C-band帯ラマン増幅器用ポンプレーザで800mWの高出力化を達成【古河電工】
テレコム 無料光出力700mWを実現するFRL1441シリーズのサンプル出荷を開始
古河電気工業は10月18日、C-band帯ラマン増幅器用ポンプレーザで800mWの高出力化を16W程度の低消費電力で達成したことを発表した。
また同技術を適用して、業界最高水準である光出力700mWのラマン増幅器用ポンプレーザFRL1441シリーズ(図1)を開発しており、8月よりサンプル出荷を開始している。
背景
5Gの実用化において必要不可欠な中長距離光通信網の通信容量拡大に向けて、伝送速度を従来の100-400Gbsから、今後800Gbps、さらには1.6Tbpsへと高速化する技術開発が進んでいる。この高速伝送には、信号受信側のOSNR(Optical Signal to Noise Ratio)の劣化を補うため、ラマン増幅器の高性能化が求められる。
古河電気工業は「1989年にNTT殿が半導体励起光源による光増幅器(そのときに使用された光源の光出力は40mW)を世界で初めて発表して以来、当社は20年以上に渡りラマン増幅器のキーコンポーネントであるポンプレーザを製造するリーディングカンパニーとして光通信の発展に貢献してきた。これまでにC-band帯において製品として業界最高水準の光出力600mWを実現し、更なる高性能化をめざしてきた」としている。
内容
同社が長年培ってきたInP半導体チップ技術と光モジュール組立技術により、ラマン増幅器用ポンプレーザにおいて業界最高水準である800mWの高出力化を達成した(図2)。
同開発にあたっては、半導体レーザチップのキャビティ長や活性層構造の最適化による高効率化、さらにポンプレーザの組立における重要な技術である光ファイバへの高い光結合効率を実現している。この技術を適用して、業界最高水準である光出力700mWのラマン増幅器用ポンプレーザFRL1441シリーズを開発し、8月よりサンプル出荷を開始したという。
これにより、更なる高速伝送・容量拡大に伴う長距離伝送でのOSNR改善のほか、既存システムにおいてもポンプレーザの使用個数の削減(例えば同一波長のポンプレーザの使用個数を2個から1個に)によるラマン増幅器の小型化やポンプレーザの省電力化(同社比37%削減)などが期待される。同社は「今後も高性能化に向けた開発を継続し、光出力800mW超の製品化をめざす」としている。
古河電気工業は「本開発の成果は本年10月18日にISLC(International Semiconductor Laser Conference、島根県松江市)にて発表する」としており、「当社はレーザ事業のリーディングカンパニーとして今後も高性能な半導体レーザ光源製品の研究・開発・製品化を行い、光通信の発展を通じて真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献していく」との方針を示している。