ネットワークマスタ プロ MT1000A機能強化(CPRI RFモジュール)
モバイル/無線 無料CPRI RFモジュールによりLTE張り出し基地局の敷設評価を1台で実現
アンリツは、通信ネットワーク用測定器 ネットワークマスタ プロ MT1000Aの機能を強化し、新たに「CPRI RFモジュール MU100040A」を開発。9月28日から販売を開始した。
対象市場はモバイルオペレータおよび基地局設置工事請負業者、通信事業者、ネットワーク工事会社、通信設備保守会社、通信設備建設会社。
用途は張り出し基地局の建設・保守。
モバイル通信の拡大に伴い、各オペレータは無線アンテナ部分と伝送装置部分を分離した構造の基地局(張り出し基地局)を積極的に採用している。張り出し基地局は鉄塔の根本、もしくは局舎内に設置された無線機器制御装置(BBU: Base Band Unit)と、鉄塔上部に設置された無線アンテナ機器(RRH: Remote Radio Head)を光ファイバで接続し、その通信をCPRI(Common Public Radio Interface)プロトコルで通信している。この張り出し基地局を採用することにより1つのBBUで複数のRRHを制御できるようになるため、容易に基地局の数を増やすことができるようになった。
しかし、RRHは鉄塔上部や、通常人が出入りしないところに設置されるため、RRHのメンテナンスやトラブルシューティングを行う場合、高所などでの危険な現場作業をともなうため時間と労力がかかっていた。
今回開発したMU100040Aを使用することにより、地上にいながらBBUとRRH間で通信されるCPRIプロトコルのIQデータを検証することができる。これにより、BBUからのダウンリンク信号の解析やRRHからのアップリンク信号のモニタリングや干渉解析が行える。つまり、危険な現場作業からの解放という時間とコストの削減を実現する。
さらに既存の10GマルチレートモジュールMU100010AやOTDRモジュールMU100020A/MU100021A/MU100022Aと同時搭載することにより、上記CPRI RF測定に加えイーサネットなどの伝送品質測定や光ファイバの破断確認が1台のMT1000Aで行える。
開発の背景
SNSやインターネットビデオの普及により、スマートフォン、タブレットなどの通信容量が増大しており、モバイルフロントホールやモバイルバックホールの強化が進んでいる。
これにともない、より多くのデータ通信を可能にしたいという要求や運用コストを削減したいというニーズが高まり、無線装置から無線アンテナを光ファイバで切り離すという技術が確立し、張り出し基地局の普及が加速している。
張り出し基地局の採用により、ネットワークの柔軟性が実現できるとともに、無線装置が設置される局舎の電力消費量の削減や信号劣化の大きい電気ケーブルの必要性の低下など総合的な運用コストを削減できる。特にアメリカでは広大な地域を1つのアンテナでサポートする必要があり、無線アンテナを容易に増設できることはネットワークの拡大において重要な意味を持っている。
一方、無線アンテナは鉄塔やビルの屋上など危険な場所に設置されることから、現場技術者は、高所に測定装置を持ち込む必要があり、危険で困難な作業に直面している。
今回開発したCPRI RFモジュールMU100040Aを使用することにより、無線装置から無線アンテナの状況を確認できるようになり、より安全に作業を行うことができる。
アンリツは、これまで伝送品質試験用測定器として、ネットワークマスタ プロ MT1000AとMT1000A用測定モジュールである10Gマルチレートモジュール MU100010Aを提供している。また、光ファイバの品質試験として、OTDRモジュールMU100020A/MU100021A/MU100022Aを提供している。今回、MT1000AのラインアップにCPRI RFモジュール MU100040Aが加わることにより、モバイルネットワークからメトロネットワークまでの建設・保守時に必要とされる試験を1台で実現できる。
製品概要
ネットワークマスタ プロ MT1000AのCPRI RFモジュールMU100040Aは、張り出し基地局、特に無線アンテナ部分の建設・保守用モジュール。オプションを選択することで、地上から光ファイバのCPRIリンク経由でRFベースのLTEを測定できるようになり、鉄塔に登るなどの作業を削減することができる。MU100040Aは2つのSFPポートを備えており、CPRIスペクトラム、CPRIスペクトログラム、SFPモジュールの状態監視、CPRIレイヤのL2アラーム、光強度の測定が可能だ。
CPRI無線装置のLTEスペクトラムの表示
LTEのBBUとRRH間のCPRIインターフェースをモニタリングし、双方から送信されるIQデータを検証する。このIQデータからLTEスペクトラムを表示し干渉波の確認ができる。また、長時間のデータをまとめて表示するスペクトログラムもサポートしている。さらに2ポートを同時に使用し、アップリンク、ダウンリンクの双方を同時に確認できる。
CPRIレイヤの確認
MU100040Aで使用するSFPモジュールの情報を読み取ることにより、正しい光モジュールが使用されているかを確認することができる。また、実際に通信しているCPRIインターフェースのアラーム情報をリアルタイムに表示することができ、通信装置の物理的な異常を確認することができる。
伝送評価モジュール、光障害解析モジュールとの組み合わせ
MT1000Aは複数の測定モジュールを組み合わせることができる。10GマルチレートモジュールMU100010AやOTDRモジュールMU100020A/MU100021A/MU100022Aと組み合わせることでより汎用性の高い測定器にすることができる。MT1000Aを複数台所有している場合でも、必要に応じて組み合わせを変更できるため、運用コストの削減につながる。