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CIOE特集【扇港産業】

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 扇港産業は1983年の創業以来、日本的なきめ細かいサービスによりグローバル商社として成長し、現在では米州、欧州、中国・香港、アジア・大洋州と、日本を含めた世界15カ国に拠点を設置している。光通信市場では、光コネクタの開発力とグローバルなサポート力が高い評価を得ており、次世代コネクタのディファクトスタンダードを生み出す企業として注目を集めている。

 扇港産業 東京本社営業部 光グループ 課長の西口雄貴氏は「我々は中国を重要な市場として捉えている。CIOEも始まった当初から出展を続けており、大手データセンタ事業者や電気系メーカ、また東南アジア系のお客様との案件に繋がっている」と話す。

 今年の展示の注目は、業界に先駆けて製品化を実現したシングルモードのMPOレンズコネクタ「LOF-MPO」と、LC二心コネクタの後継として36%の小型化を実現した「CS CONNECTOR」。これらは今年3月のOFCで発表された新製品で、FOEでも注目の高かった製品だ。扇港産業 東京本社営業部の面高洋平氏は「ハイパースケールデータセンタや、モバイルのアンテナ用途でご提案している。CIOEでは中国国内市場と、中国経由の北米市場の両方にアピールしたい。ハイパースケールデータセンタは北米のイメージが強いものの、中国国内でも巨大な中国企業のデータセンタは大規模になるので、200Gを飛び越して一気に400Gを採用する可能性も十分にあると考えている。モバイルのアンテナ用途では、欧州系のアンテナメーカーがQSFPを使い始めているように大容量化の流れはあるので、将来的な200G、400Gで使いやすい光コネクタとしてご提案していく」と話している。

シングルモードMPOレンズコネクタ

LOF-MPO

 「LOF-MPO」は、シングルモードファイバにコリメータを加工し、大きな平行光を用いる事で幅広い用途に対応できるMPOコネクタ。
 こうしたレンズコネクタは対塵性能や着脱の安定性に優れていることから、清掃が難しい機器の背面や、挿抜回数の多いシーンでの需要が特に高い。シングルモードのMPOでの実用化は学会でも注目を集めていたが、技術的な課題から製品化はまだ難しいとされていたので、扇港産業による製品化の発表は業界に強いインパクトを与えた。
 西口氏は「データセンタでは機器間を長距離で接続する需要が増えているので、マルチモードからシングルモードへの移行が進んでいる。その際の課題としてシングルモードのMPOレンズコネクタが市場に存在しなかったことがある。そこで我々は清掃や挿抜の問題を打開する解決案の一つとして、いち早く製品化した。低損失や低バネ圧接続も実現しており、サンプリングを始めている状況だ」と説明している。

Beyond 100G機器の省スペース化や自由度の高い設計に役立つ次世代光コネクタ

 「CS CONNECTOR」はLC二心コネクタの後継として開発されたBeyond 100G向けの次世代コネクタで、LC二心コネクタと比べて36%の小型化を実現している。コネクタの小型化はエアフローの改善に繋がるので、データセンタの消費電力低減にも繋がる。
 QSFP-DDとOSFPの2×200Gアプリケーションを想定しており、両MSAにて議論を進め、両仕様にてCSコネクタの採用が決定している。TOSA/ROSAなどのトランシーバ内の部品サイズなどを考慮し、フェルールピッチは3.80mm、全幅は7.85mmで設計。両仕様のフットプリントに2つのCSコネクタを収め、LCフェルールベースで4チャンネルの接続を可能とした。両次世代トランシーバには2ペアのTX/RXを搭載する2X(Dual)タイプが必要とされており、4チャンネルを1モジュールに接続可能なCSコネクタが必要とされている。
 西口氏は「OFCやFOEでご紹介したところ、お客様から機器の設計の自由度が上がるとのご評価や、400GのMSAとの嵌合性もとれているので非常に使いやすいコネクタだと反響を頂いているので、中国のお客様にも積極的にご紹介していく」としており、「CS CONNECTORをご採用頂くことにより、伝送機器は設計の段階から大きく変わる。すでに機器の差込口のインターフェースをLCから置き換えるというお話も様々なお客様から頂いている。将来的には、現在LCが使われている様々なシーンで置き換えが進むと期待している」と話している。
 IECランダムメイティング グレードB準拠(挿入損失:平均≦0.12dB、最大≦0.25dB)。高密度でも挿抜しやすいプッシュプルタブも付いている。

CS CONNECTOR。こうした画期的な製品を次々とリリースしている扇港産業は業界から技術力を高く評価されており、ユーザからの開発案件も増えている。