O-RAN ALLIANCEに準拠した富士通製5G仮想化基地局を、NTTドコモの5G商用ネットワークサービス向けに納入
モバイル/無線 無料富士通は9月27日、ドコモが提供する5Gの商用ネットワーク向けに、O-RAN ALLIANCEに準拠した富士通製5G仮想化基地局を納入したと発表した。
ドコモは、同基地局による商用ネットワークサービスの運用を、9月より開始した。
富士通は、今後もNTTドコモにおける5Gサービスの展開を支援するとともに、Open RANエコシステムの活性化やさらなる技術革新をグローバルに推進していく。また、スマート工場や遠隔医療、自動運転などの様々な産業分野への5G適用により、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)と新たなサービス創出を支援するとともに、環境に配慮した製品開発を続け、2025年に従来型基地局システムと比較して、総CO2排出量を50%以上削減する5G仮想化基地局の提供をめざすという。
基地局の特長
本件の基地局は、Wind Riverの「Wind River Studio」のクラウド仮想化基盤と、物理レイヤ制御を担うNVIDIA CorporationのNVIDIA コンバージド アクセラレータおよびNVIDIA Aerial vRAN ソフトウェア 開発キット、また、インテルのアーキテクチャを採用した汎用サーバで構成している。
富士通は「グローバルサプライヤが提供する様々な無線装置(O-RU)を組み合わせたマルチベンダ接続を実現するため、オープンRANの世界標準であるO-RAN ALLIANCE仕様に準拠したオープンフロントホール インタフェースを実装した。本基地局により、今後、5G商用ネットワークサービス展開を検討されるお客様に、より自由度の高い設備調達や商用グレードの信頼性、コストパフォーマンスに優れたインフラ構築などの価値を提供することが可能になる」としている。
今回の納入について
ドコモは多様なグローバルベンダが連携して最適なO-RANを提供する、O-RANサービスブランドOREXを展開しており、富士通はその中核技術である仮想化基地局機能の提供を中心にオープンアーキテクチャによるワイヤレスネットワークのグローバル展開に貢献している。同基地局は、高性能なGPU、柔軟性の高いオープンフロントホール アーキテクチャ、さらなる省電力化への対応など、今後のO-RAN市場拡大に貢献できるソリューションであることが評価され、ドコモが運用する5G商用ネットワークにおいて、O-RANに準拠した5G仮想化基地局の適用第一号に選定されたという。
NTTドコモのOREXエバンジェリスト グローバルビジネス部である安部田 貞行氏は「Open RANは今後のモバイルネットワークの発展において欠かせない技術だ。中でもvRANはネットワークの柔軟な進化を実現する上で重要だ。この度、基地局ソフトウェアとして富士通、アクセラレータとしてNVIDA GPUを採用した高性能なvRANの開発が完了した。ドコモネットワークの更なる発展に貢献し、商用におけるノウハウを蓄積することでグローバル市場におけるより効率的なOpen RANの展開を推進していく」とコメントを出している。
NVIDIAの通信事業担当SVPであるロニー ヴァシシュタ氏は「富士通とNVIDIAはO-RANの開発において、NVIDIA GPUと DPUを搭載する、NVIDIA コンバージド アクセラレータを用いたソフトウェア デファインドで、拡張性と柔軟性を併せ持つvRANソリューションを提供するにあたり協業してきた。本協業により、世界の通信事業者に革新的なソリューションを提供することができる」とコメントを出している。
Wind River のCTOであるポール・ミラー氏は「分散型クラウドネットワークは非常に複雑であり、業界を発展させるためには、エコシステム全体で緊密に連携することが不可欠だ。ウインドリバーの分散クラウドプラットフォームと富士通のvCUおよびvDUアプリケーションを統合することで、ウインドリバーはWind River Studioをベースとした実証済みのテクノロジを提供する。
富士通のモバイルシステム事業本部長である谷口 正樹氏は「ドコモの5G商用サービスに当社の5G仮想化基地局が採用されたことを大変嬉しく思っている。当社はオープンネットワーク アーキテクチャに基づく高品質かつセキュアなモバイルソリューションの開発を進め、ドコモをはじめとするグローバルな通信事業者のお客様のビジネス発展やデジタル化の進展に貢献していく」とコメントを出している。