FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー【FOE-2】 データセンタネットワーク戦略と最新の技術動向
INTERVIEW 有料コースリーダー:
アンリツ(株) 浜田 宏一
サブリーダー:
NTTエレクトロニクス㈱ 萩本 和男
データセンタネットワークの重要性については、今さら改めて強調するまでもないだろう。多くの国々では、データセンタネットワークの構築、ビッグデータのAI転用等が国策レベルで議論をされているし、やや遅れ気味と目される日本においてさえも、昨年の活発なデータセンタ建設の状況からその重要度を推し量ることが出来る。トラフィック量が今後も膨張を続けてゆくのはもはや疑いなく、データセンタネットワークも切迫している現状のみならずさらなる将来を見据えた構築プランを立てねばならない。本コースは、今後のデータセンタがどのような方向へ向かってゆくのか、そのフォーキャストに向けてどのような最新技術を具体的に適用してゆけばよいのかを我々が知るための羅針盤となるはずだ。コースリーダーである浜田氏は「大別するとデータセンタ全体、データセンタ内、データセンタ間の三つのテーマから語って頂く」としている。特に、データセンタ間については、ミドルレンジの関連機器・デバイスの出荷が活況なことから注目度も高いだろう。我々がデータセンタをビジネスフィールドとして捉えるのならば、データセンタ自体及び周辺技術動向の正確なフォーキャストを把握する必要があり、その意味で本コースは耳を傾ける意義がある。
2017年、クラウド/データセンター業界はどこへ向かうか ~データセンター技術動向も踏まえて~
NTTコミュニケーションズ(株)
クラウドサービス部 クラウド・エバンジェリスト
林 雅之
「まずは、林氏よりデータセンタ全体の話をして頂く。「クラウドが今後どう進化してゆくか」を技術よりもむしろ市場的なアプローチからの概念的な説明を期待している。クラウドファースト、ハイブリッドクラウドという流行のキーワードにも触れながら、セキュリティ等を交えたプラクティカルなクラウドの最適化についても話してもらえるだろう」と浜田氏は語る。NTTコミュニケーションズは、言わずと知れた世界有数のデータセンタ事業者。「日本企業は、外部に全てアウトソースしがちな欧米企業と異なり、自社の基幹システムと外部クラウドを如何に組み合わせるかという点に重きを置く。今はEnd-to-Endで考えればクラウドを外すことが出来ず、必ずクラウドは関わってくる。セキュリティと予算の兼ね合いでどのような組み合わせでバランスを取ってゆくかが今後の日本企業の課題だろう」とも浜田氏は指摘する。AmazonやGoogleといった大きなクラウドと我々が普段使っているシステム等をどのように組み合わせれば最適かを考える良い機会となるだろう。
データセンタネットワークと光スイッチング技術
名古屋大学大学院
電子情報システム専攻 教授
佐藤 健一
「データセンタ内部の問題として、消費電力と熱の問題は必ずと言っていいほど頻発する。データセンタ自体はサーバとスイッチの塊なので、光スイッチによる低消費電力化という観点から、如何にそれらの問題に向けて解決を図るかを説明して頂く」と浜田氏は語っている。ここでのスイッチは、OE/EO変換を介さない光スイッチの話に収斂されるようだ。波長スイッチング等でオール光にした場合は第一に価格が心配されるところだが、コスト対策がこのセッションにおける重要なポイントとなるだろう。また、グローバルな技術動向にも触れるようなので、EVPN(Ethernet VPN)等の仮想化にも言及するかもしれない。
データセンター伝送技術および光ネット機器動向
富士通(株)
ネットワークプロダクト事業本部 プロダクト・インテグレーション統括部
ソリューション企画部 シニアマネージャー
青木 泰彦
三番目の講演については「現在注目されているデータセンタ間相互接続(DCI; Data Center Interconnect)においてどのような通信方法がトレンドとなっているかを説明頂く」と浜田氏は語っている。近年、特に北米を中心としてHSDC(Hyper Scale Data Center)の建設が進んでおり、そのデータセンタ間を結ぶBeyond 100G製品がトレンドとなっている。その中でも中距離光トランシーバの出荷はDCI市場で活況を呈しており、昨年のOFCでも50G伝送の光トランシーバが散見された。データトラフィックは増加の一途を辿り、早くも次世代デバイスの主導権争いも始まっている。本セッションでは、高密度変調が実現する大容量化と最新変復調技術に基づく伝送距離の長延化が語られると思われる。
「データセンタは一番成長しているし、今後も成長が期待できる市場ではある。さらに、IoTやAIといった今後重要なキーワードの中央に鎮座するのがクラウドであることも間違いがない。この分野でどのようにビジネスを展開してゆくかを図るために、今後のクラウド動向を把握してゆくことが各社の大きな戦略的課題であり、このコースの核心となる」と浜田氏は本コースのポイントを指摘している。
(OPTCOM編集部 井上政基)
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