光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー:佐藤 良明氏【NTTエレクトロニクス】
INTERVIEW 有料期間限定無料公開中
■講演タイトル
FOE-K「そろそろ見えてきた!? DX時代におけるデータセンター戦略と光技術への期待」
FOE-K「半導体のイノベーションにより 潜在的なデジタルトランスフォーメーションを実現」
FOE-22「レーザ網膜投影技術:医療ヘルスケアからXR応用まで」
■コースリーダー
NTTエレクトロニクス(株)佐藤 良明
今年の基調講演では、さくらインターネットの田中社長よりデータセンター戦略、TSMCジャパンの小野寺社長より半導体イノベーションについて聴くことができる。
昨年の基調講演に引き続き取り上げられたデータセンターについて、コースリーダーを務める佐藤氏は「光通信技術の需要としてデータセンターの注目度は依然として高い。その中で光通信業界はどのようなことを意識する必要があるのかということで、さくらインターネットの田中氏より、データセンター事業の経営者の視点から国内需要についてご講演いただく予定であり大変参考になると思う」と話している。
もう一つの基調講演では、光通信デバイスと密接な関係にある半導体について、TSMCジャパンの小野寺氏が解説する。佐藤氏は「最先端のLSIの世界についてグローバルな視点で語っていただく。世界的に半導体不足が続いている中、TSMCがビジネスをどのように見ているのかという話は、光通信業界の動向にも深く関わるだろう」と話す。
今回、佐藤氏は専門技術セミナーのコースリーダーも務めており、「レーザ網膜投影技術:医療ヘルスケアからXR応用まで」を担当している。例年の専門技術セミナーではあまり扱われてこなかった非通信分野を取り上げた狙いについて佐藤氏は「通信以外の分野で光通信技術を応用することへの注目度は高まっている。そのためには、他分野での課題を聞いて、それを光技術で解決できるかもしれないとチャレンジしていく以外に方法は無いと思う。今回の講演では、その一つの例として、QDレーザの菅原社長から、光通信用のレーザを応用して医療用機器に挑戦している事例をご紹介いただく」と話す。
FOE-K
そろそろ見えてきた!? DX時代におけるデータセンター戦略と光技術への期待
さくらインターネット(株)代表取締役 社長
田中 邦裕
コロナ禍において世の中が急速に様変わりする中、DXの加速に起因するデータセンター需要のさらなる高まりにより、大きなビジネスチャンスが期待されている。このセッションでは、データセンターの現状の課題とともにさくらインターネットや業界の事例を参考に、今後のデータセンター戦略と光技術の活用についての展望が解説される。
佐藤氏は「例えば、データセンター事業のインフラをどのように構築しているのか、複数のロケーション展開においてどのくらいのネットワーク帯域が必要なのか、光技術による低消費電力化をどのように捉えているのかといった、光関係者が興味を持つ話を田中氏からお聞きできる。また、データセンター市場の背景として、日本のDXに対する見解についてもお話しいただける予定だ」と説明している。
田中氏は現在、外部活動にも力を入れており、日本データセンター協会(JDCC) 理事長、ソフトウェア協会(SAJ) 筆頭副会長 、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)常任理事、ブロックチェーン推進協会(BCCC)副代表理事などを務め、業界の発展に貢献している。今では業界のキーマンとして経験豊富な田中氏。その経歴を通信インフラの観点から振り返ると、IT市場が盛り上がった1999年にさくらインターネットを設立し、クラウドが浸透し始めた2011年には当時の日本では珍しかった郊外型のデータセンター「石狩データセンター」を構築している。
コロナ禍やDXで世の中が変わる今、これまで通信業界の変革期に人々の注目を集めてきた田中氏がどのような感性で日本のビジネスを見ているのかという点でも、この講演は興味深い。
FOE-K
半導体のイノベーションにより 潜在的なデジタルトランスフォーメーションを実現
TSMCジャパン(株)代表取締役社長
小野寺 誠
5Gや人工知能(AI)、光通信といった革新的なテクノロジーの進展により、人々の生活はあらゆる面で変化を遂げている。これら全てを支えているのは、半導体のイノベーションであり、自動車やスマートフォンが減産に追い込まれるまでになった半導体不足により、一層の注目が集まっている。
佐藤氏は「本講演では小野寺氏より、半導体のイノベーションが何をもたらしているかという話や、その進捗について解説していただく。現在の5nmから、その次の展望もお話いただけると思うので、それによりデジタルトランスフォーメーションや私たちの生活がどう変わっていくかという将来も示唆される講演になるだろう」と話す。
