光通信技術セミナー企画委員インタビュー:玉置 忍氏【住友電気工業】
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■コースリーダー
住友電気工業(株)玉置 忍
■講演タイトル
FOE-8
石英系光ファイバの進化と将来展開
■講演者
住友電気工業(株)
光通信研究所
光伝送媒体研究部
部長
榎本 正
石英系光ファイバは、誕生以来半世紀にわたる技術進化を経て、現代社会を陰で支える社会インフラとして欠くべからざる存在となっている。本講演は今年の基礎講座の位置付けであり、石英系光ファイバのこれまでの技術進化を振り返るとともに、今後期待される将来展開等について紹介する。
光通信技術セミナーの定番の1つである基礎講座は、その名の通り基礎から学ぶ機会であることはもちろん、業界の中堅層からも断片的な知識の整理や関連性の把握に役立つ場として根強い人気がある。
光ファイバをテーマとした今年の基礎講座について玉置氏は「最新の光ファイバ技術を扱う講演は他に設けていることもあり、本講演では基礎講座という目的を重視し、光ファイバの技術進化の歴史にフォーカスする。光ファイバの誕生から長い年月が経ったことで、大学院での研究時代から既に光ファイバが当たり前に存在していたという世代の研究者が、当社含め増えてきた。そこで本講演を、光ファイバの開発から技術進化を実際に経験してきた研究者の見解を示す場とすることで、今後の技術を担う研究者に先駆者の視点を伝えることができればと考えている」とし、「光ファイバの技術進化の歴史ということで、シングルモードファイバの開発の経緯やVAD法やMCVD法といった初期の話から始まり、分散シフト光ファイバの開発や、光アンプ、DWDM、デジタルコヒーレントといった光ファイバの伝送容量にインパクトを与えた技術の話を経て、現在の需要である低非線形性や低ロス性、そしてSDM用のマルチコアファイバ等の話に繋げていく予定だ」と話している。
登壇する榎本氏は、住友電気工業の横浜研究所、光通信研究所に所属し、光ファイバおよび光ファイバ型部品の生産技術開発に従事してきた人物。2020年4月に光通信研究所光伝送媒体研究部長に就任し、現在に至る。技術士(化学部門)。
同氏は光ファイバの研究開発に長年携わってきたことに加え、近年では総務省の研究開発プロジェクト「マルチコア大容量光伝送システム技術」に研究分担者として参加しているので、光ファイバの歴史と最新の光ファイバ技術を熟知した視点による丁寧な基礎講座が期待できそうだ。
玉置氏は「本講演のテーマである光ファイバを含む光通信から始まったFOEは、回を重ねるごとに技術分野を拡大し、今年は通信技術&ソリューション展『COMNEXT』となった。基調講演でIOWNが語られることをはじめ、様々な最新製品や技術テーマが一堂に介する中で、例年以上に意見交換が活発なイベントになると期待している」と話す。