NTTエレクトロニクス代表取締役社長 萩本和男氏が平成28年春「紫綬褒章」受章
テレコム 無料 NTTエレクトロニクスは4月28日、同社代表取締役社長(元NTT先端技術総合研究所所長)の萩本和男氏が、「大容量光増幅中継システムの開発」に関して、平成28年春の「紫綬褒章」を受章したと発表した。
紫綬褒章は、「学術、芸術上の発明、改良、創作に関して事績の著しい方」を対象とした日本の褒章の一つ。萩本氏が発明し、実用化を牽引した大容量光増幅中継システムにより、光信号の到達できる距離は5倍以上になり、データの伝送コストは従来の1000分の1以下となった。発明された光増幅中継システムが世界中で活用されており、光通信システム市場の拡大に寄与し、情報流通社会基盤を支えている。今回の受章はその業績が評価されたもの。
業績概要
1980年代以来、電話からデータ通信、さらにマルチメディア通信など、大容量のデータを頻繁にやりとりするために、通信網、特に光中継システムの大容量化と経済化が求められていた。当時、長距離通信を実現するために、光ファイバを伝搬して減衰した光信号を一旦電気信号に変換増幅して、識別再生し、再度、光信号に変換して送信する再生中継を行っていたため、光中継システムの大容量化の度に、多数の再生中継器を全て高速化しなければならず、莫大な設備投資が必要だった。
これらの問題を克服するため、エルビウム添加光ファイバ増幅器の優れた増幅帯域特性に着目し、光信号のまま、増幅・波形歪み補償を可能とする低雑音・高出力な光増幅中継器を考案して世界で初めて実証し、大容量光増幅中継システムを実用に導いた。
その特徴は、波長が異なる複数の超高速光信号を多重した大容量波長多重光信号の波形歪みを補償しつつ一括して増幅中継することにあり、システム両端の通信装置の大容量化のみで、光中継システムの大容量化が持続的に可能となり、劇的なコスト削減が実現された。現在では、数テラビット級のシステムにまで発展してきている。
同社では本システムのさらなる発展を牽引している100Gを超えるデジタルコヒーレント技術を支える要素デバイスを製造販売しており、引き続き光通信技術と社会インフラの構築に貢献していくとしている。
(OPTCOM編集部 柿沼毅郎)