光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー【FOE-7】5G/Beyond5Gに向けた光通信技術の最新動向と取組み
INTERVIEW 有料コースリーダー:
アンリツ(株)石部 和彦
サブリーダー:
NTTエレクトロニクス(株)佐藤 良明
昨年の聴講者アンケートでリクエストの多かったというBeyond5G。本コースではその技術的な面を掘り下げた内容でプログラムが組まれている。コースリーダーの石部氏は「今年は日本でも5Gサービスが始まり、2030年に向けた6Gの課題も明確になってきた。6Gに向けて、バックボーン、アクセス系、基地局回りをどのように対応するのか、最新の研究開発に携わる2名の方を講師としてお招きし、今後の動向を含めて解説していただく構成にした。一つ目の講演では、NICTの菅野様からBeyond 5Gの全体像について様々なポテンシャルを含めて俯瞰していただき、どのようなネットワークが必要になるのかを解説していただく。二つ目の講演ではアクセスに関する内容として、三菱電機の斧原様からフロントホールに向けたデジタルコヒーレントの応用について解説していただく」と話す。
●Beyond5G時代に向けた光ファイバ通信システムの最新動向
(国研)情報通信研究機構
ネットワークシステム研究所 ネットワーク基盤研究室
研究マネージャー
菅野 敦史
伝送容量100Gbpsや1ミリ秒を切る超低遅延性などを目標とする5Gの「次」であるBeyond 5Gでは、有線網・無線網のさらなる一体化や高度化が必要とされる。そこでBeyond 5Gを見据えた光ファイバ通信システムの最新研究開発動向を俯瞰し議論する。
登壇する菅野氏は、超高速光変調、光ファイバ無線、マイクロ波フォトニクスに関する研究などに取り組んでいる人物。Beyond5Gの無線システムでは、光ファイバ通信技術と最新無線通信技術を組み合わせた光ファイバ無線技術により300GHz帯での50Gbpsを超える信号送受信や、600 GHz帯での無線伝送などを実現している。石部氏は「光のPDとミリ波の回路を融合したような集積回路の実装技術をはじめ、アナログRoF、デジタルRoF、高速PDアレイ、光ファイバ給電と、物理層の技術を広くカバーしてお話しいただく予定だ。将来技術の研究動向を聴講いただくことで、システム、デバイスに求められる課題、例えば更なる高速化に伴う低消費電力化など、今後の研究開発を考える上でのトリガーになればと期待している」と話す。
●Beyond 5G/6G モバイルフロントホールに向けたデジタルコヒーレント伝送技術
三菱電機(株)
情報技術総合研究所
主席研究員
斧原 聖史
2030年頃の商用運用に向け、Beyond 5G/6Gモバイルフロントホール(MFH)の議論が活発に行われている。本講演では、コア・メトロネットワークで主流となるデジタルコヒーレント伝送技術を、アクセスシステムへ適用する際の課題について議論する。
MFHの伝送速度を向上させる方式として、従来の強度変調方式では無く、デジタルコヒーレント伝送技術を用いた多値位相変調方式が候補の一つとして注目されている。これを光アクセス網で適用するためには経済的なシステムを構築する必要があり、100G級PONシステムの導入や、光送受信機の省電力・小型化技術もポイントとなってくる。
登壇する斧原氏は、海底ケーブルシステム、メトロシステム、アクセスシステムに関する研究開発に従事しており、デジタルコヒーレントトランシーバの開発や、コヒーレントIFDMA-PONの研究でも有名な人物だ。石部氏は「今回はデジタルコヒーレント伝送技術について、概要からPONへの応用まで扱っていただく。DSPの適応等化回路の説明や、コヒーレントPONの実験評価結果をはじめ、重要な点を具体的に解説していただく予定だ」と話している。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)
特集目次
光通信技術展 セミナー企画委員インタビュー
【FOE-K】光通信技術展 基調講演
【FOE-1】光トランシーバの最新技術動向
【FOE-2】最先端 光材料技術の動向と今後の展望
【FOE-3】Beyond 5G時代を目指し、光部品・集積技術を紐解く!
【FOE-4】次世代高速光通信技術
【FOE-5】巨大化するデータセンタを支える光技術
【FOE-6】【基礎講座】初日に学ぶ 光ファイバ・光デバイス、光測定の基礎
【FOE-7】5G/Beyond5Gに向けた光通信技術の最新動向と取組み
【FOE-8】自動運転を支える光応用技術
【FOE-9】 5G/Beyond5Gとそのエッジコンピューティングに関する最新市場動向
【FOE-10】 世界をつなぐ最先端ネットワーク 海底ケーブルの最新動向