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BS衛星放送の再編:第二弾最終 トラポン移動 【CATV局現場からのレポート】

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著者:豊島ケーブルネットワーク㈱ 技術部長 上山裕史

1.はじめに
 CATV局はCATVセンタにおいて軌道上に静止したBS放送衛星からの放送を受信し、光同軸システムで加入者宅まで放送を配信している。BSデジタル放送で4K、8K放送を実施するために2018年5月にBS放送の再編作業の第二弾が終了した。これでBS再編の予定された作業は終了した。6月よりサッカーワールドカップの放送を迎える。今回、第二弾最終として行なわれたトラポン(トランスポンダ)移動についてレポートする。この作業終了により当初より目的としたBS7chが空き、セーフティネットとして使われたBS17chと共にBS4K放送に使用される準備が整った。

2.トラポン移動

 BSデジタル放送を送信する衛星は、赤道上空35,786Kmで地球の自転と同じ速度で回転し東経110度に位置している。BSデジタル放送で再編に該当するのはBS1ch、3ch、7ch、13ch、15chである。第一弾でテレビ番組が使用するスロット数を削減し、ビットレートを減ずる。すなわち帯域削減である。第二弾は空いた帯域に番組がトランスポンダ間を移動した。

図1:BS1ch

 図1にBS1chの再編前と第一弾再編後、第二弾再編後のスロット数の変化を示す。全部で48スロットあるうちBS朝日とBS-TBSがそれぞれ24スロットを使用していたが、それぞれ16スロットを使用するようになった。削減した16スロットにヌルデータが送信されていた。ヌルデータは映像データや音声データとは関係のない意味の無いデータである。第二弾再編でBS JapanがBS3chから移動してきた。全体のスロット数48を2番組で半分ずつ使用していたのが3番組で1/3のスロットを使用する形になった。

図2:BS3ch

 図2はBS3chの再編前と第一弾再編後、第二弾再編後のスロット数の変化を示す。WOWWOWプライムは24スロットのまま変化なし。NHKBSプレミアムとディズニーが別のチャンネルから移動してきた。それまで24スロットをBSJapanが占めていたが、その利用していたスロットをNHKBSプレミアムとディズニーが18スロットと6スロットで使用することになった。

図3:BS7ch

 図3にBS7chの再編前と第一弾再編後、第二弾再編後のスロット数の変化を示す。ディズニー、アニマックス、スターチャンネル2、3が他のチャンネルに移動し、再編の目的どおり4K放送用の空き帯域が出来た。今後、TC8PSKの変調方式から16APSKに変更されビットレートの帯域を増やし4K放送に供される。全体のビットレートは変調方式の変更により約2倍の増加となり約100Mbpsとなる。

図4:BS13ch

 図4にBS13chの再編前と第一弾再編後、第二弾再編後のスロット数の変化を示す。BS日テレとBSフジがそれぞれ24スロットを使用していた。第一弾再編後、BS日テレとBSフジがそれぞれ16スロットを使用し、削減した16スロットにはヌルデータが送信されていた。第二弾再編でアニマックスが移動してきた。全体のスロット数48を2番組で半分ずつ使用していたのが3番組で1/3のスロットを使用する形になった。

図5:BS15ch

 図5はBS15chの再編前と第一弾再編後、第二弾再編後のスロット数の変化を示す。NHK BS1が23スロット、NHK BSプレミアムが21.5スロットを使用していた。第一弾再編後、NHK BS1は20スロットを使用した。第二弾再編後スターチャンネル2、3が移動してきた。
 1スロットは約1Mbpsになる。ARIB (一般社団法人電波産業会)STD-B20衛星デジタル放送の伝送方式 第3章 階層変調サービスシステム運用ガイドラインに1スロット1.086Mbpsと記述がある。

3.終わりに

 トラポン移動は事前の計画通りに実行されたのをTSアナライザとデジタル復調器で確認できた。BSデジタル放送による4K、8K放送は、すぐそこまで来ている。ユーザに満足していただけるよう、より高品質な4K、8K放送をCATVサービスの方法でユーザに届けるようにしたい。

以上

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