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積水化学工業が「5G通信向け透明フレキシブル電波反射フィルム」を開発 〜景観を損ねずに電波環境を改善〜

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 積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは12月21日、独自のフィルム、光学粘着材技術と、Meta Materialsのメタマテリアル技術の活用により、5G通信向けの透明フレキシブル電波反射フィルムを開発したと発表した。
 積水化学工業は「電波環境評価に関しては、DOCOMO Innovations の協力の下で検証を進め、5Gから6Gまでの周波数帯域をカバーし、従来にはない高い透明性・電波拡散性を併せ持ったフィルムであることを確認した」としている。
 2022年度からサンプル販売を開始予定。2026年度に売上高60億円をめざすという。

開発の背景
 電波の直進性が高い5Gや6Gでは、建造物などの遮蔽により電波が減衰し、通信品質が低下するという課題がある。その解決方法として、基地局の追加や中継機の設置がある一方で、費用や構築の手間を抑えた解決方法として電波反射フィルムの研究が進んでいる。
 積水化学工業は「近年、プリント配線基板上にメタマテリアル銅パターン構造を有したミリ波用反射板が開発されており、当社ではメタマテリアル構造で景観を損なわない透明かつフレキシブルな電波反射板に着目した。自社のフィルム、光学粘着材技術と組み合わせることでソリューションを提供できると考え、研究開発を推進してきた」としており、「今般、Meta Materialsの持つ世界トップレベルの透明ナノ構造のメタマテリアル技術『NANOWEB』と、その製造技術『Rolling Mask Lithography – RML』を当社技術と融合させることで、ミリ波帯域だけでなく、2GHz~60GHzの広帯域に対応した全光線透過率95%の透明フレキシブル電波反射フィルムの実現に至った」と説明している。

開発品の概要
 今回発表されたフィルムは、高次電波反射構造を有するメタマテリアル層と高透明粘着剤とフィルム表面を保護する特殊コーティング層、特殊粘着剤から構成される。
 これを壁・天井などに貼ることにより電波を反射させ、遮蔽部に電波を届けることが可能となる。この方法により、基地局や中継機の設置に比べ、安価に短期間で通信環境の改善が可能となる。また、電源不要、透明、フレキシブルであるため、外観を損ねることなく、あらゆる形状の部位や場所に施工が可能となる。 
 主な特徴は次の通り。

  • Sub6~ミリ波帯域の電波を反射するフレキシブルフィルム
  • 屋内外問わず使用箇所の景観を損なわない透明素材
  • 簡易施工可能で電源も不要。いかなる場所の電波環境も改善

フィルムの概要


電波反射イメージ

効果についての実証実験
 DOCOMO Innovationsのシミュレーション技術を用いて、本反射フィルムの効果を企画段階で確認し、ミライトの協創ラボにおける屋内実証実験で検証した。
 実証実験では、基地局から30m離れた反射フィルムを介して、基地局からの電波を適切に反射制御することによって、電波環境を広範囲に改善できることを確認した。

DOCOMO Innovationsによる屋内電波環境改善シミュレーション


ミライトとの屋内電波環境改善実証実験(28GHz)

今後の予定
 積水化学工業は「透明、フレキシブル、軽量、電源レスという特徴を活かして、オフィス、工場、ショッピングモール、医療・介護施設、各種競技場、農場・畜産場、スマートシティ、地下街、鉄道・道路インフラへの展開に加え、救急、工事現場、キャンプ等の一時的・緊急的な用途への対応も含め、用途開拓を進めていく」との考えを示している。