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光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー:太田 寿彦氏【古河電気工業】

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■コースリーダー
古河電気工業(株) 太田 寿彦

■講演タイトル
FOE-10
海底光ケーブルシステムの大容量化に向けた技術動向

■講演者
日本電気(株)
海洋システム事業部 シニアマネージャ
井上 貴則

古河電気工業(株)
執行役員 次世代フォトニクス 事業創造プロジェクトチーム チーム長
太田 寿彦氏

 国際間通信を支える海底光ケーブルシステムの市場動向や大容量化に向けた技術動向などについて紹介する。
 太田氏は 「世界的なトラフィック増加に対応するため、海底光ケーブルの大容量化が喫緊の問題というのが世界の潮流だ。また、陸のルートで可能な場合でも、大規模自然災害に備えて海底というケースもあるので、やはり海底光ケーブルシステムの大容量化技術というのは重要になる。だが、従来のようにファイバ単位でトラフィック量を増やすのは限界が見えており、200μファイバのような細径ファイバを用いてケーブルあたりの心数を増やす、あるいはマルチコアのようにコア数を増やすといったアプローチも提案されている。講演ではそうした新たな切り口のスケールアップについて、最新の動向を解説する」と話す。

 登壇する井上氏は、NECの海洋システム事業部で長距離伝送技術開発に取り組んでおり、KDDI海底ケーブルシステムで海底ケーブルの長距離伝送技術の研究開発に従事した経験もある人物だ。海底ケーブルシステムを構築する案件は、光通信市場の中でもタームが長いという特徴がある。その研究開発に長年携わっている井上氏からは、海底ケーブルシステムの中長期的な方向性を聴くことができそうだ。

 太田氏は「SDM(空間分割多重)伝送でマルチコアを検討するなど、海底ケーブルが次のSTEPに進むことを感じさせる話題が市場で出てきているので、日本のマルチコア技術を活かすチャンスだと期待している。また、200μファイバは光通信市場で実績を増やしており、従来製品と比べて問題点も無い。こうした日本発の技術がブレイクスルーになればと期待している」と話す。

■講演タイトル
FOE-14
化合物半導体/シリコン異種材料集積技術を用いた光集積回路

■講演者
NTT先端集積デバイス研究所
上席特別研究員
松尾 慎治

 トラフィックの増加とともに光インターコネクションの短距離化・低消費電力化・低コスト化が重要となってきている。講演では、シリコンフォトニクスと化合物半導体の異種材料集積による、これらの課題解決に向けた取り組みを紹介する。
 太田氏は「異種材料集積技術は、世界でもNTTとIntelが双璧だろう。特にNTTは異種材料集積における薄膜構造の研究が進んでいる。今後の光技術のトレンドであるオンボードで重要な低消費電力も、NTTの薄膜構造技術であれば優位性があるだろう」と話す。
 NTTのアプローチとして興味深いのは結晶成長だ。例えば、異種材料集積で必要なシリコンとInPは格子定数が異なることから、シリコン基板上でInPを直接成長させるとレーザのクオリティが低下してしまう。そこでNTTでは、実際に発光する活性層をシリコンウエハのプロセスとは別にInP基板を使って結晶成長により作成してから、シリコン基板上に集約する技術に取り組んでいる。低消費電力での発光という、市場の要求に合致した技術なので、様々なアプリケーションに広がることが期待できる。

 登壇する松尾氏はNTT先端集積デバイス研究所で化合物半導体光デバイスの研究開発に従事している人物。集積技術について、長年にわたり学会で積極的に発表している著名な研究者だ。太田氏は「光コンピューティングの材料系として、日本発の光源技術をご紹介したいというのが今回のテーマであり、その研究に長年携わっている松尾氏に講演を依頼した。コンピュータを光化するというのは、我々のような光技術に携わる立場から見ると、ある意味で最終終着駅とも言える。松尾氏が解説する技術が、IOWN構想を支える重要技術の一つとして世界のディファクトになっていくのではないかと期待しながら、聴講いただければと思う」と話している。
 
 松尾氏の講演は、将来技術ということで技術論となるだろう。一方で、松尾氏の研究は、その最終目標はもちろん、その過程で生まれた技術も世界の最先端だ。この過程の技術をビジネスに活かせるかもしれない、そんな視点で聴講するのも良さそうだ。

(OPTCOM編集部)

特集目次

「通信・放送Week 2022」開催直前 主催者インタビュー

■光通信技術展 専門技術セミナー委員インタビュー

中村 二朗氏【NTTアドバンステクノロジ】
FOE-K IOWN構想の実現に向けて

土井 健嗣氏【日本電気】
FOE-1 光トランシーバーの最新動向と新冷戦による影響
FOE-13 クライアント側高速光トランシーバの動向、データレートとフォームファクタの進化

石部 和彦氏【アンリツ】
FOE-2 Siフォトニクス(トランシーバ技術)アイオーコア社の最新技術動向
FOE-6 ハイパースケールDC向け800Gbps/1.6Tbps光トランシーバの標準化・技術動向

清水 克宏氏【三菱電機】
FOE-3 Beyond 5G/6G時代の超拡張性を実現する光衛星通信
FOE-5 コヒーレント光センサ技術の応用例と今後の展望

鈴木 貴智氏【キーサイト・テクノロジー】
FOE-4 プラガブル光トランシーバ測定の基礎

佐藤 良明氏【NTTエレクトロニクス】
FOE-7 Telecom Infra Project ~オープンかつディスアグリゲートされた、持続可能なトランスポートネットワークの構築~

笹岡 英資氏【住友電気工業】
FOE-8 伝送用光ファイバの基礎と将来展望

谷口 和彦氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】
FOE-9 空間分割多重光伝送技術の最新動向と今後の展開
FOE-12 光とASIC(特定用途向け集積回路)のコパッケージへの挑戦

太田 寿彦氏【古河電気工業】
FOE-10 海底光ケーブルシステムの大容量化に向けた技術動向
FOE-14 化合物半導体/シリコン異種材料集積技術を用いた光集積回路

和田 悟氏【フジクラ】
FOE-11 IOWN構想実現に向けた光ファイバ技術への期待と今後の展望

岡安 雅信氏【華為技術日本】
FOE-15 Beyond 400Gコヒーレント光トランシーバの市場・技術動向

■「通信・放送Week 2022」出展製品Preview

アダマンド並木精密宝石
NICT採択の自己形成導波路など紹介

NTTアドバンステクノロジ(NTT-AT)
ネットワーク保守、インフラ設備保全、光コネクタ製造を幅広く展示

キーサイト・テクノロジー
120 GbaudのBERTや、超高速デジタルコヒーレント光伝送評価のAWG

精工技研
作業効率の良い同社オリジナルのLCユニブーツコネクタや、機能が追加された光コネクタ研磨機

センコーアドバンス
高密度型SN-MTコネクタを用いた400G伝送ライブデモ

光貿易
超高速RFモジュール製作請負サービスや、他の追随を許さぬ超高分解能OSA

横河計測
多心ファイバ測定に優れたOTDRや、高分解能と高速測定を両立したOSA