FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー【FOE-K】 【基調講演】実用化目前5G、データセンターを支える光通信の最新技術動向
INTERVIEW 有料コースリーダー:
NTTエレクトロニクス(株)
萩本 和男
サブコースリーダー:
富士通オプティカルコンポーネンツ(株)
國兼 達郎
光通信の技術が400Gに達し、テラビット級までもう一歩という段階まで来た。こうした広帯域を活用する用途の1つとして、リアルタイムに近いサービスが考えられる。従来のネットワークのように限られた帯域を上手く活用する方式では、リアルタイム性を確保しようとすると効率が悪くなるので、リアルタイムなサービスという贅沢なネットワーク利用は、5G時代のモバイルと、データセンタ・クラウドの双方で注目されるチャレンジと言える。
コースリーダーの萩本氏は「モバイルの環境が便利になり、IoTを利用しようとしている社会では、センシング情報など多様な情報を“リアルタイムに必要な情報”と“蓄積したり経験値を高めたりする情報”とに選り分けながら扱うことが求められる。今年の基調講演では、こうしたAIが必要とされるようなデジタルの進化について、5Gとデータセンタの双方から、光通信と組み合わせて語っていただけるようなプログラムを組んだ。5Gとデータセンタのサービスはお互いに関連するので講演でも重なる部分があるかもしれないが、双方の分野で重視される部分という意味で興味深い」と話す。
●5Gにおける富士通の取組みと今後の展望
富士通(株)
理事 ネットワークプロダクト事業本部長
妹尾 雅之
来たる5Gの世界においては、デジタル技術を活用してビジネスの課題や社会課題を解決し、より豊かな未来が拓けることが期待される。妹尾氏の講演では、富士通が実現を目指す社会像・ソリューションについて、ネットワークの領域を中心に、今後の展望を含めて紹介される。
富士通は、Society5.0でも言及されている最先端技術、AIとIoTを用いたデジタルトランスフォーメーションの取り組みを進めている。例えば、効率的な解決策を示してくれる「デジタルアシスタント」、場所を再現し空間を超える「デジタルプレイス」、現実世界をデジタルで再現する「デジタルツイン」、大量のデータを価値ある情報に変える「画像認識技術+AI」といった最先端技術が注目を集めている。萩本氏は「富士通は多様なビジネスに取り組んでいるので、デジタルトランスフォーメーションの及ぼすインパクトを話していただけると思う。同社の取組みだけでなく、世界のトレンドにも触れていただけるだろう」と話す。
また、ネットワークの領域で富士通は、光伝送システムから携帯電話基地局まで幅広くプロダクトに取り組んでいる。デジタルトランスフォーメーションに取り組む同社が5G時代のネットワークをどのように捉えているのか、包括的な話を期待したい。
●NTTグループのグローバルデータセンタビジネスの取組み
NTT Ltd. グループ NTT国際通信(株)
ICTインフラサービス部 クラウド事業責任者
飯田 健一郎
AI/IoTによる新たなデジタルスマートワールドの到来が期待される中、これらを支える社会基盤の実現に向け、NTTグループが取り組むグローバルデータセンタ事業、およびコグニティブファウンデーションへの取組みについて紹介される。
登壇する飯田氏は、入社以来、ネットワークを中心としたサービス開発/プロモーション/販売推進に従事。その後、クラウドサービス部にてクラウドおよびデータセンターサービス事業を統括する人物だ。
NTTコミュニケーションズは今年7月1日、グローバル事業の強化を目的としたNTTグループのグローバル事業統合に伴い、グローバル営業推進・海外現地法人連携、キャリアリレーションなどを担っていた「グローバル事業推進部」の機能を、NTT Ltd.グループに移管した。NTTグループのグローバル展開が組織的に強化されたこのタイミングで、クラウド事業責任者である飯田氏からNTTグループのグローバルデータセンタビジネスの取組みを聞くことは、非常に価値のあることだろう。
萩本氏は「データセンタを支える光通信の最新技術としては、例えばデータセンタ内とデータセンタ間では400Gの技術と言っても少し違うものが使われる。データセンタ内はPAM-4の多値変調、データセンタ間はデジタルコヒーレントで16QAMという、光の技術と電気の技術の結集したものが使われている」と話す。基調講演では、個々の技術ではなく今後の流れの話になるが、400Gのような光通信の最新技術がどのようなデータセンタを作るのかを意識しながら、NTTグループのグローバルデータセンタビジネスについて聴いてみると良さそうだ。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)
目次
【FOE-K】【基調講演】実用化目前5G、データセンターを支える光通信の最新技術動向
【FOE-1】スマート社会(Society 5.0)を支え、牽引する光ファイバ技術
【FOE-2】次世代ネットワークを牽引する400G/1Tクラス光トランシーバの技術動向
【FOE-4】目指せOver1Tbps伝送!光デバイスとその周辺技術の展望を紐解く!!
【FOE-5】大容量光通信を支える光機能集積回路の最新技術と今後の展望
【FOE-6】5Gやデータセンターを支える光ネットワークおよび機器の最新技術・市場・標準化動向
【FOE-7】【基礎講座】光通信技術の基礎 ~情報通信を支える光技術~