通信・放送Week2019出展製品紹介【ヒキフネ】
期間限定無料公開 有料樹脂でもめっきでもない800℃超耐熱ファイバコーティング20mを実現
ヒキフネは1932 年に創立した日本の老舗めっき企業。独自技術による石英ファイバへのめっき加工は、国の機関より表彰を受ける程の高いレベルだ。ヒキフネは、「メタライズファイバ」のめっき加工技術によって光通信業界においては世界的なプレイヤーへと飛躍を遂げた。その中のトップベンダである同社は、中間めっきの技術でもトップを独走し、さらに不断の技術向上を続けている。
今回、同社は800℃で15時間耐用可能なファイバセンシング用の特殊ファイバコーティング加工技術を紹介する。スポットでの800℃対応ならともかく、センシング用のファイバを20mの長さで800℃&15時間耐用を実現するというのはおそらく世界初の加工技術と言えよう。同社ブースでは、5mの特殊コーティングされたセンシング用ファイバをサンプル展示する予定だ。
800℃で15時間耐用可能な超耐熱センシングファイバ用特殊コーティング20m加工
光ファイバにめっきを施すという画期的な加工技術を開発してメタライズファイバ業界をリードしてきたヒキフネだが、今回のFOEではファイバセンシング市場に向けてさらなるファイバの新加工技術をお披露目する。同社ブースで見ることが出来るのは、800℃で15時間耐用可能な特殊ファイバコーティングだ。
今や各産業界において、ファイバセンシングは様々な場面で使われており、中には超高熱環境で使用される場面も少なくない。そのような環境で使用される大型設備の歪みや経年変化の察知も当然必要になってくるが、従来のファイバセンシングではある程度の長さのファイバを超耐熱仕様にするコーティング技術が存在せず、設備を取り巻く状態での「面」のセンシングが出来ずに「点」におけるスポット検知しか出来なかった。具体的な例では、飛行機のジェットタービン周りや火力発電所におけるボイラー、自動車のエンジン周りなどがこれにあたる。これらの設備のスポット点検において、歪みやクラック(罅)を見逃せば人命に係わる危険な大災害を招きかねない。
同社が今回開発に成功したのは、125μm径のセンシング用ファイバに4~5μmの薄さで特殊コーティングを行う加工技術だ。そのコーティングを施したファイバについて担当者は「そのコーティングは、通常の耐熱樹脂でもなければ我々が得意とするメタライズでもない、全く新しい技術のファイバコーティングだ。弊社の独自試験では、800℃の環境下で15時間(飛行機が地球を半周する時間)設置してもクラックや外観変化が起こらず、客先評価においても曲げた状態でファイバの破断が起こらないことが確認されている。今回大型設備のファイバセンシング用にこのコーティング技術を開発したが、最大20mの長さでムラの無いファイバコーティングが可能だ。今回の加工技術は開発開始より約2年を要しており、もう既に特殊コーティングファイバは出荷を開始している」と語る。従来、高温下におけるファイバセンシングではポリイミドコートされるケースが一般的だが、ポリイミドの耐熱温度は約300~400℃と言われており、約500℃以上で熱分解、約800℃以上で炭化するとされている。つまり、500℃を超える環境下では、大型設備を取り巻く形のファイバセンシングは事実上不可能となる。担当者によれば、メタライズファイバにおける耐熱実験も行ったようだが、「メタライズとファイバの膨張率の差から、曲げ部分においてファイバ破断が発生した」という。800℃耐用の特殊ファイバコーティングを20mもの長さで実現したのは、おそらく同社が世界唯一のプレイヤーであろう。これによって、超高温環境下における大型設備のファイバセンシングはより一層進められるだろうし、担当者も「さらなるコーティング加工の長延化を目指す」という。
直近も需要旺盛なメタライズファイバ
光通信分野においてパイオニアとなった同社のメタライズファイバは、当初LN 変調器等の各種光デバイスにおけるハーメチックシールのハンダ接合固定などのモジュール化においてメインに用いられてきた。湿式めっきのアドバンテージであるコスト競争力と客先要求を満足させる引っ張り強度及びハンダぬれ、そして光学機器とファイバの組み付け工程を簡便化する「中間めっき」技術によって、このフィールドにおいては推定世界シェアトップと言ってもいいだろう。
現在の生産キャパシティは多心を含めて月約70,000 本、ピーク時で100,000 本と稼働率もかなり高い状況だ。「昨年より米中貿易摩擦等で需給のアップダウンは激化したものの、直近の生産体制はフルキャパに近く、まだまだメタライズファイバの需要は旺盛だ」と担当者は語っている。
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