小野寺氏はティーエスエムシージャパンを1997年9月に設立し、その代表取締役日本統括マネージャーを経て2006年に社長に就任した人物だ。エッジデバイス、クラウドデータセンタやネットワークインフラなど、処理能力とエネルギー効率に優れたコンピューティングに対する需要が前例のない高まりを見せている今、世界最大手の半導体受託工場であるTSMCがどのような見解を持っているのか興味深い。
なお、本講演でのスライド資料の配布は行われないので、スライドを見ることができるのは聴講者のみとなる。今は日本政府によるTSMC半導体工場の誘致が注目されているタイミングでもあるので、その重要性を確認する上でも、本講演は貴重な機会と言えるだろう。
FOE-22
レーザ網膜投影技術:医療ヘルスケアからXR応用まで
(株)QDレーザ代表取締役社長
菅原 充
QDレーザの独自技術であるレーザ網膜投影は、微弱なレーザ光を網膜上に直接描画することにより、装着者の結像機能やピント位置に影響を受けず、視野に自然に重なる鮮明なフルカラー映像を表示することができる。講演では、同技術の視覚障碍者支援と眼疾患検査等の医療ヘルスケア応用、XR分野への適用事例と応用可能性が紹介される。
登壇する菅原氏は、富士通研究所ナノテクノロジー研究センター長代理を経てQDレーザを設立した人物。佐藤氏は「レーザ網膜投影は、通信の基礎研究としてのレーザ技術を応用したものだ。スマートグラスのように眼鏡をかけるイメージだが、ディスプレイに映像を投影するのではなく、網膜に直接映像を送る技術となる。私も実際にかけてみたところ、映像が鮮明であり、また対面している相手と資料をVRのように重ねて表示するといったことも体験できた」と話している。
QDレーザは、世界で初めて光通信用量子ドットレーザの量産化に成功した企業でもある。富士通研究所から生まれたベンチャー企業のサクセスストーリーという点でも、本講演は面白そうだ。また、前述の通り、レーザ網膜投影は通信の技術が使われているので、こうした取り組みに自社の技術が応用できる可能性を考えながら聴講するのも良いだろう。
(OPTCOM編集部)
特集目次
■「通信・放送Week 2021」開催直前 主催者インタビュー
■光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー
佐藤 良明氏【NTTエレクトロニクス】
FOE-K「そろそろ見えてきた!? DX時代におけるデータセンター戦略と光技術への期待」
FOE-K「半導体のイノベーションにより 潜在的なデジタルトランスフォーメーションを実現」
FOE-22「レーザ網膜投影技術:医療ヘルスケアからXR応用まで」
土井 健嗣氏【日本電気】
FOE- 1「光トランシーバの最新市場動向」
FOE-10「次世代ハイパースケールデータセンタにおける400Gbps 超級光トランシーバの最新動向」
岡安 雅信氏【華為技術日本】
FOE-2「光トランシーバの最新標準化動向」
FOE-14「InP/Siヘテロ集積シリコンフォトニクスの最新技術動向」
和田 悟氏【フジクラ】
FOE-3「AIを活用した光ネットワークの運用高度化の最新技術動向」
FOE-17「マルチコア光ファイバの最新技術動向」
太田 寿彦氏【古河電気工業】
FOE-4「IOWN/Beyond 5Gに向けた光ケーブルへの期待と将来展望」
FOE-6「光電融合・IOWN時代を担う、光半導体デバイス技術を紐解く」
界 義久氏【NTTアドバンステクノロジ】
FOE-5「近赤外光重合による光部品自動接続の現状と将来展望」
FOE-18「電気光学ポリマーを用いた光制御デバイス・テラヘルツデバイス」
石部 和彦氏【アンリツ】
FOE-7「Beyond 5Gアクセスネットワークに向けた最新光デバイス技術」
FOE-16「シリコンフォトニクスによる光トランシーバの集積化・高密度化の進展」
谷口 和彦氏【富士通オプティカルコンポーネンツ】
FOE-8「次世代光ファイバの接続技術動向」
FOE-9「デジタルコヒーレント光トランシーバの最新技術動向」
FOE-15「光コパッケージと次世代シリコンフォトニクスの応用」
清水 克宏氏【三菱電機】
FOE-11「Beyond 5G/6Gを支える光・無線融合技術」
FOE-20「光伝送領域におけるネットワークオープン化動向」
笹岡 英資氏【住友電気工業】
FOE-12「通信用光ファイバとファイバ型デバイスの基礎」
FOE-21「フォトニック結晶スローライトによる小型・非機械式 LiDAR」
鈴木 貴智氏【キーサイト・テクノロジー】
FOE-13「光トランシーバ測定の基礎」
FOE-19「デジタルコヒーレント光伝送の最新技術動向」