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FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー【FOE-7】最新データセンタの現状と今後の展望

INTERVIEW 有料

NTTアドバンステクノロジ(株)
取締役
グローバル事業本部
本部長
界 義久氏


コースリーダー:
NTTアドバンステクノロジ(株) 界 義久
サブコースリーダー:
アンリツ(株) 濱田 宏一

 世界的な加速度的トラフィック増の潮流は留まるべくもなく、北米のOTTや中国のBAT、北欧のデータセンタ移設の動きなどワールドワイドでデータセンタ需要は増加の一途を辿っている。ハウジングコロケーションがメインの日本においてもそれは例外ではなく、東京のデータセンタの約30%が築30年以上と老朽化していることから、今後益々国内データセンタ需要も上向く一方と予想されている。いずれにせよ、遍くデータセンタにおいては増加を続ける大容量データを扱うために、光通信技術の大容量化と高密度集積化は必須課題となっている。特に、北米ではHSDCのDCI等の市場において100Gコンポーネント・デバイスが既に数多く採用されており、200/400Gはもちろん800Gや1T製品を待ち望む声も既に聞かれている。コースリーダーの界氏は「弊社もそうだが、データセンタ向けに接続系のビジネスをしているプレイヤーの興味対象としては、シリコンフォトニクスの最新動向等は外せないだろう。そこから来場者の興味を繋げる形でトランシーバやマルチコアファイバ光部品の技術を本コースの一連の流れの中で取り上げてゆく」と語っている。我々がデータセンタをビジネスフィールドとして捉えるのならば、データセンタ自体及び周辺技術動向の正確なフォーキャストを把握する必要があり、その意味で本コースは耳を傾ける意義がある

最先端データセンタにおける光技術
慶應義塾大学
理工学部 訪問教授
平 洋一

 「最初に話していただく慶應義塾大学の平教授は、元IBMでインタコネクションの研究をされていた方で、データセンタにおける光技術の話を俯瞰的に語っていただく。特定の立場に偏ること無くバランス良い全体的な話をして頂くには大学教授という立場が最適かと考え人選させていただいた」とコースリーダーの界氏は語る。扱うデータ量が等比級数的に加速してゆくデータセンタの世界的トレンドの中で、光通信を活用する必然性についてはもはや議論を待たない。むしろ限定的なスペースの中で、如何に大容量かつ高効率なネットワークを構築してゆくかが喫緊の課題となっている。特に、本コースで取り上げられる技術的なポイントは「短距離光通信」「シリコンフォトニクス」「光集積技術」の三点となりそうだ。現実のデータセンタ運営ではPUEやCOPのようなエネルギー効率の話題が取り上げられがちだが、日本企業が得意な光通信における要素技術からのアプローチによってデータセンタ自体の競争力向上を図ることも今後の市場展開においては有効かもしれない。

データセンタ向け光トランシーバの最新動向
古河電気工業(株)
コア技術融合研究所 先行開発センター
課長
那須 秀行

 北米のOTTが牽引するHSDC等においては、Beyond 100Gが叫ばれて久しい。100Gの光トランシーバではQSFP28が圧倒的なアドバンテージを示しているが、200/400Gに関してはQSFP-DDやOSFP、CFP8等様々なMSAが乱立している。各々規格のファイナライズに向けて日々議論を交わすとともに、激しい主導権争いを繰り広げている。「スピーカーの那須氏は一貫して研究開発の畑を歩んできた方で、今回は200/400Gへ向けて混沌としている光トランシーバの最新動向を開発フェイズの立場から聴くことが出来るだろう」と界氏は期待を寄せる。最近はOn-Boardにおける大容量通信の話も盛んだが、那須氏はOIF及びCOBOのプリンシパルメンバーでもあるのでそちらにおける400Gに向けた動きを聴くことも出来るかもしれない。

高密度マルチコアファイバ光部品の最新動向
住友電気工業(株)
光通信研究所 情報伝送技術研究部
研究員
森島 哲

 光接続の高密度化については、多心コネクタや高密度パッチパネル等の製品も既に多く普及している。今後のさらなる高密度化に際して、日系企業の技術が世界的にリードしているフィールドと言えばマルチコアファイバが挙げられる。コネクティングにおけるロスやファイバ及びコネクタのコスト等が普及への課題として認識されているが、年々少しずつ実用化へ向けて開発が進められており、近年ではシリコンフォトニクスとのコネクティングも研究されているようだ。界氏によれば、本セッションの内容はマルチコアファイバ自体とコネクタ両面の話になるようだ。現在、空間多重伝送システムを構築すべく、日本ではマルチコアファイバ、欧米ではフューモードファイバの開発研究が各々優勢だ。最近注目されている双方の技術を融合させたフューモードマルチコアファイバの開発者達にも、本セッションで得られるマルチコアファイバの最新動向は一助となるかもしれない。
 
(OPTCOM編集部 井上政基)

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FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー:目次

【FOE-K】5G・データセンタ・IoTにおける光通信の最新技術トレンド

【FOE-1】IoT時代を支える光ネットワーク技術と光通信市場の最新動向

【FOE-2】 光トランシーバのマーケット動向、および最新技術動向

【FOE-3】5G本格導入前夜の動向最前線

【FOE-4】超高速通信を実現する電気/光インタフェースの最新動向

【FOE-5】超高速大容量通信を支える光機能集積技術の最新動向をひもとく!

【FOE-6】社会の変化から読み解く光ファイバ・ケーブル・ネットワークの動向

【FOE-7】最新データセンタの現状と今後の展望

【FOE-8】5Gネットワーク技術と応用 ~自動運転から 4K・8K超高精細映像、VRまで~

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