるラントロビジョンの業績が急速に回復しているという。中山氏は「シンガポールがコロナ禍からやや早めに回復したこともあり、データセンタ、ケーブリングビジネスを中心に業績が回復した」としており、「一方で双日さんと共同出資したフィリピンにおけるタワーシェアリングの事業が、建設のフェーズに入った。ここも順調にグローバル事業の拡張ということでスタートを切っている」と説明している。

Change3:利益性トップクラス

 経営統合により利益性の改善を図っているミライト・ワン。ここではその進捗について見ていきたい。

経営統合の振り返りと、今後のロードマップ

経営統合の概要。グループへ新たに加入、もしくは新設された企業はオレンジ色で示されており、西武建設やミライト・ワン・システムズが該当する。

 7月の経営統合により、現体制は、ミライト・ワンという事業持ち株会社、その中にキャリアカンパニーが2つ、ソリューションカンパニーが1つというカンパニー制となった。
 主要会社には、未来ドメインを牽引する企業として、グローバル事業を担うラントロビジョン、ソフトウェア事業を担うミライト・ワン・システムズ、街づくり・里づくりを担う西武建設が含まれている。そして地域の事業を牽引する企業として、TTK、ソルコム、四国建設が含まれている。
 ロケーションの分散化も図られ、従来の豊洲本社への1極集中型ではなく、各カンパニーの分散オフィス型としている。中山氏は「自社ビルも含めて有効活用して、コストを下げるとともに、経営の効率化やカンパニーごとの迅速な意思決定といった、スピード経営を進めている」と話している。

統合効果のロードマップ。中山氏は「3社統合によりオーバーヘッドのコストを下げることで、おおむね200名のスリム化ができると見込んでいる。もちろん、雇用は継続するので、その200名の方々が営業部門含めて戦略的な部門にシフトしていくことで、収益化の効率を上げていく。この取り組みにより、数年をかける前提ではあるが約40億円の効果を見込んでいる」と話している。

西武建設とのシナジー

ミライト・ワンと西武建設の、上期における相互発注や協業受注の状況。これまで外部発注していたものをグループ内で相互発注したことにより、利益が内部留保されている。

 西武建設との事業の連携について中山氏は「経営と資本を統合し、事業の方の連携も着実に結果が出始めている。まだ半年なので成果は小さいが、仕組みがどんどん出来上がってきているので、今後、その額をより広げていきたい。今後も相互発注を安定して推進していくと共に、本来の目的である両社の協業ということで、建築土木の強み、通信やインターネットなど、再生エネルギーを含めた電気分野の強みを掛け合わせることによって、『スマートゼネコン』のコンセプトで新しい街づくりの主体となっていけるように、行政、自治体にしっかりと提案しながら進めていく」とし、「この『スマートゼネコン』コンセプトでの提案により、既に2.3億円の協業受注を獲得している。まだ小さいが、今後も両社の強みを活かして、街づくり、里づくりの推進、貢献していくことに注力していく」と説明している。

Change4:データインサイトマネジメント

ミライト・ワンが取り組むデータインサイトマネジメント。

 ミライト・ワンはデータインサイトマネジメントにおいて、経済産業省、東京証券取引、および情報処理推進機構が定める「DX 注目企業 2022」に選定されている。
 中山氏は「企業価値の向上に向け、引き続き、科学の力、データの力を活かしながらDXに取り組んでいく」と話している。

Change5:ESG経営基盤強化

ESG非財務関連の進捗状況。

 ミライト・ワンは7月の統合以降、各種方針や宣言などについて順次策定を行い、HPなどで公開してきた。環境関連では、産業廃棄物の処理方針や、部品調達ガイドラインを制定。
社会関係では、人権の基本方針や、健康経営、安全・コンプライアンス憲章も策定している。
 中山氏は「スマートワーク・ライフ宣言やダイバーシティ&インクルージョン宣言は、社員の生活に直結するものだ。これらの宣言が表面上だけとならないよう、全社員との対話やアンケートを進めている。それに基づいた、働く人目線の具体的な施策などを作る」と説明している。

レポート目次

1:第2四半期決算概況、株主還元

2:MIRAIT ONE Group Vision 2030の進捗状況