ローデ・シュワルツが清華大学やActenna Technology社などと協力して、RIS技術の実証実験を実施
モバイル/無線 無料ローデ・シュワルツは12月5日 、清華大学とActenna TechnologyとともにRIS(reconfigurable intelligent surface)技術の試験と評価を実施したと発表した。
ローデ・シュワルツは「RIS は、6G研究において関心の高い主な領域の一つだ。今回のRIS技術の試験では、 RISの配置による効果と性能を総合的に評価した」と説明している。
RISは、電磁波の位相を調節して信号を反射させ、見通せない場所へと信号を送るようにプログラムできる。これによって、カバレッジの拡大やユーザ・エクスペリエンスの向上が実現する。
ローデ・シュワルツは「RISは低コストで低消費電力なうえ、簡単に配置できることから、6G研究において広く関心を集めており、評価の高い有望な技術と目されている。今回の技術的な実験は、Sub6のGHz帯とミリ波帯のRISについて、屋内外の様々なシナリオのもとで、主にその配置の効果と性能を評価した。RISの有り・無し、様々な入射角と反射角、異なる配置距離などによる設置状況を模擬した試験となっている。また性能指標としては、RSRPやスループットなどのパラメータを記録した。実験の参加者が互いの強みで補い合いながら協力し、いくつかのRIS実験プロジェクトを実施してRIS技術の継続的な開発を強く後押しできる確かなデータが得られた」と説明している。
RISの検証環境は、屋内試験と屋外試験に分けられる。屋内試験では主にRIS試験対象と計測器を用いたという。
試験対象に用いたのは、業務用RIS機器のサプライヤであるActenna Technologyの製品であり、20×20アレイ・エレメントからなる860×860 mmのSub6 GHz帯RISアレイと、32×32アレイ・エレメントからなる180×180 mmのミリ波帯RISアレイだ。
計測器は、様々な周波数帯で標準の5Gリファレンス・テスト・シグナルを送信するのにR&S SMW200Aベクトル信号発生器を、RSRP等のパラメータ測定にR&S TSME6ドライブ・テスト・スキャナなどを使用した。
ローデ・シュワルツは「テスト条件を変えながら、様々な条件のもとでRISメタサーフェイスの性能指標が設計時に期待した性能を満足しているかをテスタによって検証した」と話している。
屋外試験では、Sub6 GHzとミリ波のいずれも実際のネットワーク環境を利用したという。
RSRPとスループットは、QualiPocソフトウェアとドライブ・テスト・ターミナルを用いてテスト。
また、実際のネットワーク環境において見通し外をカバーするといったRISによる問題解決が可能かについて、R&S TSMxスキャナを使って検証した。
これに加えて、屋外試験として環境チャンバー内でのRISメタサーフェイスの性能も確認した。これには信号源としてR&S SMW200Aベクトル信号発生器を用い、R&S FSWシグナル・スペクトラム・アナライザを使ってアンテナの双方向マップと隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)をテストした。
ローデ・シュワルツは「今回の共同テストを通じて、すべての参加者がRISの機能と性能指標に対する総合的な理解を深めることができ、将来的の設計の進め方に1つの基準が得られた」としており、「今後もRIS開発をしっかり支えられるよう、パートナー企業とともにさらに踏み込んだRIS技術の研究を続け、多くのテストを主催したり参加したりしながら、規格策定作業にも貢献していく」との展望を示している。