光通信技術セミナー企画委員インタビュー:黒部 立郎氏【古河電気工業】
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■コースリーダー
古河電気工業(株) 黒部 立郎
FOE-2
光トランシーバ最新技術動向
光トランシーバを扱う本コースでは、ハイパースケールDC向けの講演と、デジタルコヒーレント向けの講演が設けられている。黒部氏は「DC向けでは主にIM/DD(直接変調-直接検波)方式の距離が短いクライアント系トランシーバをテーマとするので、もう一方の長距離用であるデジタルコヒーレント向けの講演とは異なる側面から技術動向を示す予定だ。双方に共通するキーワードとして1.6Tbpsがあるので、この高速技術がそれぞれの分野でどのように入っていくのかが分かるような講演になればと考えている。また、技術の流れとして、デジタルコヒーレントを今よりも短い距離でも適用していこうという取り組みも出てきているので、距離による技術の使い分けにも変化が有るかもしれない。今後の技術の方向性を探る意味でも、IM/DDとデジタルコヒーレントの最新技術動向をそれぞれ聴くことができる場というのは非常に有意義だろう」と話している。
■講演タイトル
ハイパースケールDC向け1.6Tbps超級光トランシーバの最新動向
■講演者
CIG Photonics Japan(株)
PLM・マーケティング部 部長
平本 清久
拡大が続くハイパースケールデータセンタ内のIPトラフックに対応するため、スイッチASICの容量は2年間で2倍の速度で増加している。光トランシーバにはその伝送速度の増加に追随するのみならず、それを低コストかつ高消費電力効率で実現することが強く求められている。本講演では1.6Tbps超級光トランシーバの実現に向けた光トランシーバの動向を次世代規格化及びデバイス技術の動向と合わせて解説する。
黒部氏は 「プラガブル光トランシーバの低消費電力化に向けて、新しい技術が次々と入ってきており、実際に性能が上がっている。講演では、課題を克服した工夫の事例も幾つか示される予定だ」と話す。
登壇する平本氏は、CIG Photonics Japanで光トランシーバのマーケティングを担当。XFP、CFP、PSM4、CWDM4等のMSAやIEEE等の標準化会合活動へ参画。現在は主に400Gbps超級の光トランシーバの製品企画およびマーケティングに従事。
標準化やマーケティングを通じてユーザの動向にも精通している平本氏は、光通信技術展セミナーで何度も講演をしており、好評を博している。黒部氏は 「平本氏は昨年との違いが分かり易くなるよう工夫するとおっしゃっているので、例えば短距離におけるデジタルコヒーレントの課題や、Linear Drive Pluggable Optics(LPO)といった、最近の注目トピックにも触れていただけるだろう」と話す。
■講演タイトル
デジタルコヒーレント光トランシーバ 800Gb/s, 1.6Tb/sに向けた最新動向
■講演者
富士通オプティカルコンポーネンツ(株)
光電融合戦略商品部 部長
八木澤 孝俊
大容量化が進むデジタルコヒーレント光トランシーバについて、そのキーコンポーネントとして期待されるニオブ酸リチウム(LN)変調器の開発動向を踏まえて、次世代800Gbps、1.6Tbpsに向けた最新動向を解説する。
黒部氏は 「デジタルコヒーレント光トランシーバの小型化には、シリコンフォトニクスを適用したCOSAにより実現した。さらなる性能の向上が、新材料を用いた変調器の導入やシリコンフォトニクスに異種材料を融合させることで実現している。本講演は、その最新動向としてご注目いただきたい」と話している。
登壇する八木澤氏は、富士通研究所において高速光デバイスパッケージングおよび光トランシーバ高速化に関する研究開発に従事。その後、富士通コンポーネント、富士通オプティカルコンポーネンツにおいて光トランシーバの事業化に従事した経験を経て、現職に至る。本講演は、光トランシーバの最先端の研究、事業化に携わってきた同氏が、光電融合の戦略としてどのようなロードマップを描いているかという点でも興味深い。
黒部氏は 「トランシーバのビジネスは、規模や開発費の影響が大きい。だが、そうした状況だからこそ、チップ実装やパッケージングの工夫で差別化を図るアプローチは重要だと考えている。本講演は、技術を工夫していくことで、限界だと思っていたことがさらに伸びていくという観点で聴講いただければ幸いだ」と話している。
(OPTCOM編集部)
特集目次
・「COMNEXT」開催直前 主催者インタビュー
「通信・放送Week」から新生した国際商談展「COMNEXT」が6月に開催。
次世代通信技術&ソリューション展として、光通信、6G、ローカル5G、エッジAI、映像伝送などを網羅
光通信技術セミナー企画委員インタビュー
・佐藤 良明氏【NTTエレクトロニクス】
FOE-S
2023年 日本国際賞 受賞記念講演
・谷口 和彦氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】
FOE-1
データセンターのスケーリングおよび機械学習ネットワークにおける光技術の進化と役割
・黒部 立郎氏【古河電気工業】
FOE-2
光トランシーバ最新技術動向
・岡安 雅信氏【華為技術日本】
FOE-03
高密度光インターコネクトのトレンドおよび主要技術
・森 浩氏【アンリツ】
FOE-6
光ファイバが拓くインフラセンシングの未来
・土井 健嗣氏【日本電気】
FOE-9
クラウド データセンターおよびAIクラスター向けの次世代光トランシーバー
以下、後日更新
※各委員より、セミナーの魅力を紹介。