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光通信技術セミナー企画委員インタビュー:【FOE-10】コパッケージ vs リニアドライブ

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■コースリーダー
NTTイノベーティブデバイス
会長
佐藤 良明

NTTイノベーティブデバイス(株)
会長
佐藤 良明氏

 例年のFOE技術セミナーで注目を集めているCo-Packaged Optics (CPO)。今年は3月にBroadcomが51.2 Tbps CPOイーサネットスイッチ プラットフォームの提供を開始(当サイト内関連記事)したこともあり、より具体的なビジネスとして期待が高まっている。

 コースリーダーの佐藤氏は「この数年で急速に進歩しているデータセンタ スイッチの課題は何かというと、やはり消費電力となる。最新の51.2 Tbpsスイッチ チップに100Gのプラガブルトランシーバを接続すると、512個の100G PAM4のDSPが使われ、その消費電力は大きい」と指摘する。
 
 このDSPの消費電力問題を解消するトランシーバ技術として新たに注目を集めているのが、本セッションのタイトルでCPOと共に掲げられているLinear Drive Pluggable Optics(LPO)だ。2023年にイベント展示デモや実測データ発表で注目され始めた新技術であるLPOは、最近もMACOMとBroadcomのデモで話題となった(当サイト内関連記事)。
 
 LPOもCPOも、従来のトランシーバに使われていたPAM4 DSPを減らすことによって消費電力を削減する。CPOは光をできる限りスイッチチップに近づけるアプローチ、LPOは従来のプラガブルトランシーバ内の機能を削減するアプローチである。CPOは消費電力を下げ、高速化や高密度化しやすいが、プラガブルと異なる運用性が課題である。LPOは、プラガブルの運用性はそのままだが、相互接続性に課題が残っている。このように、CPOとLPOの一長一短を比較できる、本セッションは非常に興味深い試みと言える。
 
 佐藤氏は「本セッションでは、CPOとLPOの比較についてイラストも交えながら分かりやすくご紹介する」としており、「どちらかの技術が主流となるのか、もしくは市場で住み分けができるのか、そうした観点でも聴講していただきたい。光通信技術の歴史を振り返ると、対立する技術がやがて組み合わさり総力で光通信が発展したケースや、主流になれなかった技術が後に重要な役割を果たすケースもあるので、双方の技術に注目している」と話している。

IOWN構想を支える光電融合実装技術 ~Co-Packaged Optics~
NTTイノベーティブデバイス
事業戦略室 次長
石井 雄三

 CPOの講演は、NTTイノベーティブデバイスの石井氏が概説する。同氏は、1997年にNTTに入社、光エレクトロニクス研究所に所属し、光インタコネクション技術の研究に従事。光通信用波長選択スイッチの開発に携わる。2016年よりデバイスイノベーションセンタにて、デバイス戦略/アライアンス担当等を経て、2023年6月のNTTイノベーティブデバイス設立時より現職。
 佐藤氏は「この講演では、携わっている開発技術の解説というよりも、CPOのメリットについて総合的に解説する予定だ」と話している。
 講演タイトルにあるIOWN構想において、光電融合デバイスは通信分野だけでなくコンピューティング分野も想定して研究が進められている。石井氏の講演では、CPOの最新動向はもちろん、今後の用途の広がりに関する展望も知ることができるだろう。

ハイパースケールDC内AIクラスタ向けLinear Drive Pluggable Optics (LPO) 型光トランシーバの最新動向
CIG Photonics Japan
マーケティング部 統括部長
平本 清久

 ChatGPT等の生成系AIの適用が全世界的な広まりを見せる中、データセンタ内のAIクラスタでは800Gbpsおよび1.6Tbps光トランシーバの適用が急速に進む見通しであり、その低消費電力化が喫緊の課題となっている。本講演では、そのアプローチとしてにわかに注目を集めているLPO型光トランシーバの開発動向と、それがCPOの導入に与える影響について解説する。
 登壇する平本氏は、1991年に日立製作所中央研究所入所。その後、日本オプネクスト、日本オクラロ、Lumentumを経て、現在はCIG Photonics Japanに所属。光トランシーバのマーケティングを担当、XFP、CFP、PSM4、CWDM4等のMSAやIEEE等の標準化会合活動へ参画。現在は主に800Gbps超級の次世代光トランシーバの製品企画およびマーケティングに従事している。
 佐藤氏は「平本氏は、技術だけでなく標準化やマーケティングにも精通しているので、CPOとLPOが市場で競合するのか、もしくはLPOが別の市場を狙っているのか、そうした最新動向も解説していただけるだろう」と話している。

(OPTCOM編集部)

光通信技術セミナー企画委員インタビュー目次

■6月26日(水)の講演

【FOE-1】800G/1.6T/3.2T光トランシーバ標準化とモダンデータセンタ向けCPO/LPOの最新動向
企画委員:布施 由起治氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】

【FOE-2】AIデータセンタ実現に向けた光ファイバ技術の将来展望
企画委員:和田 悟氏【フジクラ】

【FOE-3】チップレット技術の進化と挑戦
企画委員:鈴木 貴智氏【キーサイト・テクノロジー】

■6月27日(木)の講演

【FOE-4】NTT東日本のAPNサービス提供、ユースケース創出に向けた取り組み
企画委員:中村 二朗氏【NTTアドバンステクノロジ】

【FOE-5】AI クラスタにおける光インターコネクトの地殻変動
企画委員:小熊 健史氏【日本電気】

【FOE-6】光電融合デバイスの進展:通信からコンピューティングまで
企画委員:森 浩氏【アンリツ】

【FOE-7】超広帯域光ファイバ通信技術の動向
企画委員:黒部 立郎氏【古河電気工業】

【FOE-8】どの光変調器がベストか? 薄膜LN vs InP vs SiPh
企画委員:佐藤 良明氏【NTTイノベーティブデバイス】

■6月28日(金)の講演

【FOE-9】IOWN に見る All Photonics Network の最新研究開発動向
企画委員:鈴木 巨生氏【三菱電機】

【FOE-10】コパッケージ vs リニアドライブ
企画委員:佐藤 良明氏【NTTイノベーティブデバイス】

【FOE-11】Space Compassが目指すマルチオービット構想における光通信技術
企画委員:玉置 忍氏【住友電気工業】

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