ノキアの実績に見るPrivate LTEの活用【新たな電力需給コントロール】
期間限定無料公開 有料エネルギー業界における事例として、米国カルフォルニア州の電力事業者であるSempra Energy社の取組みが紹介された。太陽光発電や風力発電が盛んなカリフォルニア州では、2030年までに二酸化炭素を排出しない発電により州の消費電力の半分をカバーするという政策目標も掲げている。Sempra Energy社は、この風力発電の設備をモニタするために、ノキアのPrivate LTEを導入したという。
風力発電の課題は、他の発電設備と比べて設備のトラブルが多いことだ。例えば、風車のブレードで使われている潤滑油が不足すれば、加熱して故障する。あるいは、想定以上の強風や野鳥の接触によりブレードの回転軸周辺が曲がってしまった場合、そのまま稼働し続けていると故障してしまう。こうした故障は予兆を把握することで未然に防ぐことができるのだが、風力発電基地は山岳や洋上、高原といった風の強い場所に建てられるので、管理スタッフのアクセスが難しく、予兆を見逃してしまうと莫大な修理コストが発生してしまう。奥田氏は「この課題を解決したのが、Private LTEにより風力発電設備のセンサをリアルタイムにモニタするソリューションだ。なかなか解決策の見つからなかった課題とされていたが、このソリューションならば実際に予兆を把握して早期に修繕することができるので、劇的なコスト削減が実現する」としており、「これを応用していくと、太陽光発電の管理監視でもPrivate LTEを活用できる」と説明している。
カリフォルニア州はアメリカ太陽エネルギー産業協会(SEIA: Solar Energy Industries Association)から太陽光エネルギー利用に関して全米トップの州と評価されている。その同州で課題となっているのが、太陽光発電や風力発電という不安定な電力源により、過剰供給になる日が発生していることだ。一方で、EVチャージのような急速給電という新たな電力需要が発生しているものの、自動車の給電というのも家庭や企業の電力消費と比べて不安定な需要であり、従来のインフラでは需要と供給をコントロールすることが難しい。奥田氏は「Private LTEならば、発電設備と蓄電池やEVの急速チャージポイントを連動させることで、需要と供給、蓄電のリアルタイムな最適化が実現できる」と話している。
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