横河メータ&インスツルメンツ、高性能光ファイバ試験器「AQ7280 OTDR」シリーズのラインアップ拡充
テレコム 無料 横河メータ&インスツルメンツは6月21日、光ファイバの敷設工事や保守作業の現場で広く用いられる高性能光ファイバ試験器「AQ7280 OTDR」シリーズのラインアップを拡充、6月22日から販売を開始すると発表した。
「AQ7280 OTDR」シリーズは、本体とOTDRユニットで構成されており、今回は、OTDRユニット「AQ7283J」、「AQ7283E」および「AQ7282G」の3種類を発売する。
開発の背景
スマートフォンの普及や動画配信などで大量のデータがやり取りされるようになり、高速で大容量のデータ通信が可能な光ファイバ通信網の導入・整備が世界規模で進められている。OTDRは、光ファイバの敷設工事やその保守作業において、光ファイバの長さや損失の測定、障害箇所の特定に長年使用されている。同社の「AQ7280 OTDR」シリーズは、大都市間の幹線系、都市間のメトロ系、電話局から加入者間のFTTHをはじめとするアクセス系まで幅広い光ネットワークの敷設工事や保守作業に用いられ、信頼性と優れた操作性が市場で評価されている。
今回同社は、光ファイバメーカが生産ラインで行っているケーブルの評価作業を現場でも行いたい、通信中の光ファイバケーブルを測定したい、という現場の作業員の最新ニーズに対応した3種類のOTDRユニットを開発し、発売する。
新製品の特長
OTDRユニット「AQ7283J」
「AQ7283J」は、水酸基(OH基)が吸収される波長1383ナノメートル(nm)の光信号損失の度合いを測定するモデルだ。近年、高速で大量のデータを送信するために、波長の異なる光信号を同時に伝送する、CWDMなどの波長分割多重(WDM)伝送方式が普及している。しかし、光ファイバケーブルにはごく微量の水分が含まれており、OH基が吸収される波長付近の帯域の利用ができない。この帯域も通信に利用し、より多くの波長の光信号を伝送できるように、OH基を低減した低OH損失ファイバの生産が増えている。また、従来型の光ファイバケーブルを敷設した箇所にもWDM伝送方式を導入できるかどうか、現場で測定したいというニーズも増えている。新製品「AQ7283J」は持ち運びが可能で、低OH損失ファイバ工場でも現場でも容易にOH基による光吸収の度合いを測定できる。
OTDRユニット「AQ7283E」
「AQ7283E」は、通信中の光信号(現用光)カットフィルタを内蔵しているため、通信中の光ファイバケーブルを測定することができる。通信中の測定には、現用光に影響を与えない、保守波長と言われる長めの波長の光信号が使用される。近年採用が増えている光通信方式では保守波長領域に近い長めの波長も通信に利用されるようになっている。新製品「AQ7283E」の保守波長は、1625nm(±10nm)の高精度な光信号のため、通信中の光信号に影響を与えることなく測定することができる。
OTDRユニット「AQ7282G」
FTTHの光ファイバケーブルの敷設確認に必要な3波長に特化したモデル。同社従来製品である、ファイバの曲り箇所を特定できる波長も加えた4波長モデルと比較して、導入時のコストを低減できる。
新製品ラインアップ
主な市場
通信事業者、通信工事会社、光ファイバメーカ。
主な用途
- 光ファイバ敷設工事や保守作業における品質評価
- 光ファイバの損失特性や障害位置の特定
- 光ファイバの生産ライン・光ファイバケーブル加工工程の品質評価