次回の通信・放送Week は、4K・8K映像技術や次世代無線を強化して二倍の規模に拡大
INTERVIEW 有料 4月に開催された「通信・放送Week2018」は、「光通信技術展」「映像伝送EXPO」、そして今年新設された「4K・8K機材展」「次世代モバイル通信展」の4つの専門展で構成される、通信・放送に特化した総合展示会だ。同展の事務局は「放送という観点では、映像伝送に加え4K・8Kの映像制作に関する機材も展示されたことで、放送に携わる事業者、特にCATV事業者の方々にとって来場の魅力が高まった」としており、「次回は4K・8K機材展の展示会名を4K・8K映像技術展に改名し、4K・8Kのコンテンツ制作や配信サービスなど出展対象を広げるので、4K・8Kビジネスを実現するのに必要な商材が全て出展する形になる」と話している。
次回の「通信・放送Week2019」は会期を7月に変更し、会場は現在建設中の東京ビッグサイト「青海展示棟」(りんかい線「東京テレポート駅」下車:徒歩約2分)にて前回と比べて二倍のスペースで開催するという。
今回のインタビューでは、同展事務局長の土屋勝利氏、同展営業責任者の高澤充氏から、前回の反響と次回の展望を聞いた。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)
OPTCOM:前回の反響は如何でしたか。
高澤氏:以前より放送と通信の連携と言われてきましたが、皆さんのお話を聞いていると、本当に実ビジネスとして動き始めたのが去年、今年だと感じています。放送や通信に特化した4展を同時に開催するということで、初日のオープニングイベントである開会式(大テープカット)では、放送分野と通信分野から各事業者の社長をはじめ役員の方々にご参加いただきました。
これは本展のコンセプトが自分達の実ビジネスに関連するとご判断いただいたことによるもので、開会式の後には出展社ブースを回って商談をしていただきました。これには出展社側からも「他の展示会ではあまり無いことだ」と満足度に繋がるご感想を頂いたので、我々も取り組んで良かったと感じました。そして三日間の来場者数は24,852名となり、事務局の予想を上回る盛況な展示会となりました。
基調講演をはじめ各セミナーも放送と通信の両分野でプログラムを組んだところ、合計で5,286名の方々に聴講していただきました。中には一つのセミナーだけで1,500名規模の聴講者が集まったものもあります。
土屋事務局長:放送分野では地方局の技術者の方々のご来場もあり、出展者からは「東京の展示会で、これほど様々な地方からの来場があるとは思っていなかった」とご満足いただけました。中には、会期から一か月で数千万円の受注が確定したという声も頂きました。映像伝送に特化した展示会には、見に来られる方も伝送の部分に課題を抱えていらっしゃるので、本展をキッカケに案件に繋がったようです。
やはり我々も開催するからには想像を超えたことが無ければと思い、その一つとして、遠方から団体で登録された方々には特別招待としてVIPルームやセミナーチケットなどをご提供しました。これは次回も引き続き行いますし、会期まであと一年ありますので、他にもご要望を頂ければお応えできる範囲でご提供したいと思っています。
――放送と通信の両方に取り組んでいる出展社は、双方の分野とのマッチングができますね。
高澤氏:光通信技術展の出展社が、光だけでなくモバイル5Gや映像のコーデックも展示されていたりと、各出展ブースの中でも放送と通信の連携が見受けられました。これにより、放送事業者、通信事業者、そして医療や産業など最新の映像・通信の技術を必要とする来場者に商材を紹介できる場としてご活用いただけたので、非常に良かったと思っています。
土屋事務局長:弊社の展示会が商談の場であるとアナウンスしていることも、放送分野の出展社には目新しく映ったようです。今回、ブースに商談席を設けて販売目標を立ててみたところ、導入金額を具体的に提示する来場者が予想以上にいらっしゃったとのことで、「今後も展示会を利用して販売をしていきたい」というお声も頂いています。我々は、弊社の展示会が商談展であることを出展社と来場者に対し共通のメッセージとして送ってきましたので、それを目的に参加される方が多い状況です。これは来年に向けてもっと加速させたいと思っています。
――次回の構想を教えてください。
土屋事務局長:規模を二倍に拡大し、500社の出展を見込んでいます。前回は、「4K・8K機材展」と「次世代モバイル通信展」が第一回目だったということで、出展を見送った方も多かったのですが、実際に来場してみたところ、会場の盛り上がりや、同業他社が商談に繋がっている様子を見て、次回の出展を申し込まれる方が増えています。また、前回はNAB Showが翌週に控えたタイミングだったのですが、次回は7月の開催となりますので、そこを懸念されていた企業も出展しやすい会期となります。
「4K・8K機材展」という名称も「4K・8K映像技術展」へと変更します。前回は完全に機材にフォーカスしたものでしたが、次回は4K・8Kのコンテンツ制作や、その重いデータを配信するサービスなど、4K・8Kのビジネスを実現するものが全て出展する形にカテゴリを広げて開催します。
また、4K・8Kは放送や通信分野が主ではありますが、前回も医療分野や産業分野の来場者がいらっしゃったので、そういった方々にも向けてという意味でも、ディスプレイから配信まで扱う展示会にパワーアップします。
「次世代モバイル通信展」の名称も「5G/IoT通信展」へと変更します。これは前回の開催でLPWAの出展も多かったこともあり、モバイル網の光、無線に加え、そこに繋がるIoT端末の通信技術ということで、展示会名に含めました。
――海外からの出展状況は如何ですか。
高澤氏:海外企業にご紹介したところ、大変ご興味を持っていただき、既に前回の海外出展社と同じスペースが埋まっています。次の会期まで一年ありますので、積極的にご案内していきます。
土屋事務局長:4K・8Kというのは、ディスプレイメーカー含めて日本が本拠地ということもあり、海外企業からは日本は業界のメッカだと認識されています。その日本で4K・8Kに関する自社の技術を使ってビジネスを広げたいという海外企業からは、大変ご注目いただいています。モバイル5Gに関しても、世界的にも完全な5G通信の展示会というのは見ないということで、海外から通信大手をはじめ出展申し込みが増えている状況です。
――次回の開催に向けた、業界へのメッセージをお願いします。
土屋事務局長:通信技術を用いた映像コンテンツの配信というのは様々な使い方がありますので、放送、通信分野だけで商談をしているというのは非常にもったいない世界です。我々は年間200本以上の商談展を開催していますので、あらゆる産業と繋がっているという強みを活かし、光通信や4K・8Kのサービスを様々な産業に広げていきたいと考えています。前回も、医療、スタジアムやアミューズメントパークをはじめ、高精細映像の活用を新たに検討している分野からの来場がありました。次回の開催では、そうした集客の面でも大きく成長しますので、是非ご出展いただければと思います。