ケーブル技術ショー2017Preview【シンクレイヤ】
期間限定無料公開 有料シンクレイヤは光伝送路の冗長化や既存HFCの併用、集合住宅への対応が可能な同社独自のFTTHシステムであるR-PONを提案している。今年は「10G R-PON プラス 4Kシステム」として進化しており、昨年の展示でも注目を集めていた10G-EPONとXG-PONという2つの10G級PON方式を提供できる強みに加え、4K放送の伝送機器のラインナップ拡充も紹介される。
センター系機器は光伝送路の冗長化に対応する光モニター・光切替器をはじめ、3U光サブラック「SFHS-7300」に収容する光増幅ユニット、光送信ユニット、光受信ユニット、光切替ユニットを展示。HFC機器は、将来のFTTH共存化を可能とする広帯域増幅器や、低消費電力の増幅器を展示する。光端末機器は、低受光・広受光レベル範囲、遠隔制御機能を備え、CS左旋帯域(3224MHz)に対応したコンパクトサイズの「SOR-901R(参考出展)」、停電時に告知放送システムで使用しているFM帯域信号のみ無給電で出力可能な「SOR-834R」、「SOR-823R」を展示。その他集合住宅の取り込みに対応する棟内型光端末器「SOTR-301R」も展示する。
10G R-PON プラス 4Kシステム
R-PONシステムは、センター内機器や伝送路の冗長によりネットワークの強靭化を実現している。伝送路で故障が発生した場合は自動的にサブのバックアップルートに切り替わる仕組みなので、FTTHのメリットを活かしながらHFC以上の信頼性を確保することができる。光増幅器、スイッチ、モニターといった機器がセンターに集約されているので、伝送路に電力を必要とする機器を設置しないメリットもある。
シンクレイヤは三菱電機社のGE-PON(1.25Gbps、2.5Gbps)と10G-EPON、そしてファーウェイ社のG-PONとXG-PONという様々な方式のPONシステムを扱っており、同社のネットワークシステム推進部がCATV事業者の予算、要望、エリアの状況を把握し、最適なPON方式でR-PONシステムを提案できる強みが有る。シンクレイヤ営業企画部 次長 兼 パブリシティ課 課長の高橋誠氏は「10Gの需要は高まっており、10G-EPONとXG-PON のそれぞれで導入実績が増えている。現状のサービスは1Gや2Gがメインであり、将来対応を考えて10Gのシステムをトライアルのような形で導入を進めていらっしゃるので、徐々にOLTの数や端末の数を増やしていって頂ければと期待している。もともとFTTHを導入していたCATV事業者様が10Gを導入するケースだけでなく、HFCだったCATV事業者様がFTTHに舵を切られて、これからは10Gだろうということでご採用頂くケースも増えている」と話している。
シンクレイヤのR-PONシステムは既存のHFCシステムとのサイマル運用も可能だ。HFCの部分は光のループで繋いでそのまま活用する方法や、アンプのリプレースが可能となっており、HFCシステムとの共存エリア、HFC改修エリアとに分けることができる。CATV事業者はHFC部分を継続するか、その部分を新しくFTTH化をしていくかを柔軟に計画することができる。
R-PONを10Gに高速化した10G R-PONは、既にR-PONを敷設している場合、センター側装置と加入者側端末を代えるだけで10G R-PONへ移行できる。
4K製品の拡充
4Kの新製品として、センター系ではBSデジタルトランスモジュレーターを展示する。端末系についてはSTBと4Kテレビを接続し、実際に4K映像を受信するデモを行う。STBはケーブル4Kを受信するためのRF系のSTBと、IP系を受信するIP-STBの両方を参考展示するという。
FTTH集合住宅対応システムや、CMTS、ケーブルモデム
「10G R-PON プラス 4Kシステム」の集合住宅取り込み手法に対応し、HFCシステムでも運用可能な最新の屋外型/屋内型CMC(Cable Media Converter)が紹介される(ファーウェイ社製)。従来のDOCSIS技術をそのまま利用しているので、従来の機器を流用しながら、FTTH移行時の戸引き配線が難しい集合住宅の取り込みが可能となる。上位接続はギガビットEthernetかPONのSFPで接続。棟内の上り流合雑音の影響範囲はCMC配下のみに抑えられる。SNRが改善されるので、高速な変調方式を選択できる。屋外型はKDDIケーブルプラス電話やSoftBankケーブルライン電話の認定対応も済んでいる。高橋氏は「CMCは海外で需要の高い製品で、日本のお客様へ提案するにあたり、使い勝手やソフトに関してカスタマイズしている。屋外型は既に3年前にリリースしており、屋内型は今年の8月か9月にリリースする予定だ。非常に小型の製品ながら、200台以上のケーブルモデムを収容できる。ブースでは製品版に近い状態をお見せできる」と話す。
また、DOCSIS3.1や10G-EPONに対応可能な「E6000」 Converged Edge Router(CER)、IEEE 802.11a/b/g/n/acに対応したDOCSIS3.0/3.1ケーブルモデムも展示する。
統合管理システム
