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製造業のDXを支援する「横河デジタル株式会社」を設立

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グローバルで全体最適を実現する経営コンサルティングサービスからシステムの実装、運用・保守までを一貫して提供

 横河電機は7月1日、製造業ユーザの経営から現場までを見渡した経営コンサルティングサービス事業を展開する「横河デジタル株式会社」を、同日付けで設立したと発表した。

 横河電機は「横河デジタルは、Operational Technology(OT、運用・制御技術)とIT(情報技術)の双方の領域での知見やノウハウを生かして、コンサルテーションのみならず製造業の経営と現場をつなぐクラウド関連のシステムの実装、運用・保守までのサービスを提供し、お客様の操業をグローバルで統合管理することを可能にし、DXを支援する。10月1日から営業を開始し、まずは国内の企業に対してサービスを提供していく」と説明している。

横河デジタルが実現するグローバルでの最適化

 近年、世界の製造業は、サステナビリティトランスフォーメーション(SX)を進めている。新型コロナウイルス感染症の流行、サプライチェーンの課題への対応、SDGsへの貢献、ESG経営が求められている中、企業は競争力を高め、持続可能な社会の実現に貢献するために、サプライチェーンも含めた経営から現場までの事業活動全体を最適化することが必要だ。これを実現していくには、AIの活用を含めたDXは欠かせない。
 一方で、すでに各組織で個別最適化されたシステムやプロセスが存在しており、その統合が容易ではないため、現状のDXは、部分最適に留まるケースが多く見受けられる。より大きな効果を出していくためには、各地に分散した工場やオフィスの様々なシステムやプロセスをグローバルで統合管理し、全体で最適化を図ることが必要だ。これにより、企業は経営戦略を様々な部署に浸透させ、本質的なSXを進めることができる。

 横河デジタルはこの全体最適を実現するため、ユーザの経営から現場までの領域でコンサルティングサービスを提供する。実効性の高い施策の立案とロードマップの作成、OTとITの知見とノウハウを生かしたソリューションの提案を行うだけでなく、横河電機の子会社である横河ソリューションサービスとともに、システムの実装や運用・保守も行い、ユーザが成果を出せるよう支援する。ソリューションの導入にあたっては、産業用クラウドプラットフォームであるYokogawa Cloudを基盤にSaaSなどサブスクリプション型のサービス提供も行い、最新技術をすぐに利用できる環境を整備する。

 YOKOGAWAはこれまでもユーザに対し、経営企画・情報システム部門、製造部門に対する総合的なコンサルティングを行い、操業改善に貢献してきた。自社のDXとしても、グローバル全18工場を対象にデジタルファクトリーなどの取り組みを進めており、生産技術・技能の伝承、品質・生産性の向上やサプライチェーンの最適化等で効果を出している。また、IT関連企業への投資やアライアンスに加え、デジタル技術の制御分野への活用についても研究開発を重ねてきた。2022年2月には実際の化学プラントで既存の制御技術が適用できず手動制御せざるを得ない箇所にAIを適用し、世界で初めて35日間連続で自律制御することに成功したほか、5G・クラウド・AIを活用したリモート制御に成功するなど(当サイト内関連記事)、先端技術の実用化を進めている。また、工場の操業の遠隔監視などを通して、情報の漏洩やウイルスの侵入などを許さない高度な情報セキュリティ技術を培ってきた。
 横河電機は「今回、新会社を設立し、経営および操業のコンサルティングとデジタル技術に強みをもつ人財を集め強化することで、YOKOGAWAのコンサルティング能力をさらに高め、プロセス産業をはじめ、幅広い製造業のお客様の競争力の向上に貢献する。また、将来的にはグローバル展開も視野に、経営コンサルティングサービスとそれに伴うDX・ITサービスや、運用・保守を提供していく」との考えを示している。

 横河電機 代表取締役社長の奈良寿氏は「YOKOGAWAは、IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy、産業における自動化から自律化へ)やSmart manufacturingを推進し、お客様への提供価値を拡大していくことを目指している。これを進めていくうえでは、デジタル技術を活用し、プロセスや組織をつないで全体最適を図ることが不可欠であり、このたび設立した横河デジタルはグローバルでの全体最適を実現する。YOKOGAWAは、一つのシステムでは実現できない目的をシステム全体として達成するシステム・オブ・システムズ(SoS)を今後の社会の潮流ととらえ、統合化、自律化、デジタル化による全体最適によって価値を生み出すことに取り組んでいる。横河デジタルは、これをけん引し、お客様へ新たな価値を提供していく」とコメントを出している。

新会社概要

社名:横河デジタル株式会社(英文名称:Yokogawa Digital Corporation)
住所:武蔵野市中町2-9-32
代表取締役社長:鹿子木 宏明氏
資本金:1億円(横河電機100%出資)
設立年月:2022年7月1日
営業開始:2022年10月1日
事業概要:
1.製造業に対する経営コンサルティングサービス
2.AI・IIoT・クラウド・サイバーセキュリティ等を活用したDX・ITサービス
3.ソフトウェアサービスの開発・提供
4.AIの研究開発・提供(トレーニングプログラムを含む) 等

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