光通信技術セミナー企画委員インタビュー:森 浩氏【アンリツ】
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■コースリーダー
アンリツ(株)森 浩
■講演タイトル
FOE-6
光ファイバが拓くインフラセンシングの未来
■講演者
鹿島建設(株)技術研究所
先端・メカトロニクスグループ 上席研究員
今井 道男
鹿島建設は、光ファイバセンサを用いたインフラ構造物の“見える化”によって、施工管理の品質と安全性の向上を実現している。本講演では、現場におけるこうした実例を紹介するとともに、光ファイバセンサと通信網の融合により期待される新たなインフラセンシングの将来像を概観する。
光ファイバセンサは、一般的なセンサのような点での計測ではなく、線や面での展開を図れることから長らく期待されてきた技術だ。通信分野から見て、これまでは光通信由来の技術だけでは普及は難しいとされてきたが、世の中のAI技術が発達したことや光測定器のパフォーマンスが向上したことで、計測の精度向上や状況の把握が容易になり、今ではその普及に期待が高まっている。また、当サイトでもこれまで取り上げてきたように、既設の光ファイバ網をセンシングに活用する研究も進んでいるので、今後も様々な角度から光ファイバセンサの技術が発展していくことが予想される。
森氏は「100年以上にわたり建設や土木に携わっている鹿島建設が、光ファイバセンサに期待されていることをお話しいただく。同社の事例で特に興味深いと感じたのは、新しい建物を施工する段階から光ファイバセンサを組み込むことで、既設の建物にファイバを敷設するよりもコストを抑えている点だ。これにより、構造物の歪みのセンシングといった付加価値をコストパフォーマンス良く提供できる」としており、「鹿島建設は高速道路などの社会インフラを得意としているので、日本全国に張り巡らされている既設光ファイバ網との親和性も高いと思う。本講演は、通信のイベントで通信以外の分野の方がお話をされるという、従来のFOEセミナーとは一線を画す試みなので、来場される皆様にとって異分野との交流による新たな価値創造の場になれば幸いだ」と話す。
登壇する今井氏は、鹿島建設の技術研究所にて、施工管理のための測量技術や計測技術の開発を担当した経験があり、現在は光ファイバセンサによる構造モニタリング技術の開発を推進するとともに、光産業技術振興協会光ファイバセンサ専門部会委員として普及活動にも従事している人物だ。
光通信業界でも改めて注目が高まっている光ファイバセンサについて、ゼネコン大手から見た有効性、また、光測定器メーカーやケーブルメーカーとの連携に関する見解が示されれば、光技術の将来展望に大きく寄与するだろう。また、光ファイバの長期耐久性や耐災害性といった利点が構造物のセンシングでどれほど活かされるのかは興味深いところなので、ゼネコンの測量技術や計測技術に精通する今井氏には、構造物の維持管理の効率化、自然災害時におけるBCPといった見解も期待したいところだ。
(OPTCOM編集部)
特集目次
・「COMNEXT」開催直前 主催者インタビュー
「通信・放送Week」から新生した国際商談展「COMNEXT」が6月に開催。
次世代通信技術&ソリューション展として、光通信、6G、ローカル5G、エッジAI、映像伝送などを網羅
光通信技術セミナー企画委員インタビュー
・佐藤 良明氏【NTTエレクトロニクス】
FOE-S
2023年 日本国際賞 受賞記念講演
・谷口 和彦氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】
FOE-1
データセンターのスケーリングおよび機械学習ネットワークにおける光技術の進化と役割
・黒部 立郎氏【古河電気工業】
FOE-2
光トランシーバ最新技術動向
・岡安 雅信氏【華為技術日本】
FOE-3
高密度光インターコネクトのトレンドおよび主要技術
・森 浩氏【アンリツ】
FOE-6
光ファイバが拓くインフラセンシングの未来
・土井 健嗣氏【日本電気】
FOE-9
クラウド データセンターおよびAIクラスター向けの次世代光トランシーバー
・和田 悟氏【フジクラ】
FOE-10
シリコンフォトニクス用光コネクタの最新技術動向
以下、後日更新
※各委員より、セミナーの魅力を紹介。