インテルがCES 2020において、クラウドからネットワーク、エッジ、PCにまたがるインテリジェントな技術を説明
モバイル/無線 無料 インテル コーポレーションは1月6日、CES 2020において、自動運転への道を拓く人工知能における進展やモバイル・コンピューティング・イノベーションの新時代、没入感の高いスポーツやエンターテイメントの未来などについてデモを行い、インテルがどのようにしてクラウドやネットワーク、エッジ、PCにまたがってインテリジェンスを導入し、社会やビジネス、私たちの日々の生活にポジティブな影響を与えているのかを説明したと発表した。(同社による日本語の抄訳は1月7日に公開)
インテル コーポレーション CEO(最高経営責任者)のボブ・スワン(Bob Swan)氏が記者説明会に登壇し、まず、モービルアイ事業に関する最新情報を共有しました。自律走行型のロボカーが自然な形で運行するデモでは、あらゆる人に安全なモビリティを提供するための、人工知能、コンピュータービジョン、責任感知型安全論(RSS)の規制科学モデル、独立したセンシングシステムを用いた真の冗長性の組み合わせによる、モービルアイの独自かつ革新的なアプローチを紹介した。
また、スワンは、インテルと米国赤十字、「Missing Mapsプロジェクト」による災害対策の改善に関する取り組みを紹介した。米国赤十字とMissing Mapsプロジェクトは災害時における緊急対応者支援を目的に、世界の遠隔地における橋や道路情報などを含む高精度地図の作製を進めており、インテルは第2世代 インテル Xeon スケーラブル・プロセッサに搭載されたAIアクセラレーションを使用して、この取り組みを支援している。
スワンは「インテルの目標は、AI、5G、インテリジェント・エッジといったテクノロジー・インフレクション(転換)を顧客が組み合わせて活用できるようにし、豊かな生活と今後数十年にわたる世界の形成を実現することにある。コンピューティングのあらゆる側面でインテリジェンスの導入を図るインテルの取り組みは、これまでにない規模でプラスの影響を与える可能性がある」と述べている。
インテリジェンスが推進するモバイル・コンピューティング
最新のインテルCore モバイル・プロセッサー(開発コード名:Tiger Lake)の初披露およびデモンストレーション:Tiger Lakeは、モバイル・イノベーションに向けたインテルの大胆かつユーザ主導型のビジョンの実現を念頭に設計されており、あらゆる性能と体験を画期的に進化させている。CPU、AIアクセラレータ、そして新たなインテル Xグラフィックス・アーキテクチャーに基づくディスクリート並みの性能を持つ内蔵グラフィックスを最適化することにより、Tiger Lakeは2桁の性能向上、AI性能の大幅な向上、グラフィックス性能の飛躍的な向上、新しい内蔵型Thunderbolt 4によりUSB 3よりも4倍の高速なスループットを実現する。インテルの10nm+プロセスに基づいて設計された最初のTiger Lake搭載システムは、今年後半から出荷される予定だ。
Xをベースにした初のディスクリート型GPUを披露:インテル コーポレーション グラフィックおよびソフトウェア・アーキテクチャー担当副社長のリサ・ピアース(Lisa Pearce)氏は、Tiger Lakeでの性能向上を実現する新しいインテル Xグラフィックス・アーキテクチャーの進展について説明を行い、インテル初のXベースのディスクリート型GPU(開発コード名:DG1)を披露した。
「Project Athena」イノベーション・プログラムに関する最新情報(同プロジェクトとして初めてChromebookを認証):Project Athenaで認証されたデザインは、バッテリー寿命、一貫した応答性、瞬時の起動、アプリケーション互換性など、システムレベルでの優れたイノベーションと利点を提供できるよう調整、テスト、検証がなされている。インテルはこれまでにProject Athenaに準拠したデザインを25機種認証してきたが、新たにGoogleとのパートナーシップを拡大し、ASUS Chromebook Flip(C436)およびSamsung Galaxy Chromebookの2つのシステムを、初めてProject Athena認証のChromebooksとして発表した。インテルは今年、WindowsとChromeでさらに約50件のデザインを認証するとともに、デュアルスクリーンPC向けのターゲット仕様も発表する予定だ。
