FOE専門技術セミナー企画委員インタビュー【FOE-7】 基礎から実用化アプリケーションまで、シリコンフォトニクステクノロジーの最新動向
INTERVIEW 有料コースリーダー :
日本電気(株)田島勉
サブリーダー :
キーサイト・テクノロジー合同会社
佐藤利宏
このセッションでは、シリコンフォトニクスの基礎から製品、最新の技術動向まで網羅的に紹介する。
シリコンフォトニクスは、小型化が求められる送受信モジュールで注目の技術と見なされている。昨年は、インテルがPAM4技術で100Gを2km伝送できるシリコンフォトニクスモジュールを発表した。これをMicrosoftが自社のAzureデータセンタで採用し注目を集めた。
またラノバスは、DCI市場向けに200Gbps CFP2光トランシーバにQDLとシリコンフォトニクスリング共振器を採用している。
ラクステラは、100G PAM4光トランシーバを量産出荷している。
ルータベンダ、シスコがLightwireを買収して、自社の装置にシリコンフォトニクス技術を採用したデバイスを利用していることはよく知られているが、シスコの競合ベンダJuniperは昨年シリコンフォトニクスのイノベータ、Aurrionを買収した。狙いの1つはネットワーキングのビット単価の大幅低減であると言われている。
ラノバスと並んでアカシアは、シリコンフォトニクスベースのモジュールを販売していることで知られている。
このようにシリコンフォトニクスは、モジュールの小型化、低消費電力化、集積化を必要とする通信/データコム業界では大きなトレンドになりつつある。シリコンフォトニクス技術は、現在、市場を席巻する大きなチャンスに遭遇している。
これより先には、さらに微小なプラズモンやナノ粒子を利用する技術が控えている。例えばアールト大学のプラズモニックレーザは、人の髪の毛の1/1000で動作するサイズだ。研究者は、「極微小にして超高速のオンチップコヒレント光源に新たな可能性を開く」とコメントしている。あるいは、USCDの研究者はロスレスのメタマテリアルを開発したと報告している。デバイスの微小化はとめどなく進んでおり、KITの開発したフォトディテクタは、1平方ミリの100万分の1以下のサイズであると言う。このような微小デバイスが実用化されると、光集積回路はさらに次の段階に進み、光通信システムのパフォーマンスは飛躍的に向上することになる。
こうした開発トレンドを見ると、シリコンフォトニクス技術は、今を逃すとチャンスを逸することになりかねない。
その意味でも、シリコンフォトニクス技術の現状と製品化動向を聞いておくことの重要性が理解できる。
シリコンフォトニクスの基礎と欧州における最新研究動向
Ghent University,/ePIXfab,
Abdul Rahim
講演者のAbdul Rahim氏は、OFC2016でシリコンにInP (InP-on-Si)をヘテロ集積したDFBレーザで、69Gbps DMT直接変調(21GHz)が可能であると発表していた。この技術で5km SSMF 56Gbps伝送を実証している。
新たな革新的フォトニック統合技術であるシリコンフォトニクスは、確立されたCMOS技術を活用することで、コンパクトで低コストなフォトニクス/オプトエレクトロニクスモジュールの実装を可能とする。十分に技術が進歩した今、データ通信、家電、センサー、生物医学などの広範な用途に完全なシステムを導入する準備が既に整っている。このセッションではシリコンフォトニクス技術の基礎を説明し、マルチプロジェクトウェハ(MPW)サービスおよび欧州シリコンフォトニクスアライアンス(ePIXfab)を介した利用可能な種々のプラットフォームについて紹介する。
シリコンフォトニクス製品の技術動向
NTTエレクトロニクス(株)
フォトニックコンポーネント事業本部 副本部長
鈴木扇太
光部品の小型・低電力・低コスト化と共に高速伝送デジタルコヒーレント製品に展開が進んでいるシリコンフォトニクスについて、近年の技術動向を紹介する。
大容量光ネットワークに向けた集積化シリコン光変調器の最新技術動向
(株)フジクラ先端技術総合研究所 光デバイス研究部 上席研究員
小川 憲介
小川氏は、シリコンフォトニクス変調器の研究者であるので、このセッションはシリコン変調器に特化した講演となる。内容について、コースリーダー田島氏は、「コヒレント用の変調器では、偏波回転の部分はフジクラの特徴。光はTEモードで入り、片側だけ偏波を回転させ、偏波多重で送る。コヒレントは、IQ変調でチャープのない、位相変調をかける時に強度変調が起きないようにかけないといけない。いわゆるゼロπでかけなければいけない。プッシュプル、反転で駆動させる方法で信号をつくる。これはLNと同じだ。今後、400Gでは変調度を上げるには、16QAMから32QAMにする方法とボーレートを上げるという方法がある。シリコンフォトニクスでボーレートがどこまで伸びてくるのか注目点だ」とコメントしている。
シリコンフォトニクス変調器の特徴の1つは低電圧動作が可能であること。
「Vπが2.5Vになると電気系が非常に楽になる。LNは、5Vくらいだが、これに比べると非常に楽だ、シリコンフォトニクス変調器は小型化、集積化には非常に適している」。
集積化シリコン光変調器は光トランシーバの超小型化を可能とし、大容量光ネットワークの普及に向けたキーデバイスとして注目されている。光トランシーバの小型化ロードマップを支える集積化シリコン光変調器とはいかなるものか、最新の技術成果を基に解説する。
(OPTCOM編集部 井上憲人)
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