シスコ、生成系AIでセキュリティや生産性の向上を支援する次世代ソリューションを発表
DX/IoT/AI 無料 シスコシステムズ(以下、シスコ)は7月20日、働き方を刷新する新しい強力な生成系AIテクノロジーを発表した。
同社は「コラボレーションとセキュリティポートフォリオ全体で大規模言語モデル(LLM)を活用し、組織の人材の生産性向上と簡素化を支援する」としている。
組織は巧妙なサイバー攻撃の脅威からビジネスを保護しつつ、ハイブリッドワーカーに比類ない体験を提供しようと取り組んでいる。シスコの調査レポート、「2023 State of Global Innovation Study(2023 年世界のイノベーションの状況に関する調査)」によると、IT担当者の85%が、生成系AIをビジネスに最も大きな影響を与えうるテクノロジーと位置づけ、対応を進めているとしている。シスコは、生成系AIがこれらの課題を解決できると考えており、ハイブリッド勤務においてより効率的で安全で生産性の高い働き方を実現することに取り組んでいる。
シスコの Webex に新たに要約機能を搭載
あらゆる仕事上のやり取りがハイブリッドになり、社員や顧客からは最大の成果を上げることのできるコラボレーション体験が求められている。シスコは Webex Suite 内で新たに要約機能を提供し、迅速に情報を把握できるよう支援する。
- 「Catch Me Up」機能は、参加できなかったWebex会議やチャット、アクションアイテムやメンションについて速やかにキャッチアップできる機能。ユーザがアクセスを許可されているデータセットをもとに、対話型プロンプトが回答を生成する。
- 会議のまとめをインテリジェントにサマリーやアクションアイテムとして提供することにより、ユーザは、Webex 会議の最も重要な要素を自動生成し、キーポイントを抽出し、アクションアイテムとその担当者を取り込むよう設定することができる。録音を聞いたり書き起こしたテキストをすべて読んだりする必要がないため、会議に参加した人にとっても参加できなかった人にとっても大幅な時間の節約になる。
- ビデオメッセージングツール、Cisco Vidcast による会議の要約機能は、動画のハイライトやチャプターを生成するもので、視聴者は動画の最も重要な部分に速やかに移動することができる。
- Webex Contact Centerに会話要約機能を新たに搭載することで、エージェントは顧客とのデジタルチャット履歴の長文テキストを素早く自動的に消化し、通話後のまとめや問題解決を容易にできるようになる。たとえば、ある顧客が人間のエージェントとの通話にエスカレーションされた場合、その顧客はエージェントがすでに内容を把握し、説明を繰り返さなくてもよいと想定している。チャットサマリーは、問題の内容とセルフサービスを介してすでに提案された解決策の要約を明確にエージェントに提供し、通話後にはその要約をエージェントと顧客の双方に提供する。
セキュリティは「複雑なもの」から「対話できるもの」に
シスコは業務の簡素化、有効性の向上によりセキュリティ担当者を支援する人工知能や機械学習の最先端技術に投資している。Security Cloudのビジョンをさらに推進するため、シスコはポリシー管理の簡素化、脅威対策強化のための新たな生成系AI機能のプレビューを実施している。
効果的なセキュリティポリシーの策定や管理は極めて複雑となる場合も多く、一方で、サイバー衛生上欠かせない機能でもある。エラーはほぼ許されず、簡単な編集ですらも、これまでのルールに干渉したり、これを無効にしない形で行うには非常に時間がかかり技術的にも困難だ。すべてのシステムでこのような大量の一貫性のない複雑なポリシーを維持することは、攻撃に身をさらす大きなリスクとなる。
この問題に対処するため、Cisco Security Cloudは生成系AIアシスタントを活用し、セキュリティやITの担当者が粒度の細かいセキュリティポリシーを策定し、セキュリティ インフラストラクチャの様々な側面にベストな形で導入する方法を評価できるよう支援する。
プレビューでは、シスコのポリシーアシスタントが既存のファイアウォールのポリシーセットを考慮したうえで、Cisco Secure Firewall Management Center内にルールを導入し簡素化できることを示した。これは、生成系AIによりCisco Security Cloud全体でポリシー管理を刷新できることを示す多くの事例の中で初めてのものだ。
機械のスピードと規模でアナリストを支援
セキュリティ業務においては、脅威の検出と対応も、複雑でリスクの高い任務だ。ここでは時間が勝負で、アナリストは複雑なシステムを機械規模で速やかに把握する必要がある。
シスコのSOCアシスタントは、適時に適切な判断を行うコンテキストによりセキュリティ オペレーション センターを支援する。SOCアシスタントは包括的な状況分析をアナリストに提供し、すべての Cisco Security Cloudプラットフォーム ソリューションでインテリジェンスを相関させ、潜在的な影響について伝達し、行動を提案する。SOC担当者が潜在的な脅威に対応する時間が大幅に短縮される。
SOCアシスタントは2024年に投入し、WebexとSecurity Cloudの新機能は2023年末までに提供を開始する予定だ。
シスコの生成系AIに対する考え方
シスコは長年にわたり音声、動画、自然言語理解、アナリティクスにAIを活用し、比類ない体験を Webex ユーザに提供してきた。LLMや生成系AIの新たな機能によりこれをさらに推し進め、比類ないハイブリッドワークの体験を提供する。Webex Enterprise AIでは、マルチモーダル対応、アクセス権限、プライバシー、正確性に関する原則を第一弾として構築した。これには、各データソースのプライバシーおよびセキュリティ ルールに基づき個人がアクセスを許可されたデータのみを使用することが含まれる。