FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー【FOE-2】 光トランシーバのマーケット動向、および最新技術動向
INTERVIEW 有料コースリーダー:
日本電気(株) 田島 勉
サブコースリーダー:
NTTエレクトロニクス(株) 萩本 和男
このセッションのトップバッター、ライトカウンティングは、100GbEが原動力になって中国のオプティクス市場は、5年で2倍に成長すると予測している。中国の4Gユーザは10億程度に達しており、次世代5Gを待ち望んでいると言われている。同社の予測では、こうした背景により、中国におけるオプティクス需要は、2020年までに過熱する見込みである。
また2018-2023年、中国におけるEthernetセグメントのオプティクス消費も急増する見込みだ。
一方、中国の3大ICPs、Alibaba, Baidu および Tencentのインフラストラクチャ投資は、現状ではAmazon, Google や Facebookの1/5以下であるが、中国の投資の伸びの方が急である、とライトカウンティングは見ている。
ライトカウンティングは、最近発表のニュースで、中国における市場セグメント毎の光トランシーバ導入および導入予測を紹介している。それによると2017年の市場規模は、16億ドル、これが2023年には35億ドルに拡大し、中でもシェアの縮小で目立つのはFTTx、逆に拡大が際立つセグメントは、Ethernet、光インタコネクト、ワイヤレスとなっている。
コースリーダー、田島氏によると、光トランシーバの主要市場は中国と北米。ライトカウンティングのレポートから判断すると、Ethernet、光インタコネクト、ワイヤレスセグメントの拡大は、中国、北米を中心にグローバルトレンドと言えそうだ。
このセッションでは、ライトカウンティングの光コンポーネント市場認識と予測から始まって、データコム系光トランシーバ、コヒーレントトランシーバの技術動向などが紹介される。
世界市場における光トランシーバの最新技術動向
LightCounting LLC
Founder and CEO,
Vladimir Kozlov
業界にとって活気に満ちた時代の到来。2007年、グーグル向け10GbE SFP+オプティクスの早期販売から始まり、高速光通信に対する世界の需要は2010~2017年に激増した。このプレゼンテーションでは、Ethernetおよび他のタイプの光トランシーバについて、2018~2022年の販売に関する市場予測を取り上げる。
田島氏の説明によると、テレコム向けの製品は,物量的には減少していないが、データコム向けの光トランシーバが大きく伸びているため、売上もデータコム分野がテレコム分野を凌駕する形になっている。2020年までは、100Gが伸び、以降は100Gに代わって400Gが急増する
100Gから400Gへの主役交代はライトカウンティングの講演で取り上げられる。
また、中国における製品セグメント毎(CWDM/DWDM、Ethernet、ワイヤレス、FTTx、光インタコネクト、ファイバチャネル、SONET/SDH)の光トランシーバの見通し、装置ベンダの売上推移などが取り上げられる予定。
データコム系光トランシーバの標準化動向および最新技術動向
日本オクラロ(株)
戦略マーケティングセンタ
主任技師
平本 清久
IPビデオ等のトラフィックに牽引されて増大するIPトラフィックに対応するため、IEEEでは、400GbEなど次世代Ethernetの規格化に着手している。講演ではそのような次世代規格化の状況とそれら新規格に準拠する光トランシーバ及びその技術動向について解説する。
ルメンタム(Lumentum Holdings Inc)によるオクラロ(Oclaro)買収が発表されており、買収完了は今年下半期の予定。買収発表のニュースリリースでも、オクラロのInPレーザ、PIC、コヒレントコンポーネント/モジュールは高く評価されており、平本氏の講演では、特にデータコム系の製品の技術と製品動向が中心になる。
田島氏によると、現在の400Gトランシーバの最小サイズCFP8に対して、スイッチ/ルータベンダは、さらなる小型化を要求していると言う。こうした要求に応えて、オクラロはOFCで400G QSFP56-DDを紹介している。「この新しい400 Gbps(4×100G PAM4) QSFP56-DDモジュールは、1RUあたり400Gbps 36ポートを可能にし、同サイズの100 Gbps QSFP28と比べて帯域とフェースプレートが400%増となる」とオクラロは説明している。講演では、こうした最新の製品動向も紹介される予定。
コヒーレントトランシーバの最新技術動向
日本電気(株)
コンバージドネットワーク開発本部
シニアマネージャー
土井 健嗣
コヒーレントトランシーバは、長距離幹線系市場はもとより近年メトロネットワーク市場にも適用されはじめ、一層の小型・低消費電力・大容量化が求められるようになってきている。講演では、適用拡大が広がるコヒーレントトランシーバの最新技術動向について紹介する。
コヒレントトランシーバも、データコム系の製品と同様、小型化、低消費電力化のトレンドは不変である。
田島氏は、「次世代では、各社7nmのプロセスを使うと言っており、それを使って作製したDSPが、早ければ2019年、2020年に登場するであろうと言われている。それによって、低消費電力化が可能になると新しい世代トランシーバが実現する」と見ている。
NECの講演では、コヒレントトランシーバの歴史とともに、今後の技術見通しも語られると考えられる。
(OPTCOM編集部 井上憲人)
FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー:目次
【FOE-K】5G・データセンタ・IoTにおける光通信の最新技術トレンド
【FOE-1】IoT時代を支える光ネットワーク技術と光通信市場の最新動向
【FOE-2】 光トランシーバのマーケット動向、および最新技術動向
【FOE-4】超高速通信を実現する電気/光インタフェースの最新動向
【FOE-5】超高速大容量通信を支える光機能集積技術の最新動向をひもとく!
【FOE-6】社会の変化から読み解く光ファイバ・ケーブル・ネットワークの動向
【FOE-8】5Gネットワーク技術と応用 ~自動運転から 4K・8K超高精細映像、VRまで~