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KDDI、高速インターネットサービス「auひかりマンション」に、ノキアのG.fastギガビットソリューションを採用

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 ノキアは2月4日、KDDIが高速インターネットサービスをマンション加入者にも提供するために、ノキアのG.fastソリューションを採用したと発表した。ノキアのソリューションを利用することで、マンション建物内に新たに光ファイバを敷設することなく、既設の電話線を使って上り下り合計最大830Mbpsのサービスを提供できるようになる。

 G.fastは、マンション居住者の高速インターネットのニーズに応える新しいテクノロジーだ。ノキアのG.fastソリューションは、ノキアベル研究所によって開発されたベクタリング技術によって、電話線間の信号干渉によって生じる速度劣化を効果的に抑えてギガビット通信を実現しているほか、導入済みのVDSLシステムに影響がないよう配慮されて設計されていいる。これにより、既存のVDSLシステムへの影響を最小限に抑えつつ、CPE(加入者宅内装置)を入れ替えるだけで、通信事業者はギガビットクラスの高速インターネットサービスの提供が可能になる。
KDDIはノキアのG.fastソリューションを導入し、「auひかりマンション タイプG」の提供を開始した。

Broadband Trends 主席アナリストのテレサ・マストランジェロ(Teresa Mastrangelo)氏 は「事業者が集合住宅向けのギガビットクラスのブロードバンドサービスの提供を迫られた際、FTTHの導入を試みると建物の形態やアクセスといった課題に直面するため、FTTH 導入により発生する課題を回避できるG.fast 技術を選択することが多々ある。とはいえ、日本においては日本独自のVDSL システムや仕様が使用されており、日本市場でG.fast を導入するのは光ファイバ導入と同様、容易ではない。ノキアはグローバルおよび日本独自のVDSL 仕様の両方をサポートする数少ないベンダとして、G.fast のメリットを活かしつつ、サービス断を最小限に抑えながらKDDI のネットワークの拡張とマイグレーションを可能にした。KDDI のG.fast 展開は、ブロードバンドの更なる高速化を望むお客様のニーズを、G.fast の技術がいかに迅速に実現可能にするかを示す、よい事例だ」とコメントを出している。

 KDDI 理事・ネットワーク技術本部長の斎藤重成氏は「au ひかりでは、すでにFTTH で10Gbps インターネットサービスをお客様に提供しているが、光ファイバ敷設が困難なマンションでは100Mbps サービスを提供するにとどまっていた。NOKIA のG.fast ソリューションを採用することで、既存の100Mbps サービスと新たな高速サービスを1 台のDPU(集約装置)で収容できるため、お客さまの高速インターネットのニーズに対して柔軟かつ経済的に応えることができるようになった。今回の導入はNOKIA との長い協力関係で実現したものであり、今後も通信技術革新を提供し続けるための長期的なパートナーだ」とコメントを出している。

 ノキアの固定ネットワークビジネスグループのプレジデントであるサンディ・モトレー(Sandy Motley)氏は「新たな超高速ウルトラブロードバンドサービスを迅速に展開したいと望む通信事業者は、光ファイバとメタルカッパーの両方のテクノロジーを最大限に活用するような、マルチテクノロジー戦略を採用することがますます多くなった。これは、従来のFTTH ソリューションの提供を配備するのが非常に困難になりうるアパート建物の中などのケースにおいて、特に顕著だ。当社は、光ファイバのような速度で加入者のブロードバンドサービスの利便性を向上させることのできるG.fast ソリューションを展開するために、KDDI 様と連携できることを大変光栄に思っている」とコメントを出している。

 また、ノキアは自社のG.fastソリューションの特徴や、G.fastの有用性にについて、次のように発表している。

  • ノキアは、G.fast と、日本固有のVDSL テクノロジー間の下位互換性インターオペラビリティを提供できる唯一のベンダ。
  • ノキアのG.fast ソリューションは、日本の仕様や環境要件をすべて満たしている。
  • 日本では、FTTH/FTTB サービスを利用している世帯が3,000 万世帯以上あり、うち約900 万世帯が集合住宅MDU(集合住宅)の居住者だ。日本には、より高速なブロードバンドの需要に対応するためには、G.fast にマイグレーションする必要のあるVDLS2 ユーザが約500-600 万人いる。
  • 日本独自のVDSL システムから、世界標準のG.fast システムにマイグレーションすることで、将来、例えば212 MHz を使った2 Gbps といった、これまで以上に高速スピードで配信可能な、最先端のネットワークが提供されることになる。