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光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー【FOE-8】自動運転を支える光応用技術

INTERVIEW 有料

キーサイト・テクノロジー(株)
ソリューションエンジニアリング本部 エンジニアリング二部
部長
鈴木 貴智氏

コースリーダー:
キーサイト・テクノロジー㈱ 鈴木 貴智
サブリーダー:
NTTアドバンステクノロジ㈱ 界 義久

 現在、自動車業界においては、EV化や自動運転など新たなイノベーションの渦の中で大きなパラダイムシフトが起きつつある。従来の自動車業界の外側からも、ユーザ側及びサプライヤ側の両方へ新規参入者が雪崩をうって押し寄せており、その中で「高速大容量通信」と「AI」はカギとなる技術と言って良いだろう。先日米国でIPOを果たした中国の新興EVベンダに中国のAlibaba(阿里巴巴)やTencent(騰訊)が大型出資を行っていることなどはその好例である。AIは、自動運転技術に直結する。FOE2020セミナーの本コースは、「光通信による高速化」と「自動運転」の両方を扱うことで、光通信業界に限らず一般的に見ても注目度の高い贅沢な内容となっている。コースリーダーの鈴木氏は、「昨年も自動運転と光技術のコースを受け持たせて頂いたが、予想以上に好評だったので今年も引き続き取り上げることとなった。車載のネットワークについては、各社がまさに今色々取り組まれていることと思う。従来は、OEMなりTier1が中心となっていたが、現在ではだいぶプレイヤーの裾野が拡がってきた。その分、新規のプレイヤーにとっては、1Gbpsですら高速に感じることと思う。従来の光通信業界の聴講者はもちろん、新規の方にも本コースでさらなる高速化への展望を理解して頂き、新たな製品開発に活かして頂きたい」と語っている。

●車載光イーサネットの最新動向と将来の方向性
産学官金連携機構
特任教授
各務 学

 自動車におけるネットワーク規格といえばMOST(MOST BUS)規格等が知られており、従来から欧州を中心にインフォテイメント系において一部POFが使用されてきた。ただ、近年では車載ネットワークの高速化要求が一層高まっており、IEEEにおいても1000BASE-T1をベースにIEEE 802.3bv-2017としてGEPOF(1 Giga Ethernet)の標準化が完了している。IEEE 802.3 ETHERNET Working Groupではさらなる規格標準化に向け動いており、世界の主要な自動車メーカーもその策定を推進している。また、これまでIEEE規格については欧米のOEMやLSIメーカーが主導していたが、光イーサネットについては日本の存在感が高まっており、業界リーダーの各務氏から話を直接伺うことの出来る本セッションは、貴重な機会と言えるだろう。

●高速光伝送技術の車載応用
矢崎総業㈱
技術研究所
伝送技術研究部 光技術研究チーム
リーダー
相葉 孝充

 矢崎総業は、自動車用ワイヤーハーネス業界において住友電気工業と双璧を成し、両者併せて世界の半分以上のシェアを占有すると言われている。また、前出の各務氏の車載光イーサネット研究会のメンバーにも入っており、メタルのみならず光の研究開発も積極的に進めている。2番目のスピーカーを務める同社からは、開発の話のみならず現場にかなり近い話も聴くことが出来そうだ。「車載における通信システムの進化の歴史や実用化されている最新の1Gbps光通信システム等を紹介して頂くが、10Gbpsへの展開も含めて光ファイバ(GI-POF)の話がメインとなるだろう。また、現場に即した話題として、曲げRや温度・振動など車載配線における固有の課題等にも触れて頂けるはずだ」と鈴木氏は述べている。また、5Gに絡めたところで、28GHz帯信号の車内伝送試験についても言及されそうだ。

●自動運転を支える車載センシング技術の動向
ソニーセミコンダクタソリューションズ㈱
車載事業部 車載商品部
統括部長
大西 健治

 SONYはCMOSイメージセンサで世界シェアの50%超を占める、言わずと知れた業界リーダーだ。車載用としては後発となるが、エッジAIや単一露光でのHDR(High Dynamic Range)等の新技術で他社との差別化を図っている。「自動運転を実現するためには、カメラやLiDAR、レーダーの各センサを組み合わせるセンサフュージョンという技術が必要となるが、まずはそのあたりの説明から入ることになるだろう。また、自動運転を支えるインプット情報ということでエッジAIを搭載してディープラーニングを採用するなど、従来のイメージセンサには無かった新しいチャレンジングな試みを聴くことが出来るはずだ」と鈴木氏は期待を寄せる。LiDAR単体への掘り下げは無いだろうが、光を含めたセンサのデータを如何に集約するかは、インターコネクションやSiPの分野においても興味深い内容となるだろう。

(OPTCOM編集部 井上政基)

特集目次

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光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー
【FOE-K】光通信技術展 基調講演
【FOE-1】光トランシーバの最新技術動向
【FOE-2】最先端 光材料技術の動向と今後の展望
【FOE-3】Beyond 5G時代を目指し、光部品・集積技術を紐解く!
【FOE-4】次世代高速光通信技術
【FOE-5】巨大化するデータセンタを支える光技術
【FOE-6】【基礎講座】初日に学ぶ 光ファイバ・光デバイス、光測定の基礎
【FOE-7】5G/Beyond5Gに向けた光通信技術の最新動向と取組み
【FOE-8】自動運転を支える光応用技術
【FOE-9】 5G/Beyond5Gとそのエッジコンピューティングに関する最新市場動向
【FOE-10】 世界をつなぐ最先端ネットワーク 海底ケーブルの最新動向

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