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Visbanが、ミリ波通信に革命をもたらすAIドリブンのメッシュネットワーク “V-Mesh”を開発。シリーズAラウンドにて、資金調達も完了

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 ミリ波通信のカバレッジ拡大を可能にする製品開発に取り組んでいるVisban(ヴィスバン)は9月5日、V-Mesh技術を開発したことを発表した。(情報提供: PR TIMES)
 この技術は、ガラス基板を活用したRFデバイスにより、AIドリブンのメッシュネットワークを構築することで、ミリ波のカバレッジを拡大させ、通信網の死角を解消し、より快適な通信環境を提供する。Visbanは「本技術により、AI、VR、スマートシティなど、将来のアプリケーションに向けた信頼性の高い無線通信を低コストで実現できるようになる」と説明している。

 また、東京大学協創プラットフォーム開発、大日本印刷および三菱マテリアルが運用する投資ファンド等から第三者割当増資を実施し、約4億円の資金調達を完了したことも発表した。Visbanは「この度の調達によって、当社は技術開発および人員体制の強化とともに、特にローカル5GにおけるV-Mesh技術の実証の加速をめざす」としている。

V-Meshを構成するガラス基板RFデバイス

ガラス基板のRFデバイス:ミリ波のコスト効率を向上させるために
 VR/AR、8K高解像度映像、自動運転など、近年の技術はますます高度化・複雑化し、これまでよりもさらに大容量かつ低遅延な無線通信を必要としている。ミリ波テクノロジーの活用に注目が集まる一方、その普及のためには、ミリ波の課題でもある到達距離の短さや、建物や樹木などの障害物による信号の遮断を克服するために多くの基地局を設置する必要があり、莫大なインフラ整備コストが課題となっている。

 Visbanは、この課題を解決するべく、建物の内外を問わず、高度な技術アプリケーションに対応する信頼性の高い安定したミリ波の提供を、低コストで実現することをめざし、V-Meshを開発した。
 V-Mesh技術の核は、RFデバイスにおけるガラス基板の活用だ。ガラス基板により、片面および両面デバイスの製造が可能となり、高精度な構造を用いることでアンテナの感度を向上させ、損失を低減する。また、ICやその他の部品もガラス基板上に最先端の異種集積技術を実装することで、低コスト生産を実現している。
 Visbanは「すでに、台湾の工業技術研究院(ITRI)と共にRFデバイスの実証実験を行い、大手フラットパネルディスプレイメーカーと量産プロセスの開発を進めています。また、東京大学の研究チームは、VisbanおよびサードパーティのデバイスのためのAI駆動メッシュネットワークを開発し、エンドユーザー端末との間でミリ波を効率的かつ確実にルーティングする技術の確立に取り組んでいます。

スター・サイエンティストとNASDAQ上場経験をもつ連続起業家で構成されたグローバルチーム
 このV-Mesh技術の基本設計を手がけた、CTO兼共同創業者のアロキア・ネイサン博士は、元英国ケンブリッジ大学教授であり、高周波信号の専門家として多数の論文引用実績を持つスター・サイエンティストだ。
 また、共同創業者である、NASDAQ上場経験をもつ連続起業家であるエスビー・チャー氏、そしてディスプレイ業界で長い経験を持ち大手企業で要職を歴任する桒田良輔氏とともに、技術・ビジネスのグローバルネットワーク力を活かしたビジネス展開をめざすという。

 アロキア・ネイサン博士は「ミリ波で使われる材料や部品は、日本の製造業が強い領域だ。日本には充実したインフラ、高度な技術を持つ人材、そして最先端技術への強いコミットメントがある。また、国内投資家からの戦略的支援やアジア市場へのアクセスも、Visbanのような技術系スタートアップにとって大きな魅力だ。東京は、まさに理想的な拠点と言えるだろう」とコメントを出している。

 東大IPCのパートナーである古川圭祐氏は「Visbanが取り組むミリ波のカバレッジ拡大は、通信業界をはじめとする多くの分野で顕著な利益をもたらすと確信している」とコメントを出している。