統合管理システム「SIMS-6300」は、光ヘッドエンドやV-ONUの管理だけでなく、GE-PON、GPONやD-ONU、CMCなど、システム機器の管理を一括して行うことが可能だ。ブースでは実演を見ることができる。同システムは各機能をモジュール化することでさまざまな運用に対応でき、例えば最初は必要な機能を絞った構成から始めて、後から別の機能を追加することも可能だ。将来の新たなサービスに対しても対応できる拡張性も備えている。エリアごとにGE-PONやG-PONを使い分けている場合でも、このシステムで一元管理することが可能だ。
また、プロビジョニングシステム「SDPS-6000」、CMモニタリングシステム「SCMS-4800」も併せて紹介される。
FTTHに最適な省スペースサブラックの対応ユニットが増加
高密度実装が可能な新型3U光サブラック「SFHS-7300」は、同社従来品の5Hラックに対して体積を49%ダウンさせている。多様なユニットを実装できるので、HFCにもFTTHにも対応できる。現行HFCをFiber Deep化した後、同じサブラックシャーシでFTTH化することもできる。電源、伝送路、励起光源を冗長構成できる。高度できめ細かな監視機能も備わっている。対応ユニットが豊富な点も特長で、ラインナップは次の通り。
- 光増幅ユニット(2,4,8port)
- 1×2光スイッチ
- 8+1光スイッチ
- 光送信ユニット(1310nm、1GHz)
- 光送信ユニット(1550nm、1GHz)
- 光送信ユニット(1550nm、2.6GHz)
- 光送信ユニット(1550nm、3.2GHz)※参考出展
- 光受信ユニット
- 光送受信ユニット
DOCSIS3.1への対応
シンクレイヤが扱うARRIS社のCMTS「E6000」 Converged Edge Router(CER)は、DOCSIS3.1に対応した製品であり、ブースではラックに組んだ形で展示される。下りカードDCAM-2はスロットあたり合計16個の物理ポートを提供。これらの物理ポートそれぞれに対して、ダウンストリームRF帯域を1.2 GHzまでサポートする。また、上りカードUCAM-2は、各物理ポートで平均12個のSC-QAMと2個の96 MHz OFDMAブロックをサポートする。全てのコンポーネントが1+1 あるいはN+1の冗長性を備えており、ヒットレスRFスペアリングやホットスワップも可能だ。
これによりR-PONをDOCSIS3.1も含んだシステムにすることができる。高橋氏は「E6000には10G-EPONのOLTカードも搭載できるので、そうしたご説明もする。今は4K・8Kが話題となっており、CS左旋帯域まで考慮した将来対応となると、3224MHzまで対応できる機器のラインナップが必要になる。そういったところで多少はFTTHの方が注目されていると感じる。ブースでは、光の映像系については3224MHzに対応した光の送信機系、そして端末もそれに対応したものも展示をする。併せて、弊社の強みでもあるHFCシステムもご提案し、CATV事業者様に幅広い選択肢をご提示する」と説明している。
無線ソリューションを各種展示
IEEE 802.11a/b/g/n/acに対応した、屋内型/屋外型アクセスポイントと無線LANコントローラを展示。また、多くの無線LAN機器メーカーとの接続実績を持つクラウドWi-Fiソリューションや、見守りコンセントWiFi-Plug、また参考展示として無線アクセスポイントやネットワークカメラにPoE給電が可能なSFP対応屋外型PoEハブも併せて紹介される。
クラウドWi-Fiソリューション
Wi-Fiソリューションでは、普段利用している本人認証済みのソーシャルアカウントで、制約の無い、安全で簡単なWi-Fi認証システムを提案する。クラウドを経由した認証システムとなっておおり、Facebook、Twitter、google+、LINE、Weiboにワンクリックで認証して入ることができる。高橋氏は「2020年を見据えての外国人観光客に向けたサービスとしてご提案しており、この1年でInstagram、Kakao Talkへの対応を追加した」と話している。
無線LANコントローラ
Ruckus Wireless社の無線LANアクセスポイントは、ビーム形をダイナミックに変えることができるスマートアンテナ(特許技術)が特長だ。高橋氏は「屋内型/屋外型のアクセスポイントとブリッジシステムをご用意している。ブリッジシステムはWi-Fi規格ながら約10kmの長距離伝送が可能だ」と話す。
見守りコンセント(IoT & Cloudによる電力測定)
WiFi-Plugはコンセント型のWi-Fi機器。これをコンセントに差し、その上から様々な家電を差して消費電力をクラウドへ送信することで、高齢者の見守りに役立てるというソリューションだ。高橋氏は「例えばテレビや冷蔵庫、電気ポットの電力使用量で高齢者の状況を離れたご家族にメールで通知できる。閾値も自由に設定できる」と説明している。
業界最小の告知放送システムに機能を追加
シンクレイヤは20年以上に亘り告知放送システムを提供している。気象庁の緊急地震速報や気象警報・注意報、津波警報、全国瞬時警報システム「J-ALERT」に対応する告知放送端末「AFM-400」、「AFM-500」、「AFM-600」シリーズを展示する。また、コミュニティFMを活用した緊急防災情報伝達システムの実演が行われる。
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