CEOの間でAI採用が進む一方、知識不足が戦略的判断や成長の妨げとなっていることが明らかに【シスコ】
DX/IoT/AI 無料シスコは2月10日(アムステルダム)、同社の最新の調査により、CEO の間に矛盾が存在していることが明らかになったと発表した。(抄訳は、2月19日に日本法人より提供)
5人中4人が、AI の潜在的なメリットを認識しており、ほぼ全員がAIを業務に取り入れる計画をしている一方で、多くのCEOは、知識の不足により会議室での意思決定を妨げ(74%)、成長を阻害する(58%)ことを懸念し、機会損失や競合他社に後れを取るリスクがあると考えている。しかし、CEOは手をこまねいているわけではない。ITリーダーや信頼できるパートナーの支援を受け、AIが推進する未来における競争力を高めるために、従業員を育成し、インフラストラクチャを刷新し、サイバーセキュリティを強化する計画を立てている。
シスコの最高プロダクト責任者であるジーツ・パテル(Jeetu Patel)氏は「競争の激しいダイナミックな環境では、スピードが勝敗を左右する。レジリエンスが高く、将来に備えたネットワークを構築するために、今日決然と行動を起こすリーダーは、AIを先取りし、ビジネスに真の価値をもたらすリーダーとなるだろう。最終的には、AI を活用する企業とそうでない企業の二極化となるだろう」 とコメントを出し、行動を起こすことの緊急性を強調している。
CEOは行動を起こさないことによる損失を懸念
シスコの調査によると、70%以上のCEOが、ITやインフラストラクチャのギャップにより競合他社に後れを取る結果になり、ビジネスチャンスを逃すことを懸念している。この懸念はすでに現実の損失につながっている。半数以上(53%)のCEOは、テクノロジーへの投資不足が、競争優位性を失うことを危惧しており、CEOも3分の2はテクノロジーへの投資不足による機会損失を懸念している。行動を起こさないことによる損失は単なる仮説ではない。テクノロジーへの投資を行わない場合、CEOは、運用コストの増加、収益の減少、生産性の低下、市場シェアの縮小を予想している。
大胆に行動するか、後れを取るか

(図1)
恐れに立ち向かうリーダーには、単なる「追随」を超えた成果が待っている。CEOたちは AIの変革力に注目しており、AIは、効率化の向上(69%)、イノベーションの促進(68%)、競合他社を上回る優位性(54%)をもたらすと考えられている。しかし、その野望を実現するためには、AIの潜在力を実現する上で妨げとなっている障壁、つまりスキル不足、インフラストラクチャのギャップ、セキュリティリスクに対処する必要がある(図 1)。
CEOが大局的な視点に目を向けている一方で、CIOやCTOは説得力のあるビジネスユースケースの欠如など、運用上の課題に直面している。しかし、CEOはこの課題の優先度を低く見積もる傾向がある(図1)。シスコは「この緊張状態は、AIの可能性を認識しているCEOの82%が、長期的な価値を実現するために、短期的には大胆な実験を支援する必要があるという、AIの模索段階を反映しているのかもしれない」と指摘している。
シスコ EMEA 地域担当プレジデントであるオリバー・トゥジック(Oliver Tuszik)氏は「AIの潜在力を引き出し、より迅速なイノベーション、業務の簡素化、デジタルによる混乱に対する耐性を実現できれば、ビジネス全体が革命的に変化するだろう。しかし、それを1社で実現することは誰でもできない。だからこそ、CEOの96%が飛躍に向けて信頼できるパートナーが必要だと考えているのだ」とコメントを出している。

(図 2)
シスコの調査によると、CEOたちは懸念材料を前向きに捉えるための計画を立てていることが明らかになった。それは、知識やスキルに投資し、インフラストラクチャをアップグレードし、AI需要に備えたセキュリティの強化だ。(図 2)。
この青写真を実現するためには、組織内および信頼できるパートナーシップを通じて、明確なテクノロジー リーダーシップが求められる。CEOは、CTOやCIOのサポートをさらに求めており、CEOの80%近くが、CTOやCIOにはビジネスや投資の意思決定を導く上で役割が極めて重要であると考えている。テクノロジーリーダーは、ますますビジネスリーダーとなり、最新のネットワークやテクノロジーを単なるツールではなく、成長、レジリエンス、イノベーションを実現可能にするものとして捉えている。
CEOたちは、専門家の支援がなければ青写真を実現することはできないことを理解しており、96%が、AI 時代に対応したネットワークの構築に向けて信頼できるパートナーを求めていると回答している。組織内外で大胆なテクノロジーリーダーシップを発揮するCEOたちは、不確実性を解消し、AIの潜在力を具体的な成果に結びつける専門知識を得ることになる。
シスコは、AI 時代に組織が複雑性を克服し、機会を創出できるよう支援し続ける
スキル不足、導入の課題、AI対応インフラストラクチャ、サイバーセキュリティは、業界問わずITチームやITリーダーにとって最大の懸念事項だ。
シスコは「当社が今後発表する内容は、このような課題に対応することを目的としている。AIデータセンタのセキュリティとネットワーキングのギャップを埋めること、サービスプロバイダに新たな収益を生み出すツールを提供すること、次世代のAIに関する先進のスペシャリスト向けの強化された認定資格を与えることだ」としている。