光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー:石部 和彦氏【アンリツ】
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■講演タイトル
FOE-7「Beyond 5Gアクセスネットワークに向けた最新光デバイス技術」
FOE-16「シリコンフォトニクスによる光トランシーバの集積化・高密度化の進展」
■コースリーダー
アンリツ(株)石部 和彦
ここで紹介する二つの講演は、最先端の光デバイス技術に関するもの。一つはBeyond 5Gフロントホールでの適用、もう一つは集積化の観点から解説される。コースリーダーを務める石部氏は「どちらの講演もシリコンフォトニクスが関わってくる。これまで専門家会議で扱われてきたシリコンフォトニクスも、様々なシーンで具体的な話になってきた。2030年に向けた通信業界のロードマップの中で、どのような技術に絞られていくのかという視点で聴講いただければと思う。今回は、特にフロントホールでの採用が間近に迫っていることを実感いただけるだろう」と話している。
FOE-7
Beyond 5Gアクセスネットワークに向けた最新光デバイス技術
東京大学大学院工学系研究科
准教授
種村 拓夫
2030年頃に期待されるBeyond 5G/6Gの商用化に向けて、モバイルフロントホールや光アクセスに求められる革新的光デバイスの研究開発が加速している。この講演では、強度変調直接検波(IMDD)、デジタルコヒーレント、アナログRoF(radio-over-fiber)等の各種方式について、デバイスへの要求と最新の研究開発動向が紹介される。石部氏は「従来は、40km以内は直接変調、それ以上はコヒーレントといったイメージがあったかもしれない。しかしフロントホールのような短距離でも、今後800G、1.6Tになると、コヒーレントと直接変調のデバイスの両方が検討されるようになる」と話している。
登壇する東京大学の種村氏は、半導体集積フォトニクス、光通信デバイス、光スイッチ、光インターコネクト技術の研究に携わっている人物。2019年に光産業技術振興協会 光技術戦略策定専門委員会 議長として、「Beyond 5Gに向けた次世代ネットワークの光テクノロジーロードマップ」を取りまとめた実績もある。石部氏は「Beyond 5Gと光デバイスの双方に精通している方ということで、種村氏にご講演を依頼した。フロントホールはセル数が増え、伝送方式の低コスト化が最優先とされている。それに対して既存のコヒーレント技術ではどうしても値段が高くなってしまうので、講演ではその課題の解決として取り組まれているコヒーレントや直接変調の様々な技術、コスト削減の比較などを紹介していただく予定だ」と話している。
種村氏は直接変調の最新デバイス動向とコヒーレント実装の論文を出している人物なので、Beyond 5Gに向けて具体的にどのようなデバイスが用いられようとしているのか、標準化の流れはどうなっているのかについて、直接変調とコヒーレントの双方に携わる視点での解説が期待できる。
FOE-16
シリコンフォトニクスによる光トランシーバの集積化・高密度化の進展
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所
研究統括部長
中村 隆宏
IT化やDX化と言われる中で、LSIの高性能化が益々求められているが、その進化の限界も見え始めている。それに代わって、多数のLSIをつなぐことで並列化により性能を向上する方向へ変化しつつある。この講演では、LSIをつなぐ将来技術を牽引するシリコンフォトニクス技術を用いた光トランシーバの集積化・高密度化に関して、課題と展望を交えて解説する。
登壇する中村氏はPETRAでシリコンフォトニクス集積回路の研究開発に携わっている人物。石部氏は「QSFP-DDのように光モジュールの小型化・高集積化が進み、その先にはCPOやCOBOが見えているが、やはり消費電力の課題が有る。マッハツェンダ変調器にしろ、LN変調器にしろ、材料レベルで見直さなければ低消費電力は厳しいだろう。そこで今回の講演では、中村氏より、更なる集積化を進めていくにあたり、電気の視点、光の視点でのポイントや、小型化していく中での変調器をデバイスレベルで比較していただいく予定だ」と話している。
PETRAは今年7月、NEDOが進める「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」で光ICとLSIを一体集積可能とする3次元光配線技術を発表している。講演では、PETRAのCPOに関する最新情報も聴くことができそうだ。
(OPTCOM編集部)
特集目次
■「通信・放送Week 2021」開催直前 主催者インタビュー
■光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー
佐藤 良明氏【NTTエレクトロニクス】
FOE-K「そろそろ見えてきた!? DX時代におけるデータセンター戦略と光技術への期待」
FOE-K「半導体のイノベーションにより 潜在的なデジタルトランスフォーメーションを実現」
FOE-22「レーザ網膜投影技術:医療ヘルスケアからXR応用まで」
土井 健嗣氏【日本電気】
FOE-1「光トランシーバの最新市場動向」
FOE-10「次世代ハイパースケールデータセンタにおける400Gbps 超級光トランシーバの最新動向」
岡安 雅信氏【華為技術日本】
FOE-2「光トランシーバの最新標準化動向」
FOE-14「InP/Siヘテロ集積シリコンフォトニクスの最新技術動向」
和田 悟氏【フジクラ】
FOE-3「AIを活用した光ネットワークの運用高度化の最新技術動向」
FOE-17「マルチコア光ファイバの最新技術動向」
太田 寿彦氏【古河電気工業】
FOE-4「IOWN/Beyond 5Gに向けた光ケーブルへの期待と将来展望」
FOE-6「光電融合・IOWN時代を担う、光半導体デバイス技術を紐解く」
界 義久氏【NTTアドバンステクノロジ】
FOE-5「近赤外光重合による光部品自動接続の現状と将来展望」
FOE-18「電気光学ポリマーを用いた光制御デバイス・テラヘルツデバイス」
石部 和彦氏【アンリツ】
FOE-7「Beyond 5Gアクセスネットワークに向けた最新光デバイス技術」
FOE-16「シリコンフォトニクスによる光トランシーバの集積化・高密度化の進展」
谷口 和彦氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】
FOE-8「次世代光ファイバの接続技術動向」
FOE-9「デジタルコヒーレント光トランシーバの最新技術動向」
FOE-15「光コパッケージと次世代シリコンフォトニクスの応用」
清水 克宏氏【三菱電機】
FOE-11「Beyond 5G/6Gを支える光・無線融合技術」
FOE-20「光伝送領域におけるネットワークオープン化動向」
笹岡 英資氏【住友電気工業】
FOE-12「通信用光ファイバとファイバ型デバイスの基礎」
FOE-21「フォトニック結晶スローライトによる小型・非機械式 LiDAR」
鈴木 貴智氏【キーサイト・テクノロジー】
FOE-13「光トランシーバ測定の基礎」
FOE-19「デジタルコヒーレント光伝送の最新技術動向」