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シリコンテクノロジーが、高純度の「イットリウム鉄ガーネット」単結晶の安定生産技術を確立【カーリット】

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 カーリットは8月19日、同社の連結子会社であるシリコンテクノロジーが、高純度で高品質のイットリウム鉄ガーネット(以下、YIG)単結晶を安定的に生産できる技術を確立し、新たに磁気光学材料分野へ事業参入すると発表した。

安定生産が可能となった「イットリウム鉄ガーネット」単結晶(試作品)

 シリコンテクノロジーは1995年の創業以来、半導体用シリコン材料を一貫生産しており、引上げ法によるシリコン単結晶の育成から、鏡面ウェーハ加工、洗浄まですべてを自社工場で行っている。これらのシリコン単結晶の育成技術やノウハウを活かし、今回、磁気光学材料分野にも事業を拡大するという。

磁気光学材料「YIG」
 YIGは、磁気特性を持つガーネット型フェライトとよばれる結晶であり、優れた光学特性やマイクロ波特性を持つ材料だ。このYIGに代表される磁気光学材料と呼ばれる単結晶は、アイソレータやサキュレータなどに代表される通信機器類に使用されている。
 カーリットグループは「現在、普及が進む5G通信、そして今後、陸に加えて海、空、宇宙などあらゆる場所でのサービス拡大が期待される次世代の6G通信の整備など、昨今の情報化社会における通信速度の高速化や情報量の増大に欠かせない材料であり、今後の市場成長が期待される分野だ」としている。

磁気光学材料分野 参入の背景
 情報化社会の進歩に欠かせない材料として、高品質で安定した性能を示すYIG単結晶が求められているが、YIG単結晶は安定生産の技術や高品質維持が非常に難しいといわれる材料だ。
 シリコンテクノロジーでは、FZ法(Floating zone method:浮遊帯域溶融法)によるYIG単結晶の育成の開発を進めてきた経緯があり、今回、独自のプロセスにより高純度な単結晶を得ることが可能となり、シリコンウェーハ製品同様にYIG単結晶の生成からウェーハ加工まで一貫した生産プロセスを確立、製品化に成功したという。

今後の展望
 シリコンテクノロジーは、2024年10月1日をもってカーリットに合併する。今後は、これまで培った単結晶育成技術やウェーハ加工までの一貫生産プロセスの強みを活かし、単結晶販売のみでなく、単結晶材料の試作開発や、結晶材の溶解受託といったサービス展開を検討している。また、半導体材料、磁気光学材料という枠にとらわれず、様々なニーズや要望に応え、さらなる技術力向上をめざすという。
 カーリットグループは「『持続可能な社会に貢献するために、”化学”と”技術”の力を合わせ、人びとの幸せな暮らしを支えたい』というスローガンのもと、これからも我が国の最先端技術の発展に貢献していく」との方針を示している。