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FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー【FOE-5】大容量光通信を支える光機能集積回路の最新技術と今後の展望

INTERVIEW 有料

華為技術日本(株)
アジアパシフィック
購買認証センター
シニアオプティカルエキスパート
岡安雅信氏

コースリーダー:
華為技術日本(株)
岡安 雅信

サブコースリーダー:
古河電気工業(株)
太田 寿彦

 光機能集積回路の最新技術を扱う本セッション。1つ目の講演では、今年末に最先端のデータセンタで導入されると言われている400Gトランシーバのシリコンフォトニクス技術を中心に、この分野で成功しているIntelから紹介される。2つ目の講演では、更にその先の光機能集積回路技術として、シリコンフォトニクス技術を次のステージに上げるヘテロ集積について、学会で継続的に発表をしているNTTから解説される。3つ目の講演では、集積回路の実用化には欠かせない接続技術について、その最先端で取り組んでいる住友電工から最新技術動向について紹介される。
 コースリーダーの岡安氏は「今回のセッションでは、光トランシーバの開発戦略や、光トランシーバを使ったアプリケーションの検討、そして最先端データセンタの構築に活かせる情報ということを念頭にプログラムを組んだ」と話している。

●クラウドスケールのネットワークにおけるフォトニクス技術
Intel Corp.
Silicon Photonics Product Div., Data Center Products,
Director of Strategic Marketing,
Scott Schube

 世界中のデータ通信量は爆発的な増大を続けており、それを支えるデータセンタ内でのコンピュータ~ストレージ間の要素接続が大幅に増加している。講演では、データセンタ向け次世代高速光ネットワークに対応するための重要な構成要素として、シリコンフォトニクス技術について取り上げる。
 登壇するSchube氏は15年以上にわたり光通信業界に携わっており、研究開発、マーケティングおよびマネジメントといった幅広い分野で活躍している人物だ。現在は Intelのデータセンタグループのシリコンフォトニクス部門に所属し、ロードマップと新製品の定義、顧客およびビジネス開発を担当している。岡安氏は「見所としては400Gトランシーバとなるが、現状の100Gトランシーバも数量は非常に多く使われるので、100Gから最先端の400Gという歴史な流れも含めてご紹介していただく予定だ。シリコンフォトニクスの光集積における、変調器、Mux/Demux、導波路といったビルディングブロックの構成一つ一つについても解説していただくので、シリコンフォトニクスを基礎から理解しやすい講演になるだろう。Intelでは、COBOの技術や、プロセッサの直近にシリコンフォトニクスを並べてスループットの向上を図る技術にも取り組んでいるので、そうした将来技術の紹介も期待している」と話す。

●シリコン基板上メンブレンInP系化合物半導体光集積回路
日本電信電話(株)
NTT 先端集積デバイス研究所
上席特別研究員
松尾 慎治

 シリコンフォトニクス技術を用いた低コストな光集積回路への期待が大きくなっている。しかしながらシリコンでは効率的なレーザや変調器が作製できないため化合物半導体のヘテロ集積が重要な課題となる。この講演ではヘテロ集積におけるメンブレン構造の優位点が説明される。
 岡安氏は「NTTではヘテロ集積技術について学会で積極的に発表しており、今回はそのチームリーダである松尾氏に解説していただく。NTTのアプローチとして興味深いのは結晶成長だ。シリコンとInPは格子定数が異なることから、シリコン基板上でInPを直接成長させるとレーザのクオリティが低下してしまう。そこでNTTでは、実際に発光する活性層をシリコンウエハのプロセスとは別にInP基板を使って結晶成長により作成してから、シリコン基板上に集約する技術に取り組んでいる。低消費電力での発光という非常にメリットのある技術なので、様々なアプリケーションに広がることが期待できる。松尾氏のチームでは、低閾値の新しい技術や、PAM-4の直接変調レーザにも取り組んでいる。講演では、高速性と低消費電力を実現する将来の有望な技術について、包括的に分かり易く解説していただけるだろう」と話している。

●光集積回路の実用化を支える光接続技術の最新動向
住友電気工業(株)
光通信研究所 情報伝送技術研究部
主査
荒生 肇

 近年のデータセンタ内でのトラフィック増加に伴う光配線需要の高まりによって、量産性や高密度化など多くのメリットを持つ光集積回路に注目が集まっている。講演では、これらの光集積回路の実用化には欠かせない光接続技術に関する最新技術動向について紹介される。
 登壇する荒生氏はマルチコア光ファイバ用コネクタや多心光コネクタなどの光接続部品の研究開発に携わっている人物だ。岡安氏は「今回は光デバイスと光ファイバとの接続についての話が中心となるが、それだけではなくマルチコアファイバ同士を接続する技術や、多心光コネクタ接続技術についても最新動向を解説していただく」と話している。

(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)

目次

【FOE-K】【基調講演】実用化目前5G、データセンターを支える光通信の最新技術動向

【FOE-1】スマート社会(Society 5.0)を支え、牽引する光ファイバ技術

【FOE-2】次世代ネットワークを牽引する400G/1Tクラス光トランシーバの技術動向

【FOE-3】データセンターの最新動向

【FOE-4】目指せOver1Tbps伝送!光デバイスとその周辺技術の展望を紐解く!!

【FOE-5】大容量光通信を支える光機能集積回路の最新技術と今後の展望

【FOE-6】5Gやデータセンターを支える光ネットワークおよび機器の最新技術・市場・標準化動向

【FOE-7】【基礎講座】光通信技術の基礎 ~情報通信を支える光技術~

【FOE-8】5G本格導入前夜の最新動向 ~今後の5Gサービス展開に向けて~

【FOE-9】自動運転を支える光応用技術

【FOE-10】5G本格導入前夜の最新動向 ~光ネットワークへの期待~