FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー【FOE-9】自動運転を支える光応用技術
INTERVIEW 有料コースリーダー:
キーサイト・テクノロジー(株)
鈴木 貴智
サブコースリーダー:
日本電気(株)
田島 勉
近年の海外通信系展示会において、最新技術を挑戦的かつ実用的に他分野へ適用しようとする海外各社の姿勢は、日本企業より遥かに貪欲に感じられる。特に、AIや自動運転など、人間の手を離れた制御システムによる社会の利便化に関する研究開発は世界各国で進められている。本コースでは、日本においても大きな開発テーマとなっている自動運転にフォーカスして、そこに利用される光技術を詳細に解説していく。コースリーダーの鈴木氏は「本コースのテーマを考えると、まず主要なトピックとして挙げられるのは、自動運転の環境を支えるモバイルバックホール、車内における高速通信、そしてセンサ系では一部実用化されはじめているLiDARだ」と三つのテーマを挙げている。次世代自動車における開発競争は現在熾烈を極めており、それを支える光最新技術の動向は我々としてもウォッチしておかねばならない。
●自動運転を支える5Gモバイルネットワークの展望
(株)KDDI総合研究所
執行役員
コネクティッドネットワーク部門長
大谷 朋広
毎年2月にバルセロナで開催されているMWCでは、海外自動車メーカーがAPIや5Gを活用しつつ行っている自動運転を含めた様々なチャレンジを目にすることが出来る。それだけ、海外の自動車メーカーは5Gの活用に積極的に取り組んでいると言えよう。国内においても自動車メーカーと通信事業者がタッグを組んで自動運転等の研究開発を進めているが、最初のセッションは通信事業者側からのアプローチとなる。「自動運転は、自動車側或いは通信事業者側のいずれかが頭脳を持つホスト側になるが、今回はKDDIが取り組んでいる通信事業者側が頭脳を持つタイプの自動運転を紹介したい。その話をメインに、車内における低遅延の5Gとそれを支える光バックホールにも話は及ぶだろう」と鈴木氏は語る。
●車載通信の技術動向と自動運転時代の車載通信ネットワーク
(株)フジクラ
自動車電装R&Dセンター
車載通信システム開発部 部長
大庭 清嗣
二番目のセッションは、大手自動車メーカーと車載通信開発を進めているフジクラのR&Dセンターからの人選となった。本セミナーでもお馴染みのOvumとなっている。数年前までは、車載ネットワークは「1Gbpsあれば良いので、メタル通信で十分」という声も聞かれていたが、最近では「最低10Gbpsは必要」という声も聞かれ始めてきた。鈴木氏は「メタル通信で車載ネットワークを賄うのもそろそろ限界、との意見も出ているが、光通信を導入するにあたってはコストが問題となってくる。実際の採用局面になると、コストと通信速度のバランスがメタルと比較した場合の最終的な課題となってくる。そこを如何に克服してゆくか、という話がこのセッションの要諦だ」と鈴木氏は語っている。
●LiDAR用面発光レーザー技術の進展
東京工業大学
科学技術創成研究院
院長/教授
小山 二三夫
自動運転に用いるLiDAR帯という意味では、海外に比べると国内の動きがやや鈍く感じるが、今回のセッションでは日本におけるLiDAR技術研究の第一人者をスピーカーとして招いている。「小山教授は、この分野においては横浜国立大の馬場俊彦教授と並び立つ権威で、JSTのプロジェクトでも共同研究者として名を連ねている。今回は、メカニカルではない新しいセンシング技術が語られることになるだろう」と鈴木氏は期待を寄せる。
以上三点のセッションを通じ、「自動運転と言っても、世の中の色々な流れを支えているトレンドでもあるので、その中の一端で光技術が展開されている。通信だけではなく、今まで培った光技術を色々な分野で活かしてゆくということにも視点を置いて聴講者の方々には研究開発の幅を広げていってもらいたい」と鈴木氏はメッセージを送っている。
(OPTCOM編集部 井上政基)
目次
【FOE-K】【基調講演】実用化目前5G、データセンターを支える光通信の最新技術動向
【FOE-1】スマート社会(Society 5.0)を支え、牽引する光ファイバ技術
【FOE-2】次世代ネットワークを牽引する400G/1Tクラス光トランシーバの技術動向
【FOE-4】目指せOver1Tbps伝送!光デバイスとその周辺技術の展望を紐解く!!
【FOE-5】大容量光通信を支える光機能集積回路の最新技術と今後の展望
【FOE-6】5Gやデータセンターを支える光ネットワークおよび機器の最新技術・市場・標準化動向
【FOE-7】【基礎講座】光通信技術の基礎 ~情報通信を支える光技術~
【FOE-8】5G本格導入前夜の最新動向 ~今後の5Gサービス展開に向けて~
【FOE-9】自動運転を支える光応用技術