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NTTが、HDMI信号を世界最低遅延である0.1ミリ秒以下で長距離伝送信号へ変換する技術を開発

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離れていても同一の場所にいるようなリアルタイムコミュニケーション空間の実現へ

 NTTは10月8日、4K120Hz・FHD240HzのHDMI信号を世界最低遅延である0.1ミリ秒以下で長距離伝送信号へ変換する技術を開発したと発表した。

 本技術とIOWN オールフォトニクス・ネットワーク(APN)を組み合わせることにより、”低遅延”と”高精細”の両方を実現した映像伝送が可能であり、瞬間の動きと音(1秒間に120フレーム表示される4K映像まで)をリアルタイムに離れた拠点間にも伝送できる。
 同社は「本技術は、FPGA上で利用可能な回路情報(FPGA-IP)で実現しているため、ポート数やサイズなどの利用ケースに応じた多様なハードウェアとの組み合わせが可能となる。本FPGA-IPはライセンス販売(技術開示)という形態で提供されており、最終製品やソリューションで利用可能だ」としている。

背景
 VRやAR技術の発展による、離れた場所にいながら多数の人が同じ空間を同じ時間に楽しんだり、共同作業を行ったりといったリアルタイムコミュニケーションにおいて、リアルな体験を得られる没入感の高いアプリケーションの拡大が期待されている。没入感を得るためには、映像を複数地点で同時に感じること(リアルタイム性)と実物を見ているように感じること(高精細映像)の両方が求められる。
 その為、オフィスや家庭などで幅広く使われている映像機器(カメラ、モニターなど)から出力されるHDMI信号を遠く離れた場所へ伝送する時にも、”低遅延”、”高画質・高音質なまま”であることが求められる。
 しかし、IP網利用を前提とした従来技術ではネットワーク遅延及びネットワークの帯域不足に伴う信号圧縮による遅延や、信号圧縮による画質・音質低下が発生してしまうため、没入感の高いアプリケーションで求められる「リアルタイム性」と「高精細」は達成できなかった(図1)。

図1:リアルタイム性が求められるアクティビティにおける従来技術の課題

本技術の詳細
 NTTでは、4K120Hz・FHD240HzのHDMI信号を非圧縮のまま世界最低遅延の0.1ミリ秒以下で長距離伝送信号へ変換する技術を開発した。本技術とIOWN APNを組み合わせることにより、高精細かつ非常に動きの速い映像を劣化させることなく遠隔地で再現可能となり、地理的に離れた環境であっても、あたかも同一の場所にいるかのようなリアルタイムコミュニケーション空間の実現が期待できる(図2)。

図2:本技術とIOWN APNを活用した映像伝送

 本技術は、音声を含む映像信号(HDMI信号)を大容量・固定帯域・固定遅延のレイヤ1信号(OTN信号)へ直接収容することで、映像信号の圧縮伸張に要する処理時間を不要とし、映像品質の劣化や通信による遅延変動なしに遠隔地への映像伝送を可能とする。その結果、ファイバ伝搬の遅延時間が無視できる程に小さい場合、送信側での映像入力から受信側での映像出力までの遅延時間を0.1ミリ秒以内に抑えている。
 また、4K120HzやFHD240Hzという高解像度・高リフレッシュレートの映像信号を圧縮なしに伝送することで、非常に動きが速い映像でも高精細かつ動きに劣化がなく、遠く離れた場所へ伝送することを実現した。
 本技術は、FPGA上で利用可能な回路情報(FPGA-IP)として実現しており、ポート数やサイズなどの利用ケースに応じて多様なハードウェアとの組み合わせが可能となる(図3)。NTTで開発したFPGA-IPのスペックは表1の通り。

図3:今回開発した回路(FPGA-IP)とハードウェアとの組み合わせイメージ

表1:今回開発した回路(FPGA-IP)のスペック

今後の展開
 本技術とIOWN APNとの組み合わせにより、没入感の高いアプリケーション(VR・ARなど)に加えて、拠点間でのタイミング合わせが重要な遠隔アクティビティ(遠隔合奏、遠隔合唱、ダンスレッスンなど)や人物同士での遠隔でのかけあい(ディベート、漫才など)もこれまで以上の低遅延かつ安定的な遅延環境で実現することが可能となる。また、高精細映像を低遅延で遠隔地へ届けることが可能であることから、これまでリアルタイムでの高精細映像での遠隔監視が難しかった領域(工場のライン監視、鉄道・交通の監視など)への適用も期待できる。
 NTTは「今後は低遅延と高精細映像の両立が必要となるユースケースの拡大の検討を進め、豊かな社会の実現を推進する」とし、「本FPGA-IPはライセンス販売(有償)を行っている。本技術は、FPGA上で利用可能な回路情報(FPGA-IP)で実現しており、多様なハードウェアとの組み合わせが可能となる」としている。