アクセルスペースが、「AxelLiner」実証衛星初号機Pyxisの軌道上実証に向けてソニーグループと共同研究を実施
DX/IoT/AI 無料アクセルスペースは10月13日、現在開発中の「AxelLiner」の実証衛星初号機Pyxisの軌道上実証に向けた実証機の開発において、ソニーグループと共同研究を行うことが決定したことを発表した。
近年の小型衛星の急速な技術進展に伴い、衛星を活用した多様なミッションが提案・実現されている。アクセルスペースではAxelLinerサービスを提供する基礎として、これら多様なミッションに対応できる汎用衛星バスシステムの開発を進めている。
アクセルスペースは「今回、実証衛星初号機Pyxisのペイロードに、LPWA通信規格のELTRES(エルトレス)※に対応した衛星無線実験装置を搭載することが決まった。加えて、ソニーグループと共同で、バスシステムへの接続およびペイロードの開発に取り組む。また、軌道上でバスシステム実証に加えてELTRESを用いた通信システムの技術実証を行う予定だ」としている。
※ELTRES:衛星測位システムを標準搭載し、見通し100km以上の長距離伝送性能を持つソニー独自のLPWA通信規格。
AxelLinerの概要
AxelLinerは、同実証を行う汎用衛星バスシステムによる低コスト・短納期の実現およびAxelLiner Terminalによる事業検討から実運用までのUXを改善することを目指し、宇宙を使った事業展開を手軽なものにしていくという。
従来の専用衛星プロジェクトは、ユーザにも衛星開発や宇宙利用に関する技術、制約、仕組み、制度の一定の理解が必要で、ハードルが高いものだった。また人工衛星を利用したビジネスを開始するには、人工衛星以外にも様々な調達や許認可の取得などが必要だ。
アクセルスペースは「AxelLinerは、これら衛星プロジェクトに関わる長く複雑なプロセスをパッケージ化し、観測、通信、実験など、お客様が宇宙空間で行いたい『ミッション』のみに注力できるワンストップサービスを提供する」としている。
アクセルスペースの代表取締役CEOである中村 友哉氏は「AxelLinerは、高まり続ける小型衛星へのニーズに確実に応えていくため、衛星開発のあり方はもちろんのこと、事業全体を根本から見直し、創業以来続く衛星ビジネスを再定義するものだ。経済産業省の助成を受けて現在実証機を開発中だが、このたびソニーグループ様と軌道上実証に向け共同研究を行う運びになったことを大変嬉しく思っている。新規宇宙用コンポーネントの軌道上実証はAxelLinerにおける重要なミッションの一つと考えており、本衛星は技術実証のみならず事業実証としての意味も持つことになる。この機会を最大限活用し、AxelLiner事業の本格サービスインに向けて着実に前進していく」とコメントを出している。
アクセルスペースのAxelLiner実証衛星初号機 Pyxis プロジェクトマネージャである杉本 和矢氏は「AxelLiner初号機では、汎用衛星バスを確立するとともに、量産に向けた製造アライアンス企業と連携した製造プロセスや自動運用システムの構築などの、衛星そのもの以外の開発プロセスの構築にも非常に力を入れている。初号機にソニーグループ様のELTRES受信機というミッションを搭載し、軌道上実証をすることで、バスの汎用性と運用のUXの面において、多くの実績と経験が得られるものと考えている。初号機がAxelLinerのロケットスタートとなるよう全力で取り組んでいく」とコメントを出している。
ソニーグループのR&Dセンター Vice President 基盤技術研究開発担当である宮内 俊之氏は「当社では、地球上のあらゆる場所をセンシングし、目に見えない異変や変化の予兆を捉え、人々にフィードバックすることで、環境破壊や自然災害の未然防止に貢献する『地球みまもりプラットフォーム』の構築に向けて、研究プロジェクトを推進している。今回の共同実証実験は、地上で取得したセンシングデータを地球規模で伝送するために必要となる、低軌道衛星を活用した超広域通信の実現に向けた重要な取り組みだと考えている。実験を通じて得た成果と知見を生かし、これまでにない地球規模のセンシングネットワークの実用化に向けた技術開発を推進していく」とコメントを出している。