デュアルスクリーンや革新的な折りたたみ可能なデザインなど、フォームファクターの革新:インテルは、OEMパートナーとの共同開発をさらに推し進めている。インテル Hybrid Technology採用のインテル Core プロセッサー(開発コード名:Lakefield)を搭載し、折りたたみ型のデュアルスクリーンを採用したLenovo ThinkPad X1 Fold(2020年半ば出荷予定)のほか、Dell Concept Duetなど、インテル Core プロセッサー搭載による新たなカテゴリーのデバイスの開発を支援している。また、インテル最新のコンセプトデバイスとして、折りたたみ可能なOLEDディスプレイを搭載したフォームファクター(開発コード名:Horseshoe Bend)を披露した。今後登場するTiger Lakeモバイル・プロセッサーを搭載し、タッチスクリーン型ディスプレイを搭載した12インチのノートPCとほぼ同等のサイズながら、ノートPCを開いた状態では17インチ以上のディスプレイへと変化する。
インテリジェンスが推進するビジネス・トランスフォーメーション
データセンタは世界中の企業にインテリジェンスを提供する力であり、インテル Xeon スケーラブル・プロセッサは、引き続きデータセンタの基盤としての役割を果たしていくという。インテル コーポレーション 主席副社長のナヴィン・シャノイ(Navin Shenoy)氏は2020年前半に提供開始予定の第3世代 インテル Xeon スケーラブル・プロセッサには、内蔵型AIトレーニング・アクセラレーション用の新しいインテル DL Boostの拡張機能が含まれており、前世代のインテル Xeon スケーラブル・プロセッサと比較して、学習性能が最大60%向上すると発表した。シャノイは、クラウド、ネットワーク、エッジにまたがるデータプラットフォームにインテリジェンスを組み込むための方法を明らかにするとともに、インテリジェンスがスポーツやエンターテインメントをどのように変革していくかを説明した。
Netflixが、メディア・ストリーミングサービスの最適化を図り、さらに加速:Netflixは、メディア・ストリーミングサービスを強化し、世界中にコンテンツを提供するために、インテルの支援のもと、従来の圧縮技術であるAVCと比較して50%以上の圧縮効率を誇る最新の動画圧縮技術AV1を使用開始しました。インテルとNetflixは、第2世代 インテル Xeonスケーラブル・プロセッサに最適化されたオープンソースの高性能なエンコード技術(SVT-AV1)の共同開発を継続し、商用展開における優れた品質と性能の獲得を目指すとしている。
3Dアスリート・トラッキングによる東京2020オリンピック競技大会でのアスリートと視聴者の体験を強化:独自のコンピュータ・ビジョン・ソリューションである3Dアスリート・トラッキング(3DAT)は、AIを使用することで、ほぼリアルタイムでのインサイトの提供と視覚化を実現し、視聴体験を強化する。3DATは、高度なモバイルカメラを使用してアスリートのフォームや動きを捉え、インテル Xeon スケーラブル・プロセッサに搭載されたインテル DL Boostに最適化されたアルゴリズムを適用して、アスリートの動きの生体力学を分析する。この技術は、東京2020オリンピック競技大会での100M走をはじめとする陸上競技(トラック)のリプレイに使用される。
大規模なボリューメトリック・ビデオ・ストリーミング:インテルとスポーツ業界は、スポーツ視聴の限界を超える重要な進歩となるボリューメトリック・ビデオにより、スポーツの視聴体験を変えようとしている。インテル True Viewはスタジアムのフィールド全体を合成し、ファンが任意のポイントや選手の視点を選択すると、その視点からの映像をデバイスからストリーミングできるようにする。インテルとNFLは、シーズン第15週のクリーブランド・ブラウンズ対アリゾナ・カーディナルズ戦で、ボリューメトリック・ビデオ・ストリーミングの能力を紹介した。この試合のファースト・クォーターだけでも、生成されるデータ量は毎分3TBを超え、この指数関数的なデータの増加に対応するためには、クラウドでも手元の端末でも、膨大な計算能力が必要となる。